新日本フィルハーモニー交響楽団 ドラゴンクエストコンサート

11.30 後半に入るところまで書きました。次号に続く(爆)
11.31 23:55 アンコール前まで書きました。
12.03 ひとまず書き上がりました。

日時 平成27年(2015年)11月28日(土) 午後1時15分開場 午後2時開演
会場 すみだトリフォニーホール
指揮 梅田俊明
お話 すぎやまこういち
演奏 新日本フィルハーモニー交響楽団
 コンサートマスター 西江辰郎
主催 公益財団法人新日本フィルハーモニー交響楽団
協力 スギヤマ工房有限会社/株式会社スクウェア・エニックス/キングレコード株式会社

ここのところ、夏に実施されている「ドラゴンクエスト ファミリーコンサート」ですが、プラチナチケットと化していることと、夏場に仕事の関係でなかなか遠出ができないこともあり、2012年夏以来のドラクエコンサートとなりました。

…でも、今回のドラクエコンサートは特殊で、なんと演奏が「新日本フィルハーモニー交響楽団」! いつも久石さんとのコンサートではよく聴かせていただいているオケで、先のブログでも書いたとおり、この週に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で聴かせていただいているので、週に2回目の新日フィルの演奏を鑑賞することになりました。

すぎやまさんもおっしゃってましたが、ドラゴンクエストのコンサートで新日本フィルハーモニー交響楽団が演奏されるのは今回が初ということで、新日本フィルハーモニー交響楽団が今回のコンサートを主催しているということで、新日フィルからすぎやまさんの方に企画を持ちかけたんでしょうね。久石さんのWDOも復活したし、バック・トゥ・ザ・フューチャーもやるし、精力的に新日フィルは活動されていますね。逆にちょっと勘ぐってしまいそうなボクもいるんですが(苦笑)、そうしたらジブリ映画を生演奏でやるってのもやっても面白いかも知れませんよね。「もののけ姫」あたりはめちゃくちゃ良さそうだと思いますが、どうでしょうね。

ひとまず、当日のセットリストを書いておきます。

構成
《第一部》
・序曲のマーチ
・王宮のトランペット
・街角のメロディ~地平の彼方へ~カジノ都市~街は生きている~街角のメロディ
・淋しい村~はめつの予感~さびれた村
・愛の旋律
・空飛ぶ絨毯~大海原へ

休憩 Intermission

《第二部》
・洞窟に魔物の影が~死の塔~暗黒の世界~洞窟に魔物の影が
・哀愁物語
・戦火を交えて~不死身の敵に挑む
・高貴なるレクイエム~聖(ひじり)
・大魔王
・天空城
・結婚ワルツ

《アンコール》
・おおぞらをとぶ(III)
・序曲X(X)

開演前のホールの様子です。

ほぼ時間どおりに新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーが入場し終えた後、バック・トゥ・ザ・フューチャーで初めてお会いしたコンマス西江さんが入場すると大きな拍手が起こりました。チューニングが終わると、指揮の梅田俊明さんが舞台袖から入ってこられ、さらに割れんばかりの拍手が送られました。

初めての新日フィルのドラクエ。どのような演奏を見せてくれるのか固唾を飲んで見守っていたはずなんですが……実は初っぱなの「序曲のマーチ」、あまり覚えていないんです(苦笑)。順番を逆転して言っちゃいますけど、アンコールの最後で、すぎやまさんが梅田さんからタクトを受け取って1曲だけ、ドラクエXの序曲を披露されたんですが、それが素晴らしかったのでどうも、ボクの頭の中からVの序曲を薄めてしまったらしい(苦笑)。すぎやまさんの指揮もすごくパワフルで素晴らしくて、演奏もそれに引っ張られて、非常に最高の演奏でしたね。

で、思い出したんですけど、前半の第一部は全体的に曲のテンポが速めでした。個人的にはもう少し遅くても良いのになと「前半」は思ってました。(「前半」を強調したのは後ほど説明します。)そして、梅田さんの指揮は、すごくスマートな指揮をされるなあという印象です。癖のない指揮をされるというか。格好いい指揮だなあと思いました。

「序曲のマーチ」の演奏が終わり、会場から拍手がフィルに対して大きな拍手が送られると、舞台脇からすぎやまこういちその人が登場。会場から熱い拍手が送られます。すぎやまさんはマイクを持ってお話をされましたが、先に書いちゃいましたけど、新日フィルに初めて演奏してもらうことをおっしゃっていました。

続いて「王宮のトランペット」「街角のメロディ~地平の彼方へ~カジノ都市~街は生きている~街角のメロディ」の2曲(2曲でもないのか…笑)が演奏されたんですが、新日フィルのトランペッターの方、久石さんのときからもそうなんですけど、すごく安定していて演奏がうまいんです。トランペットの音色ってすごく目立つはずなんですけど、オケのみんなの音色に溶け合っていつも良い感じで、縁の下の力持ちって感じに勝手に感じているんですが(笑)、今回も綺麗な音色を聴かせてくれました。どちらの曲とも少しリズムが早いなあと感じたのと、「街は生きている」あたりの都響の演奏の時と違って、ブレスの位置というか、演奏を切る位置がちょっと違うのが気になったところ。練習の時にすぎやまさん入ってなく、指揮の梅田さんのディレクションなんだろうなと思うんですが、ちょっと聴いているボクも慣れない感じで少し戸惑いました(笑)。

曲が終わるとすぎやまさんが再登場。今度は何度かお話を伺っている「音楽は心の貯金です」というお話をいただきました。素晴らしい新日フィルの素晴らしいオーケストラを聴いて、心の貯金を貯めていって欲しいという話をされてました。

さらに「淋しい村~はめつの予感~さびれた村」「愛の旋律」の2曲が続けて演奏されました。ってか、さすがにもう覚えてない…(苦笑)

ここでも演奏終わりにすぎやまさんが登場し、「音楽は心のタイムマシーンですとも言っています」というお話をされました。今日聴いた演奏を、10年後、20年後に思い出してもらって、その時にこのコンサートの時代にタイムマシーンで戻ってこれるっていうお話でした。これも過去のコンサートで何度かおっしゃっていたことですよね。

第一部最後の曲として「空飛ぶ絨毯~大海原へ」が演奏されました。さっきも言いましたけど、若干、いつも聞いているものと少し演奏が違うのが引っかかってるんですよね。ブレスの位置が違ったり、若干メロディが違うところがあったり。ほんのちょっとしたところですけどね。もしかしたらスコアがちょっと間違っていたりしてね(苦笑)。あるいは、すぎやまさんと梅田さんの指揮のニュアンスの違いなのか。前半は、少し違和感を感じながら過ぎていきました。あ、演奏は素晴らしかったんですよ。これまでと違う部分がちょっと気になっただけ、なんだろうと思います。

20分間の休憩をはさんで、後半の第二部に入るわけですが、演奏に入る前にすぎやまさんからお話しがありました。第一部ではドラクエに関連する話はなかったんですが、ドラクエVのテーマである「結婚」に絡んだお話がありました。結婚、普通は人生に1回するかというもの。ドラクエVでも誰と結婚するか選択を迫られるわけですが、ちょっとズルいんですが、選択する直前でセーブをして、最初にビアンカと結婚して、そのあとフローラと結婚して、なんて話が合った時に会場では一番盛り上がったんじゃないかというくらい盛り上がりましたね。

すぎやまさんから会場へ、「ドラクエVをやったことある人、手を挙げて!」という質問があったんですが、客席のほぼ全員が手を挙げていた様子でした(私、1階の最後列だったので少なくても1階席はほぼ全員でしたね)。そのあと、新日フィルの皆さんに「ドラゴンクエストをやったことある方、手を挙げて!」という質問には、約半分くらいの方が挙手されてました。結構プレイ率が高かったので、会場から「おぉぉ」という声が挙がりました。…で、さらに指揮の梅田さんにも同じ質問をされたんですが、「ゴメンなさい、やったことありません…」という素直な返事。でもすぎやまさん、「やっていなくても良いんです! 梅田さん、バレエのくるみ割り人形って振ったことあるでしょ? でも、くるみ割り人形でバレエを踊ったこと、ないでしょ? それと同じです。だから、プレイしていなくても良いんです!」と上手いことフォローされてました。

後半は続けて全部演奏されるということで、すぎやまさんは客席で鑑賞しますとおっしゃって、いったん指揮の梅田さんとともに舞台袖に下がって、チューニングを行って第二部の演奏に入っていきました。

第二部はかいつまんでの説明にしようと思いますが、第二部最初に「洞窟に魔物の影が~死の塔~暗黒の世界~洞窟に魔物の影が」が演奏されたんですが、第一部とは真逆でテンポがもの凄く遅くなって、しかももの凄く演奏に溜めがあって、前半と印象が随分変わって、違和感も無くなりました。もしかしたら、休憩の間にすぎやまさんから指揮の梅田さんにちょっとしたアドバイスでもあったんでしょうか。テンポの取り方が大幅に変わった印象がありました。

戦火を交えて~不死身の敵に挑む」は、新日フィルの皆さんの演奏はどちらかというと非常に上品な感じがして、演奏は非常に上手いんですけど、戦闘曲についてはちょっとパンチが足らない印象がありました。個人的にはちょっとくらいミスや雑さがあっても良いから、思いっきりパワフルな演奏を聴きたかったなあという希望がありますが、これも新日フィルさんの持ち味ということで。

その後に続いた「高貴なるレクイエム~聖(ひじり)」、この曲が非常にボクの中では今回のコンサートでアンコールを除いてではピカイチだったかなと思いました。非常に素晴らしかったと思います。都響の皆さんの演奏も非常に素晴らしいんですけど、新日本フィルのストリングスも非常に良かったです。で、先ほども言ったテンポが遅くなったことで、さらに厳かな雰囲気が増して、「高貴なるレクイエム」の最後のチューブラーベルの「カーン…」という響きが何とも言えず、弦の音色と一体となって素晴らしかったです。

大魔王」はティンパニが活躍する曲ですが、新日フィルのティンパニの方も非常に演奏が上手いんですが、会場で久しぶりにお会いしたスペアリブさんはこの曲でのホルンが非常に素晴らしかったとおっしゃってました。都響のブルーレイを観ながら思い返しているんですけど、ティンパニとともにホルンも双璧をなすような曲構成になっていて、ホルンが結構音が出ていたなあと思い出しました。ティンパニに注目していて、ホルンがボクの中ではおざなりになっていたかも…(苦笑)

そうそう。今回のコンサートで、初めて梅田さんの指揮を鑑賞したんですけど、曲のはじめ、構えてからの出だしがもの凄く早いなあという印象がありました。今までの方(と言っても、あまり指揮を観る機会ってそんなに多くないですが…)は、指揮棒を構えてからワンテンポをおいて振り始めるといった印象があったんですけど、梅田さんは構えたらすぐに振るっていう感じで、いろんなスタイルの方がいらっしゃるのだなあと感じたコンサートでもありました。

話を戻しまして。「天空城」では、クラリネットソロがあったんですが、久石さんのコンサートであまりクラリネットソロの記憶があまりなくて、新日フィルのクラリネットソロをなぜだか初めて聴いたような感覚がありました。…が、あまり演奏覚えてない…(汗)

あっという間に時間が過ぎ、最後の曲「結婚ワルツ」が演奏されました。この辺の記憶はもう残っていないんですが、非常に優雅な演奏を響かせていました。バレエドラゴンクエストで違うバージョンのものもあって、たまにそちらを聴いてみたいなあなんてことも思ったりするんですが(笑)、通常バージョンのアレンジでした。

プログラムの最後の曲が終わり盛大な拍手が指揮の梅田さんと新日本フィルハーモニー交響楽団の皆さんに送られます。拍手が送られる中、指揮の梅田さんが一旦舞台袖とステージ上を2往復くらいしたと思いますが、客席に向かって「もう1曲演奏しますね」と人差し指を客席に示しながら指揮台へと登られました。

アンコールということで演奏されたのは「交響組曲ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」より、「おおぞらをとぶ」が演奏されました。多くのドラクエファンが大好きな曲のひとつとして挙げるであろうこの曲は、ご多分にも漏れずボクも大好きで、この日のコンサートで演奏されるとは全く思っていなかったので全くの嬉しい誤算でした。新日フィルのフルートの荒川さんと、オーボエの古部さんって、久石さんのコンサートでもよくお見かけする奏者の方で、「久石譲 in 武道館」でも大活躍され、映像・音声がブルーレイなどに収録されておりますが、主旋律がフルートからオーボエに流れて、その後ストリングスが力強く奏でる音色は素晴らしかったと思います。すごく素晴らしい曲なんですが、曲自体は短めの曲ですぐに終わってしまうんですよね。もうちょっと味わっていたい曲でした。

演奏が終わると梅田さんが客席を見渡して、おそらくすぎやまさんに対して拍手を送ってほしいというジェスチャーをしつつ、すぎやまさんを探している感じでしたが、曲が終わるや否やすでにすぎやまさんが舞台袖に移動をし始めていたようで、すぎやまさんが舞台袖から再登場して盛大な拍手が送られます。

そんなすぎやまさんに梅田さんが指揮棒を手渡されると、すぎやまさんは指揮台に上がられました。会場からは大きな拍手と歓声が起こりました。今回のコンサート、すぎやまさんがこれまで指揮を振られていることを知らない方が多かったのか、歓声も若干どよめきに近いものがあったような感じもしましたが、非常に大きく会場が盛り上がったのは確かです。そんな中演奏されたのは「交響組曲ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族」から「序曲X」でした。個人的には生で新曲の「序曲XI」を聴きたかったところですが、やっぱり東京では東京都交響楽団との兼ね合いもあるでしょうから、第11作の曲は演奏されませんでした(苦笑)。でもですね。この「序曲X」の演奏がもの凄く良かったんですよ。先に書いてますけど、最初のVの「序曲のマーチ」の記憶をかき消したくらいですから。トランペットが活躍する曲ですが、このコンサートの最終盤に安定した音色で聴かせてくれて、心地よかったです。しかも、すぎやまさんがもの凄く力の入った指揮振りは素晴らしかったです。途中、チェロ・コントラバスに向けて左手で拳を作って力強い指示を出しているところは、ボクがこれまで観てきた中では一番力が入っていて、ジェスチャーも大きかったなあという印象がありました。ファンとしては、やっぱりすぎやまさんの指揮を観たかったので、満足させていただきました。すぎやまさんの指揮に元気をもらったような感じです。

そんな指揮と素晴らしい演奏だったので、拍手がなかなか鳴り止みませんでした。何度かすぎやまさんと、最後の曲をステージ上で聴かれていた指揮の梅田さんが舞台袖とステージ中央を行き来しながら、お互いと新日フィルの皆さんを讃えていて、その皆さんに対して、客席は盛大な拍手で讃えていました。

第一部では違和感を感じていたところもありましたが、最後が第二部とアンコールが素晴らしかったので、コンサート全体としても非常に良い印象となりました。そんな素晴らしいコンサートだったので、すぎやまさんと梅田さんが舞台袖に退場されて、照明が灯り、コンマスの西江さんが退場のために客席に向かい一礼されても拍手が残っていて、なかなか鳴り止みませんでした。そんなこともあってか、客席がようやくホールから退場し始めた頃合いに、ひょこっとすぎやまさんが舞台袖から現れて、会場から改めて大きな拍手が送られました。皆さん立ち上がられていたので、形としてはスタンディングオベーションのような感じになりました。

そんなようなコンサートとなりました。正直、二週連続の上京だったんですが、来る価値がありました。久しぶりのドラクエコンサート、堪能させていただきました。と同時に、やっぱり新日本フィルハーモニー交響楽団の皆さんは、ドラクエの演奏が若干こなれていない部分はありましたけど、演奏は非常に上手いなあと改めて感じました。来年3月から4月にかけて、新日フィルさん演奏でドラクエIII、IV、Vのコンサートがあるとのことなので、ボクは日程的に参加は厳しいかも知れませんが、楽しみにしていただければと思います。

以上、「新日本フィルハーモニー交響楽団 ドラゴンクエストコンサート」のレポートをお送りしました。

アンコールの曲目紹介が終演後に掲示されていました。


スクウェア・エニックスのドラゴンクエストチームの皆さんからスタンド花が贈られていました。

ショー
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