第14回ファミリークラシックコンサートドラゴンクエストの世界(Be SUGIYAMANIA 1st!!・2000.8.23)

好評を頂いている「Be HISAISHIST!!」シリーズですが、今回、ドラゴンクエスト好きが講じて、ネットでの友人であるよしむらさんより、コンサートへお誘いを頂き、今回、特別篇として「Be SUGIYAMANIA!!」を書かせていただくことになりました。これまでの久石譲さんのコンサートレポートで培った経験と知識を生かして(生かせるかどうかは分かりませんが…)、頑張ってみましたので、もしよろしければご覧下さい。読み終わったら、ご感想などをメールででも頂ければ嬉しいです。あと、お暇があれば、本家”Be”シリーズである、久石譲さん(「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」など宮崎駿監督作品、または「HANA-BI」「菊次郎の夏」の北野武監督作品の音楽を担当されています)のコンサートレポートも読んでみて下さいね!

※注意
○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。
日時2000年(平成12年)8月23日(木) 18時から
会場東京・サントリーホール
チケット全席指定 S席5,000円 A席4,000円 B席3,500円
出演者指揮とお話 すぎやまこういち
ゲストコンサートマスター 朝枝信彦
演奏 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
その他主催:ファミリークラシックコンサート実行委員会
協賛:(株)エニックス (株)SPEビジュアルワークス
企画・構成:スギヤマ工房

曲目

序曲のマーチVII / エデンの朝 / 封印されし城のサラバンド / 王宮のホルン / のどかな家並 / 哀しみの日々 / 憩いの街角~パラダイス~時の眠る園~うたげの広場~憩いの街角 / 失われた世界~足取りも軽やかに / 迫り来る死の影 / 血路を開け~強き者ども

    INTERMISSION 休憩

スフィンクス~大神殿 / 小舟に揺られて~海原の王者 / 愛する人へ / 魔塔の響き / 哀しみを胸に~やすらぎの地 / 魔法のじゅうたん / 遥かなる空の彼方へ / オルゴ・デミーラ / 凱旋そしてエピローグ

ENCORE 街の人々 / この道わが旅

思いをよせながら…

(前書きですのでお急ぎの方は読み飛ばしを…)

7月23日、そうドラゴンクエストのコンサートがある日。僕の場合、これまでコンサートというとスーツ姿でピシッとした格好だったんですが、今回は普通の私服で行ってみました。いつものように特急に乗り、電車を乗り換えたり歩いたりして、まずは宿泊先である六本木近くのホテルにチェックイン。時間もあまり無かったので、ちょっと荷物を整理したところでいざ、サントリーホールへ。それにしても、暑い、暑すぎる… 少ししか歩いてないにも関わらず、汗が出てくる… 僕はあまり汗をかかない方だと思っていたんですが、この日はもうバテバテで、汗だく状態でした。で、サントリーホール近くには来たものの、あのアークヒルズとかいう、訳のわからない建物に阻まれて、なかなかサントリーホール前に出られず…(爆) 目の前に見えているのに、どうやっていくんだ~ などと、ドラゴンクエストのダンジョンのような感覚にとらわれていました。その建物の中に入って突き進んでいたんですが、2階のバルコニー部分に出たときには、「真下がサントリーホールなのにどうやっていくのだろうか…」という感じで…(笑) ぐるりと一回りして何とかホール前には出れました。そして、今回はよしむらさんのオフ会がコンサート前に行われるので、他の皆さんとお会いすることになっていたのですが、もちろん顔などわかるはずも無く、「誰だろうなぁ…」とウロチョロしていました。で、ちょうどそれらしき人たちが集まっているのを見て、「あの人たちだろう」と思い、寄っていくと案の定、そうでした(笑)。

さあ、オフ会だぁ…と思ったら、会場予定だったスターバックスというカフェテリア(?)で人数分の席が確保できず、その上よしむらさんも所用のため遅れてしまうといったダブルパンチ(苦笑)。ま、スターバックスでそれぞれ飲み物などを買って、サントリーホール前に良い具合のテーブル&チェアがあったので(おそらく他の店のものだろうけど(笑))、そこにみなさんが集まっていろいろと話し始めました。ちなみに最初は、僕のとなりにひろくんさんと、DQっこくん、向かいにぷよさんがいました。でも何を話して良いのか分からず、あまり会話が弾みませんでした(汗)。うーん、話ベタはつらい… 徐々に話が弾んでくると、DQっこくんのトークショーが繰り広げられました。いやぁ、マシンガンのようにドラクエネタが続々と出てきますね~ いやぁ、5年も前にゲームを引退した身(ドラクエVIIで復活しましたけど…(笑))の僕にとっては半分、チンプンカンプン状態の感じもあったんですが… というより、普通だったら「覚えてないだろ~」ということまで覚えているし… すごいドラクエに対する熱意というのが感じられました。

いつの間にかオフ会の主人公でもあるよしむらさんも登場し(ひろくんさん曰く、よしむらさんはフウテンの寅さんとのこと。確かにそうだった…(笑))、いろいろと話していると、今回のオフ会のゲストである、オリオンさんとリバストさんがいらっしゃいました。なんともドラゴンクエストのスタッフの方で、えーと、たしかシナリオ関係の担当の方だったと記憶していますが、間違っていたら誰か僕にこっそり教えてください(笑)。とりあえず、ネット上でもやり取りがなかったお二人にとりあえず自己紹介を済ませると、DQっこくんが矢継ぎ早に質問攻め!(笑) 話していた具体的な内容は良く覚えていないのですが、これからのまだ正式に発表されていないことなどの質問をすると、「うーん、そうかも知れないね~」とかとリバストさんが言葉を濁す場面も。「そりゃ、企業秘密ですからね~」と、ひろくんさんと僕とで笑ってました(笑)。

そうそう、言うのを忘れていましたけどDQっこくんと、その弟くんが特性のドラクエTシャツを着ていました。伺うところによるとお母さんのmipoさんのお手製だそうで、ドラクエのモンスターたちがいろいろと描かれてあったのですが、とても手書きで作ったとは思えない代物でした。ハイクオリティーで売り物にしてもおかしくないです、はい。オリオンさん、リバストさんも興味津々で、写真やビデオなどに映像を納めていたようです。

ん、妙な格好をした人々がちらほらと… コスプレか!(笑) ドラゴンクエスト歴代の主人公たちの姿をした人々が現れだしました。取材に来ていた記者たちにインタヴューを受けたりしていたようです。おそらく発売当日にでも、ニュースのネタに記者たちが取材に来ていたんでしょうね。ちょっと写真もとってみようとしたんですが、あまり良く映ってませんでした… にしても、一人だけ、すぐには何だったか思いつかない格好をした人がいました。結局は、ドラゴンクエストのアニメ「ダイの大冒険」に出ていた竜騎将バラン(字が合っていないかも知れません…)でした。ま、確かにドラクエなんですけど…(笑)

で、オリオンさんが「そろそろ時間みたいなので会場に入りますか」という声とともに、みなさん、会場に入っていきました。会場入り口あたりで、みなさん、誰かを待つために固まっていたようでした。話を聞くと、ラピスさんがいらっしゃるということで、よしむらさんなど他のみなさんが待っていたんですね。会場ではこの日に発売された、交響組曲ドラゴンクエストI~VIまでのリマスタリングしたCDが販売されていました。大盛況でかなりの人だかりが出来ていましたよ。僕は東京から地元に戻る時に『I・II』と『IV』を買いました。また会場では先ほど言った、コスプレをした方々の交流なども行われていて、熱気ムンムンとした雰囲気でした。

そうすると… ん? あれ? おぉぉ!! ゆうぼんさんこと、ドラゴンクエストの生みの親、堀井雄二さんがいらっしゃったではないですか! 実際にこの目で堀井さんの姿を見ることが出来るとは非常に光栄です。もう7年前ぐらいは僕も「堀井さんになりたい!」と志した人間ですし、お話はできませんでしたけど本当に、ひと目見れただけで嬉しかったです。オリオンさんが堀井さんに何か話された後、なんとDQっこくんとそのお母さんのmipoさんが堀井さんと話されているじゃないですか~ そして一緒に記念撮影! そこはひとつ便乗して、失礼ながらお写真を取らさせていただきました。便乗して何枚か取らせて頂きましたけど、インスタントカメラだったので綺麗には写りませんでした… ガックリ… その後、コスプレバランの方が堀井さんと何やら話されていたようです。何を話していたんでしょうか…

それにしても堀井さんって、実際に見ると思ったより背が高くて、多分僕くらい(ちなみに僕は173センチ)あったと思います。普通のおじさんという感じで、気負った感じもなく、雰囲気の良い方でした。いつかお話ができればなぁ… なんて思います。あ、ちなみに当日の堀井さんはサングラスはしてらっしゃいませんでした。だから最初にお目にかかったときに、「堀井さん」と気付くのが遅れたのかもしれませんが… 後から伺った話ですが、プライベートの時と仕事(主に取材)の時でメガネを変えているそうです。なるほど、このコンサートにはプライベートでいらっしゃったんですね。にしても、やっぱり他の方々の注目になるし… お疲れ様でした。

そして、時間も時間となり、会場の席へと向かいました。1階席の後のほうでしたが、ほぼど真ん中で、音がかなり良いんじゃないかなと期待できる席に座り、最初の曲を待ちます。そういえばコスプレをした方々が前の方に陣取っていました。オーケストラって前の方はあまり音的には余りよくないんですが、やっぱりすぎやまさんの姿を直に見たいんでしょうね。それにしても、前の席に座るってのは、僕のような久石ファンが、久石さんの姿を見たいがために前の席に… っていうのと同じなのかもしれません。あ、でも久石さんはピアノを弾くからちょっと違う要素があるかもしれませんけど…

いよいよ始まる… コンサート前半戦

さて、開演時間の18:00になったんですが、コンサートでは大抵5分くらい遅れてのスタートなので、あまり遅れは気にせず、他の方を喋りながらそのときを待っていました。そうすると徐々に照明が落ちていき、会場には今回のコンサートマスター・ヴァイオリンの朝枝さんをはじめに、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の方々が入場してきました。フィルの方が席についたすぐ後、すぎやまこういちその人がタクトを持って現れました。会場から盛大な拍手が送られます。指揮台に上がり、観客に向かって笑顔で頭を下げられると、サッと後ろを振り向き、拍手が鳴り止まぬうちにタクトを持った右手が上がっているではないですか!?(驚) このテンポの速さにちょっと唖然としてしまいました(汗)。

・序曲のマーチVII Overture VII
おなじみのドラゴンクエストのテーマとも言える、定番の曲からのスタートです。…と、すぎやまさんがテンポ良く、というよりかなり早めに右手をあげられたので、神奈川フィルのトランペットの皆さんが虚を付かれたのか、あるいは心の準備が間に合わなかったのか、最初のファンファーレの出だしの音が割れてしまってました(笑)。ま、ありゃ、仕方ないのかなぁ…なんて割り切りつつ、おなじみのメロディーに感じ入ってました。やはり、『これぞドラクエ』という華麗なマーチでした! にしても、一緒にすぎやまさんの姿を見ていたんですが、すぎやまさんの指揮は言うなれば場慣れした指揮という感じで、さほど力の入っていないものでした。確かに力を入れすぎると疲れてしまいますし、その辺の配分みたいなものもあるんでしょう。すぎやまさんの場合は、コンサート前のリハーサルで充分練習をしているのだから、さほど指揮に力を入れなくてもフィルの皆さんがやってくれるだろうという、ベテランならではの発想からの指揮なのでしょうね。ま、指揮については後ほどじっくり喋ってみようと思います。

「こんばんはー、すぎやまこういちです。」

一曲目の演奏が終わるとすぎやまさんが話し出されました。もちろん会場から盛大な拍手が寄せられます。そんな中、今回のコンサートマスターである朝枝信彦さんと、演奏を務める神奈川フィルハーモニー管弦楽団の方々の紹介をされました。会場から切れ目の無い拍手が続きます。

「えー、これまでいろんなところでドラゴンクエストのコンサートを行ってきました。しかし、今回はこれまでと違って、ゲームが発売される前に演奏をするということで、これはこれまでコンサートをやってきて初めてのことです。今回、『ドラゴンクエストVII-エデンの戦士たち-』は本邦初演のはずだったのですが、急に福岡でコンサートが決まって、ついこの間演奏をしてきました。ということで、今日は東京初演ということになります。」

福岡でコンサートがあったんですか? 初耳で知りませんでした。僕らの前にすでにVIIの曲を聴かれていた人がいたんですね~ にしても、発売前のコンサートというのはちょっと、厳しいかなぁなんてちょっと不安に思ってはいたんですが、果たして結果はいかに…

「それではこれから3曲、ゲームの序盤で流れる曲を続けて演奏しようと思います。この曲がどのような場面で流れているのか、想像しながら聞いてみて下さい。」

    そうおっしゃるとサッと、フィルの方々に身体を向けて指揮棒を振りかざしました。

・エデンの朝 Morning of Eden
この曲、聴き直せば思い出せるんでしょうけど、自力では思い出せないんですよ…(苦笑) 出だしが静かなヴァイオリンのメロディーだったような気がするんですが…

・封印されし城のサラバンド Saraband
この曲も具体的には覚えていないです… ただ何か不思議な雰囲気のする音楽だったとは記憶しているのですが…

・王宮のホルン Echo of Horns throughout the Castle
テレビ番組などでよく流れていたり、ソニーのホームページに音楽データがアップされてあるので、聴いたことのある方も多かったのではと思われますが、この曲は文字通り、ホルンの音が前面に出た音楽です。王宮の楽器シリーズだと、『王宮のトランペット(V)』に続き2曲目ですね。このホルンって、管楽器の割には音が柔らかいというのが分かり、またその音が素晴らしかったです。すぎやまさんも、「やっぱりホルンの音は素晴らしい!」と絶賛するほどのものでした。曲中ではメロディーが奏でられるところで、左こぶしを高々と挙げて、ホルンパートをリードしていたのがカッコよかったですよ。

3曲が終わり、盛大な拍手が会場から送られた後、すぎやまさんが話し始めました。

「え~、ドラゴンクエストはホントに素晴らしいゲームで、このゲームがはじめて出た時からかれこれ14年も経ったのですね~ このような素晴らしいゲームに出会えて私は幸せです。」

このひとことで会場からひときわ大きな拍手が送られました。

「私はドラゴンクエストVIIをテストROMで5分の1くらいやったんですよ。」

今度はこのひとことで会場からどよめきが起こりました。そりゃ、みんなは発売前だからやっているはずがないし…(笑)

「ま、仕事の役得ですよ~(笑) にしてもホント、素晴らしいです。(神奈川フィルの皆さんに向かって)ホント、良いですよ~ やってみて下さいね~!」

フィルの方々に向かっておっしゃったものだから、会場から笑い声もちらほら…

「そうそう、ドラクエVIIのヒントを教えても良いですか? ん、良いですね?」

どうも会場にきていた堀井さん、オリオンさん、リバストさんなど、スタッフの方に問い掛けていたみたいですね。スタッフの方々が前から10列目ぐらいの席に勢ぞろいしていたようですし。他にもアートディレクションされた眞島さんやら、プログラムの山名さん、またまた伝え聞くところによるとチュンソフトの中村さん(Vまでメインプログラマーをされ、現在『トルネコの大冒険』『風来のシレン』『街』などの作品を作られています)もいたようです。中村さんだけはこの目で伺うことは出来ませんでした。もちろん、お話をいっしょにしたリバストさん、オリオンさんも一緒におられたようです。

「私がやってみて思ったことは、『街の人々全員に話をすること』ですね。何をやって良いか分からない時に、まだ話していなかった人に話すと、これからやるべきことが分かるというがたくさんあります。今回は驚くべきことに、ドラゴンクエストVIIのシナリオが17,000ページになったということですが、そうですよね?(また堀井さんたちに問い掛けているみたいです) そういうことで凄いゲームです。みなさん、ドラゴンクエストVII-エデンの戦士たち-、是非買っていただき、やってみて下さいね! それと音楽も一緒に楽しんでいただければと思います。ゲームをやっている最中、決してヴォリュームを下げたりしないで下さいね(笑)。」

最後のひと言には会場からも笑いの渦が起こりました。にしても、やっぱりドラゴンクエストの基本は「人の話を聞く事」ですね。逆に人の話にヒントがあるからドラゴンクエストなのかも知れません。にしても17,000枚のシナリオってのは大変でしょうね。僕のこのコンサートレポートの下書きがたかだかB5で9ページでしたし(それでも、多い方なんですが…)。

「それでは、またこれから3曲続けて演奏します。」

ということで、演奏が早速始まりました。

・のどかな家並 Heavenly Village
 ゲーム中での”村”の曲のようです。たしか、ヴァイオリン、クラリネットが中心の曲だったような気がします。

・哀しみの日々 Days of Sadness
曲の出だしがきれいなハープの音色でした。それからヴァイオリンのメロディーが入り込んできて、といったような感じでタイトルにあるように哀しげな曲です。ただ、この曲がレクイエムかどうなのか、ちょっと疑問に思いました。哀しいけど、美しすぎるメロディーはレクイエムにするにはもったいないし、もう一曲、レクイエムっぽい曲があるので、そちらの方がそうなのかなあなんて…

そうそう、この曲中に気づいたのですが、すぎやまさんがタクトを持っていなかったんですよ。いつのまにかタクトを楽譜台かどこかに置いておいたんでしょうね。両手を思い切り動かしつつ、指揮を振るっていました。

・憩いの街角~パラダイス~時の眠る園~うたげの広場~憩いの街角 Strolling in the Town
まず、『憩いの街角』という曲ですが、ヴァイオリン主体の文字通り”街”での曲でしょう。さほど目立った曲ではないんですが、ドラゴンクエストの”街”の曲はすばらしい曲がそろっていると思います。この曲も非常にすばらしいなぁと、すぎやまさんの力に感服するばかりです。メロディーだけを考えると今作ナンバーワンなんじゃないかなあと勝手に思っています。

そして次の曲に『パラダイス』が来ているんですが、これは”カジノ”での曲でしょうね。ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバスの弦楽器の全部がピチカート奏法(弦を指ではじいて音を出す奏法)で、かつドラムなんかが入り込み、非常にノリの良いかっこいいナンバーでした。この曲中ではコントラバスの方がノリノリでピチカートをしていたのが印象的でした。

次に歌い上げられた『時の眠る園』ですが、この曲、さっぱり覚えてません。チェロ主体の静かな曲だったような気がするんですが、確かめてみないことには分かりません。

そして今度は『うたげの広場』という曲ですが、曲中、非常にパワフルな場面があっていい感じの曲でした。最後にまた『憩いの街角』が繰り返し披露されていました。

またまた3曲終わった後、盛大な拍手が起こり、それが鳴り止むと同時にすぎやまさんが話し始めました。

「これまで、I~VI、そして今回、VIIが出るわけですが、これまでの作品の曲が、”何とかマスタリング”とかで(笑)、新しくなって発売されます。会場でも売っておりますので、もしよろしければご購入いただければと思います。」

皆さん、このひと言に拍手で答えます。皆さん、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団によって命を再び吹き込まれた『交響組曲ドラゴンクエストシリーズ』、買って損は無いです。それまでのCDとは全然、パフォーマンスが違います。すぎやまさん曰く、「彼ら(ロンドンフィル)の演奏に匹敵するくらい(PlayStation音源で作るオリジナル曲を)細部まで全部歌おうとすると、1曲作るのに5年かけても大変かな。<DTM Magazine 2000年9月号より>」というくらいですし、世界中のオーケストラでトップ5には入ってくるだろう方々です。また、SBM (Super Bit Mapping)という技術でCDの音質自体もよくなってますので、是非、買って聴いてみて下さいね~(個人的に宣伝…(笑))

CDの宣伝を終えたところで、すぎやまさんは「それでは前半最後の演奏です」とおっしゃって、タクトを取られました。

・失われた世界~足取りも軽やかに Memories of a Lost World~Moving through the Present
まずは『失われた世界』ですけど、クラリネットの音色が鳴っていたような記憶があるのですが、はっきりとしたことは分かりません…(汗) 静かな曲であったような記憶もあるんですが… 皆さん、CDを買って確かめてみて下さいね。

そして『足取りも軽やかに』です。この曲は”フィールドマップ”での曲でしょう。トランペットのメロディーが楽しげに流れていきます。メロディー的には生死をかけた冒険って感じではなくて、仲間が揃って楽しげに冒険に出かけていくような感じのする曲ですね。この曲もかなり人気があって、よしむらさんなどもお気に入りのようです。確かに楽しげで良いですよね~

・迫り来る死の影 Shadow of Death
おそらく”洞窟”での曲だと思います。出だしがチェロから入って、それから徐々にヴァイオリンにメロディーが移っていくような感じの曲だったと思います。これまでの洞窟系の音楽の雰囲気をそのまま残したような、「うん、ドラクエの洞窟だなぁ…」と感じられる曲でした。ただ、この曲、洞窟といえどかなり長くて、曲中、ヴァージョンの違う曲が紛れ込んでいたような気がしたんですが僕の気のせいでしょうか… ただ、この曲を聴いていた時、喉が痛くなってきて、咳をするのを我慢していました(笑)。前回の久石さんのコンサートでも同じようなことがあったし、コンサートにはのど飴を持っていった方が良いんでしょうね。

・血路を開け~強き者ども Fighting Spirit~World of the Strong
多くの人々が注目しているだろう、”戦闘”の曲です。テレビやインターネット、はてまてゲームショーなどで戦闘の曲を聴いた人たちの間では、「今回の戦闘の曲はイイ!」という評判があっただろうと思います。僕自身、ソニーミュージックのホームページで初めて戦闘の曲を聴いた時は、出だしは迫力があって良いんだけど、そのあとのメロディーに迫力が無いかなぁなどと思っていたんですが、実際にその曲『血路を開け』を聴いて見ると… やられました…(笑) 他の曲と較べると迫力が全然違うじゃないですか! この曲はオーケストラをフルに使ったような豪華な楽曲ですね。それにドラムが絡んできて、激しさが増した感じになり、その上、全部の楽器がそれぞれ持つポテンシャルを生かして、可能な限り出せるだけの音量で演奏するものだから、驚きと興奮に満ちた曲でした。16ビートの出だしってのは大体お決まりなんですが、力を入れる音と抜く音が交互に入り混じって、今までとは違った感じがしていました。曲中でもヴァイオリンなんかがかなりの力を込めた演奏をして弦楽器が引っ張るというのは基本的に変わりは無いんですが、そこに管楽器(トランペット、ホルン、トロンボーン)が力強く音を出せるアレンジというのがすぎやまさんの上手さなんでしょうね。メロディーでは先ほど、『憩いの街角』がナンバーワンと言ったんですが、楽曲全体を考えるとこの曲がイチ押しです。仲間を励ますような感じでもあり、鼓動の速さを伝えるようなものでもあるこの楽曲は必ず一度はオーケストラで聴いて欲しい一曲です。

次は『強き者ども』という曲ですが、これはおそらく”中ボス”あたりの曲でしょう。この曲も前の曲と同様にかなり激しい曲です。シンプルなメロディーに、ドラムが入り込んできて、身体に直接響いてくる曲です。トロンボーンなどの低音の楽器が強い音を出していました。

前半最後の曲が終わり、盛大な拍手が送られる中、すぎやまさんは舞台上で笑顔でお辞儀をしたり、観客に向かって両手を握ってパフォーマンスをしたり、神奈川フィルの方々に向かって拍手をしたりといろいろアクションをされ、2度ほど入退場を繰り返されていました。その間、拍手は全く鳴り止みません。ということで、前半終了です。

休憩中、ドラゴンクエストのプロデューサーである千田幸信さんをお見かけしました。ピシッとスーツを着込んで、風格を漂わせるというか、落ち着きを感じさせるような方でした。と言ってもかなり離れていたところから観ていたので、実際にそうなのかと言われると困るんですが、多分そんな感じの方でしょうね。

そして円熟の時へ… コンサート後半戦

後半はすぎやまさんからのお話から始まりました。

「ドラゴンクエストとは関係の無い話になりますが、最近何か世の中がおかしいなぁと感じています。政治経済もそうですし、金融とか、あと青少年の犯罪などがそうでしょう。なぜそんなことが起こってしまうのかなぁと自分なりに考えると、どうも自分中心で物事を考えたり、判断したりしているのではないだろうかと思うんです。自分自身に得なのか、損なのかという、単なる損得だけで判断してしまうというのがその理由なんじゃないでしょうか。その点、ドラゴンクエストは自分の身を投げ打って、自分の身を犠牲にして他の人々を助けるという、愛他的と言いますか、そういった自己犠牲というのをゲームから体験できるわけです。みなさん、愛他精神というのを大切にして下さいね。」

すぎやまさんは、選挙での一票の格差についての意見広告を出されるなど、社会的な物事については非常に関心のある方で、ドラゴンクエストというパイプを通して、若い世代の人々へ何らかのメッセージを送りたかったのでしょうね。確かに、おっしゃるとおり、全ての”おかしい”出来事というのは、いわゆる自己中心的な考え、自分よがりな考えから起こされているのはうすうす感じられると思います。すぎやまさんのお話を考えると、ドラゴンクエストのやっている方々にはそのようなことを起こしてもらいたくない、といった願いというものもあったのだと思いますね。

すぎやまさんは「それでは、今から続けて最後の曲まで一気に演奏をします」とおっしゃって、後半の最初の曲に入りました。

・スフィンクス~大神殿 Sphinx~Mysterious Sanctuary
まず最初の『スフィンクス』はIIIの”ピラミッド”に通じるところがある曲でした。細かいところまでは覚えていないので、あとで確認をしてみようかなぁと思います。

そして『大神殿』という曲… これもあまりよく覚えていないです。スケールの大きい荘厳な曲だったと思うのですが、ハッキリしません。

・小舟に揺られて~海原の王者 Aboard Ship~Pirates of the Sea
『小舟に揺られて』は文字通り、小さな船が海の上をプカプカと浮いているような曲でした。でも、やっぱり具体的には覚えてない…(汗)

そして『海原の王者』は、非常に力のある曲で、出だしが大型船の出航を感じさせるようなファンファーレっぽい感じでした。相変わらずすぎやまさんはファンファーレが上手いなぁと感じました。中央競馬のファンファーレ然り、ドラクエのファンファーレ然り、素晴らしいのひと言です。そして大きな船が、海原を突き進むといった力強いメロディーが展開されていきます。この曲だけを聴いてみると何かゲームのキーポイントというか、重要性というのが伝わってくるような感じがします。VIIのロゴの背景にも大型船が映し出されていますし、どうも「船」というのがキーワードなんでしょうね。

・愛する人へ To My Loved One
またまたこの曲ではすぎやまさんがタクトを手から外して、フリーハンドで指揮をされていました。ゲスト・コンサートマスターの朝枝さんのヴァイオリンソロからこの楽曲は始まります。悲しげにも綺麗なメロディーが流れる楽曲でした。

・魔塔の響き Screams from the Tower of Monsters
これは文字通り”塔”の曲ですね。出だしを弦楽器(ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバス)すべてがピチカート奏法(弦を指ではじいて弾く方法)で入るといった面白いものでした。曲のテンポも速かったので、ピチカートでよくこのテンポについていけるなぁと感心していました。不思議で怪しい感じがする曲になっているんですが、”塔”の曲であるにも関わらず非常にメロディーが美しかったです。

・哀しみを胸に~やすらぎの地 With Sadness in Heart~A Safe Haven
この2曲はほとんど覚えていません。それにしても『哀しみを胸に』はレクイエムなんでしょうか? その点が非常に気にかかります。

・魔法のじゅうたん Magic Carpet
マリンバ(もしかすると鉄琴かも知れませんが…)の軽やかな音色に乗って、ヴァイオリンの楽しげな音色がその上に乗ってくるような感じの曲でした。何となく『空飛ぶベッド(VI)』に感じが似ていたような気がします。

・遥かなる空の彼方へ Over the Horizon
この曲もゲームのキーとなるような感じの曲でした。非常に力強い場面と、メロディアスな場面が入り混じって、深みのある綺麗な素晴らしい曲でした。しかし、どのような場面でこの曲がかかるのかちょっと楽しみなところでもあります。場面が題名からだとあまり想像が出来ませんし…

・オルゴ・デミーラ Orgo Demila
この曲は”ラスボス”の曲でしょうね。ドラゴンクエストVあたりから続いている、ラストボス特有の威厳を表すかのようなおどろおどろして、低音の効いているゆったりとした曲になってました。個人的にはIIIの「勇者の挑戦」系の曲が好きなので、そっち系のものを作っていただきたかったのですが、これは仕方の無いことだと思います。箇所箇所で力強くはなるものの、やっぱり低く落ち着いた曲でした。それにしても、「オルゴ・デミーラ」ってどんな意味なのでしょうね。まさかラスボスの名前が”オルゴ・デミーラ”なわけは無いと思うのですが…

・凱旋そしてエピローグ Triumphal Return~Epilogue
プログラム最後であるエンディングテーマであろうこの曲は、やっぱりこれまた素晴らしい。曲の最初は故郷に戻ってきたんだといった安堵感と、また故郷が自分たちを受け入れてくれているようなメロディーが流れてきます。その後、タイトルにもあるように凱旋パレードを行っているような強い曲調が繰り広げられていきます。街中を巡って、人々がヤンヤヤンヤと歓声を上げて祝福しているのか、あるいは喜んでいるのか、そんな感じのメロディーです。その後、今度はこれまでの旅で起こった出来事や、出会った人々を懐かしむように思い出したり、今、何やっているのだろうかと思いふけっているような感じに優しいメロディーに移っていきます。このようにさまざまな要素が組み合わさった曲で、壮大なスケールを感じさせるような曲でした。

プログラム最後の『凱旋そしてエピローグ』が終わった後、盛大な拍手が鳴り止まなかったのは言うまでもありませんでした。本当に全然鳴り止みません。笑顔ですぎやまさんが拍手に応じています。すぎやまさんも、コンサートマスターの朝枝さんも、また神奈川フィルハーモニー管弦楽団の皆さんも満足げな表情を浮かべています。いったん、すぎやまさんが舞台袖に戻られた後、また指揮台に戻ってきて、マイクを手に取りました。

「どうもありがとうございます! こんなに拍手をもらったら、アンコールをやらないわけには行かないでしょ…(笑) ということで、アンコールはやります!」

    会場から盛大な拍手が送られます。もちろん、僕たちはアンコールのために拍手をしたわけで…(爆) ま、それ以前に楽曲自体が非常に素晴らしかったですね!

「で、今回、アンコールの曲は何にしようかと考えていたのですが… これまで今回を含めて計七作までやってきて、そろそろ一番最初を振り返るのもいいかなぁと思います。」

今度は会場からどよめきと、一層盛大な拍手が起こりました。

「ということで、『I』の曲を演奏したいと思います。”街の人々”です!」

    会場からの拍手とともに、さっとタクトを用意して早速演奏に入りました。

・ドラゴンクエストIより 街の人々 People from Dragon Quest I
いやあ、ドラクエファンにとっては本当に懐かしい曲でしょう。何せ14年前に初めて作られた曲ですから。すぎやまさんや、ドラゴンクエストのスタッフの方々にとっても、昔を思い起こす曲でしょう。出だしがヴァイオリンなどの弦楽器が中心となり、その後、クラリネットなどの音色などが交じり合いながら曲が展開されていきます。やっぱり、ドラクエシリーズの”街”の曲は名曲ぞろいです。

この曲が終わると、会場からまたまた大きな拍手がすぎやまさんたちに送られます。それにすぎやまさんがいろんなアクションで答えています。そうするとまたマイクを持たれて話されました。

「またまたこんなに拍手を頂いたので、もう一曲をやらなければなりませんね?」

とコンサートマスターの朝枝さんの顔を見つつ、おっしゃいました。もちろん、会場から拍手が送られているのはいうまでもありません。

「今、『I』の曲を演奏して、『I』のことをいろいろ振り返った方もいるでしょうけれども、やっぱり『I』と来たら、そう、『II』でしょう!」

待ってましたとばかりに会場から盛大な拍手が… そう、こうなると皆さん、願うのはあの曲しかありません!

「『II』で”振り返る”ような曲… そんな曲を考えると… そうです。この曲、『この道わが旅』!!」

やっぱりエンディングである、『この道わが旅』しかありませんよ、ここまで来ると! 場内、拍手が渦巻きます。その拍手も、すぎやまさんが右手を挙げると同時に鳴り止みます。

・ドラゴンクエストIIより この道わが旅 My Road My Journey from Dragon Quest II
願っていた曲で、そう来るだろうなぁと思っていたんですが、この曲が始まると同時にゲーム上のことだけではなく、それまでの様々なことを思い出してしまって、胸がいっぱいで一人、感動していました。

アニメの「ダイの大冒険」で団時朗さんがこの曲を歌い上げていますが、それも非常に名曲で、ドラゴンクエストファンにとってはおなじみの曲です。エンディングの名曲だけあって、それまで歩んできた”道”を思い起こさせるんですよね。出だしはハープから入り、その後ヴァイオリンの音色が入ってくるのですが、それがまたググッと心に響いてきます。また、トロンボーンのソロと、トランペットのソロ部分があり、トランペットの方はメロディーがちょっといじられてあり、それがまたメロディーに深みを与えるような感じでした。大感動の一曲でした。

もう会場から大きな拍手が起こって全く鳴り止みません。すぎやまさんは舞台の出入りを繰り返し、何度も笑顔で頭を下げたり、コンサートマスターの朝枝さんと握手したり、神奈川フィルに対して拍手したり、観客に答える反応をしたり、いろいろされていましたが、最後、神奈川フィルハーモニーの皆さんを席から立たせ、全員で礼をして、盛大な拍手の中、すぎやまさんが退場され、続いて神奈川フィルの皆さんが退場していきました。

このとき、僕は「せっかく、『I』と『II』をやったんだから、ロト三部作ということでもう一曲やってもらえないかなぁ」なんてひそかに思っていたんですけど、やっぱりアンコールは2曲でした(笑)。

あとがき ドラゴンクエストコンサート堪能して…

ということで、今回のドラゴンクエストコンサートの模様は以上でした。それにしても今回のコンサートで思ったことですが、すぎやまさんの楽曲は基本的にメロディーはそれほど難しくないというか、シンプルなものなんです。会場で配られていたパンフレットを見てもらうと、その中に『王宮のホルン』の楽譜が載っているのですが、そんなに難しいものではないんです。けれども、なぜかそのシンプルなメロディーの中に深みがあるんです。シロートの僕としては、単に音を重ねていけば音楽に深みが出るものだとばかり思っていたのですが、それは違うんだと改めて認識できました。やっぱり頭の中でいろんなイメージを浮かべて、それにピッタリ合うような音楽を構成していくといった作業を行われているんでしょうね。今は無理ですけど、こんな曲がいつか自分で作れればいいなぁ、なんてふと思いました。

また、レポートのはじめの方でもちょっと書きましたが、すぎやまさんの指揮についてですけど、体の中心から右上に振り上げるといった、悪い言い方をするとちょっと雑な指揮だったのですが、もともとは指揮者ではないですし、音大卒でもないですし(その代わり東大卒ですが…(笑))、また雑だから演奏は良くないかと言えばそんなことはないし、指揮が下手なわけでもないはずです。ふと僕は指揮者には二種類あるのではないだろうかと思いました。まずは指揮台に立って、体中のアクションで自分の思いの丈を伝える指揮者。もうひとつはリハーサルでいろんな説明をして、実際の演奏となったら、リハーサルでの説明が伝わっているだろうと考えて、さほどオーバーアクションをしない指揮者。すぎやまさんは明らかに後者だと思います。これまで僕は、指揮者をお二方(指揮が本職のキム・ホンジェさんと、作曲家の久石さん(笑))を見ていたんですが、どちらの方もやはり前者の大きなアクションでオーケストラを引っ張るタイプだったので、すぎやまさんの指揮を初めて観て、「あ、こういう指揮もあるのか…」と気付かされました。やっぱりいろいろと演奏者の方とコミュニケーションを図るのは重要なことなのでしょうね。

そしてもうひとつ。ゲームをする前にオーケストラで曲を聴きたくないと言われた方がちらほらいました。また言わなくても、心の中ではそう思っていた方も少なからずいらっしゃったと思います。ゲームとオーケストラで、アレンジが違うかどうかというのは分からないんですが、たとえ同じアレンジだったとしても、オーケストラという「生の音」と、ゲーム機の音源という「機械音」ではニュアンスがまるで違ったりしてきます。せっかくの生オーケストラを聴く機会、これを逃してはいけません。パンフレットにそっと、「音楽は心の貯金です」と書かれてあるんですが、その辺のオーケストラのニュアンスを楽しんだり、生の演奏に触れて欲しいといったすぎやまさんの思いが感じられます。このレポートをご覧になった皆さんには、今後、オーケストラの演奏と、ゲームとを分けて楽しんでいただければなぁと思っています。

最後にひとつ、言うのを忘れていました。今回、演奏された神奈川フィルハーモニー管弦楽団は、「ドラゴンクエスト伝説」という、バレエ・ドラゴンクエストで使われた楽曲が入ったCDで演奏を担当しています。個人的にはこの「ドラゴンクエスト伝説」での神奈川フィルが演奏したものが一番のお気に入りです。確かにロンドンフィルハーモニー管弦楽団も素晴らしいんですが、この中で披露されている『序曲のマーチ』が非常にパワフルで、かつメリハリのつき、パワーのあるところは限りなく強い演奏をされていて、そういうものが僕の好みの演奏なので一番のお気に入りなのかも知れません。ちなみに、ドラゴンクエストV-天空の花嫁-が発売され、当時出された『交響組曲ドラゴンクエストV』ではN○K交響楽団が演奏をされているんですが、「序曲」の最初のファンファーレがどうも機械的であまり好きになれなかったのが引っかかっていたんです。せっかくの「生演奏」なのに、”機械的”にやってはあまり趣が無いですよね~ 同じ楽器でも弾く人によって微妙にニュアンスが変わるからこそ、音楽に深みが出るってものです。Vの場合はたまたま音が綺麗に揃ってしまいすぎたんでしょうが、今、交響組曲ドラゴンクエストを担当している、ロンドンフィルと神奈川フィルの方々はそれぞれ楽曲について、研究して自分の中にその曲のニュアンスを作り出しているのでしょう。だからすぎやまさんの楽曲では、同じ楽器でもそれぞれの音色が主張し、絡み合い、深みを与えているのでしょうね。

長くなりましたが、お楽しみいただけたでしょうか? 非常に長い上、読みづらいところが多々あると思いますし、ちょっと良く分からない部分もあり、本当に雑なレポートで恐縮です。とりあえず変なところを見つけ次第、直していこうと思いますが、何せ時間がないため、急いでレポートを仕上げました。こんなレポートでも読んでいただけると嬉しいです。良ければコメント欄で、ご感想、ご質問等をいただければと思っております。なお、念のために言っておきますが、コンサート会場にはテープレコーダー等を持ち込むなど、不正などはしておりませんので… だから覚えていなくて、虫食いのようなレポートなんですけどもね。というより、ちょっと曲数が多すぎて何がなんだか分からなかったというのが本音なんですが…

そういうことで、この”Be”シリーズ特別篇を読んでいただき、本当にありがとうございました。今後ともこのシリーズをよろしくお願いいたします!

初 校 2000.08.26 00:30 書き上げ
第二校 2000.08.26 09:10 修正・加筆
第三校 2000.08.27 21:37 修正・加筆・写真挿入
第四校 2000.09.02 16:30 修正・若干加筆
転 載 2023.11.26 00:00 ブログへ転載

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です