母べえ

すみません。最近、身体がだるかったので日記を休んでましたです。

それでは、前にちょこっと書いていたんですが、山田洋次監督の「母べえ」を観てきました。

 第二次世界大戦の直前、家族同士のことを「○○べえ」と愛称で呼び合う仲の良い家庭で、文学者だった「父べえ」が治安維持法で逮捕されてしまい、「母べえ」と娘2人が、父べえの帰りを待ちながら一生懸命生きていくっていう話です。
 映画を観ていて素直に感じたのが、人と人の距離感が非常に近くて、最近の日本にあまり見られなくなったような親密さってのが描かれてますよね。近所の人たちとのやり取りはもちろんのこと、家族間の交流も、ちゃぶ台にみんな揃って食事を取ったりして、良い意味での持ちつ持たれつの「家族愛」ってのが表現されていたような気がします。
 にしても、この作品は、正に吉永小百合さんが主演を務めているからこそ、という感じがしてなりません。映画中において、結構な時間経過が経つ設定なんですが、ほとんど違和感なく観ることができたのがまずすごいなと。もともと吉永さんが「こんな若い役、自分で良いのか?」と質問したところ、監督が「当時のお母さんは疲れていたのです」と返したそうで、なるほど〜と思ってしまいました。
 そして、吉永さんの中に、母親の芯の強さだったり、優しさだったり、つらさだったり… いろんなものが同居しているところがこの映画に含まれていて、ボクの中で素直に「あぁ、だから多くの人に愛されているんだなぁ」と納得してしまいました。パンフレットの中で監督とかが言っていたと思いますが、この作品は確かに吉永小百合その人じゃないと成立し得ないな、と思いました。
 もちろん、他の俳優さんたちもすごく良い味を出していたと思います。板東三津五郎、檀れいのふたりは前作「武士の一分」からの連投となったわけですけど、板東さんの演技が渋かったです。パンフにとある場面では「キリストのように」なんていう指示があったそうですが、そんな感じが出ていて、前作の悪役とは180度違う印象がありました。というより、ボク自身、「別人」だと思ってました(苦笑)。全然印象が違ったので… 檀れいさんも今回は今回で、すごくはつらつとした女性を演じていて好印象でしたね。
 子役の志田未来ちゃんと佐藤未来ちゃんの演技もなかなかのモノでした。特に志田さんはすでに貫禄を感じるというかなんというか… もう子役というレベルで伝えてはいけないような俳優さんじゃないかなと思いますね(苦笑)。兎にも角にも良かったと思います。
 にしても、当時素直に発言できなかったんでしょうね。下手なことを言うとそれこそ「治安維持法違反」だったり、「非国民」だと非難されるような時代だったし。今では考えられない状況ですけど、正直に物事が言えないつらさは、なんとなく分かる気がします。正しいことを言って捕まってしまうのはなんともやりきれないというか何というか…
 何だか拙い感想になってしまったんですが、素晴らしい作品だったと思います。正直言うといわゆる「泣き」ポイントはそんなに多くなかったんですけど、映画から感じられる当時の状況ってヤツに圧倒されてしまって、「すごいな」と感じられた映画でした。観て損はしないと思いますね。でも、観客席がご年配の方が非常に多かったのは気になるんですが(苦笑)。

オーナーのお薦め度
 母べえ ★★★★★★ 星6つ
(”山田洋次監督の作品だから”ってので評価を高くしているのかも、なんていう風にたまに思うことがあります。ボクって権威に弱いもんですから(苦笑)。でも、この映画に関しては出来が良いように感じました。「じゃ、具体的にどこが?」と聞かれると困っちゃうんですが…(苦笑))

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