この空の花 -長岡花火物語

新潟県長岡を舞台にした大林宣彦監督が撮った映画を今日は観てきました。

http://konosoranohana.jp/
 
地元でたまたま大林監督のトークがセッティングされていた映画上映会があると聞いて、久石さんが主題曲を担当しているということもあって、少し興味があって観てみることにしました。で、大林監督の作品って観たことがないと思っていたんですが、そういえば「水の旅人 侍KIDS」ってのをテレビで観ていたことをさっき思い出しました。ただあまり記憶が残ってなくて、正直初めて観る感覚ではあったので、ものすごく新鮮な感覚がありました。
 
ストーリー
松雪泰子演じる新聞記者の遠藤玲子が、音信が途絶えていた恋人である高嶋政宏演じる高校教諭の片山健一から突然届いた手紙太平洋戦争を題材にした舞台をやるから見に来て欲しいという手紙を切っ掛けに、長岡で毎年8月1日午後10時30分に打ち上げられる花火を縦軸、太平洋戦争を横軸に、そして新潟中越地震と東日本大震災を背景にしながら、遠藤玲子がワンダーランドへと導かれる。
 
館内の様子
やはりというか、年配の方が多かったですね。大林監督も75歳ですし、興味のある方も年配の方が多い。でも若い人もちらほらいらっしゃいました。
 
印象
正直言って序盤は違和感ありまくりでした(苦笑)。映画のキーとなる元木花(猪俣南)という女の子はどんな場面でもいつも一輪車乗っているし、松雪泰子さんと高嶋政宏さんがしゃべっている途中から観客に向かっていつの間にかナレーションをしていたり、筧利夫が突拍子もないリアクションをしたり。現実と虚構が入り乱れた「ワンダーランド」ってのが、その言葉の通り表された映画だと思いました。いろんな部分で訳が分からなくなっているんだけど、作品として成立しているというか、収まったってのは、力業なのかなんなのかよく分からず、不思議な感覚でした。でも大林監督ってそういった不思議な演出をされる方なんですか? 「水の旅人 侍KIDS」の時はそんな風に感じなかったような気がするんですけど。監督自身、映画が終わった後のトークでは、「この映画は”シネマゲルニカ”だ」って行ってましたけど、確かにそんな印象を受けました。大人が観るとうがった見方をしてしまいがちですが、子供が観るとなんかおもしろみを感じてくれるかも知れません。監督も「子供に観て欲しい」と言ってました。
 
その他にも大林監督の映画って台詞が多いんだなあという印象を持ちました。黙っている時間がほとんどなくて、どこのシーンでも誰かが何かをしゃべっていることが多く、映像から感じ取ってもらうものってだけではなく、声でいろんなことを大林監督が伝えたいってのがあるんだろうなあと感じました。特に今回は戦争の悲惨さと、震災の悲惨さを掛けていた部分もあって、言葉を特に多く使っていたんじゃないかと思います。
 
そんな中で映画の長さが2時間40分もあったのが驚きです。脚本を作るのも大変だったんじゃないかと思います。でも、映画を観た印象ではそんなに長く感じませんでした。序盤は違和感を感じまくっていたんですが、最終的に魅入らされたってことなのかなと思います。ただひとつだけ違和感を解消できなかったとすれば、高嶋政宏さんの若い時を演じるヅラは違和感ありまくりでしたね(笑)。
 
俳優陣の演技
「印象」のところでも書いたとおり、いろんな突飛だと感じた部分が多かったんですが、それは監督のオファーでしょうから、わざと不自然な部分を出す演技をしているんだろうなと考えると、「不自然じゃない演技」をベースに考えてたボクには目から鱗でした。
 
音楽
久石さんが主題曲を作り、本編は山下耕介さん、エンディングには伊勢正三さんが担当。久石さんの主題曲は映画の最初と最後に流れていたやつだと思いますが、あまり印象に残っていない…(苦笑) 結構良い曲だったと思うんですが… 映画自体がものすごくインパクトがあったので、曲の印象がかき消されちゃったのかも。でもそれで良かったと思います。
 

〔オーナーのお薦め度〕
この空の花 -長岡花火物語 ★★★★★☆ 星5つ
(すでに全国上映が終わっており、なかなか映画館で観る機会が無いですが、各地で開催している映画祭で上映をしているようですので、機会があったら是非観てみて、ワンダーランドを体感してみてください。)

〔オーナーの評価点〕
監督本人も「映画と言っていいのか分からないものが出来た」という趣旨の話を言っていたんですが、ボク自身も消化できていない部分もあって、評価点をつけるのを止めておきます。

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