JOE HISAISHI  Freedom  PIANO STORIES 2004 with Angèle Dubeau & la Pieta Presented by AIGエジソン生命(Be HISAISHIST!! Volume 10)

つい先日、新日本フィルハーモニー交響楽団の「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」が終わったばかりだと思っていたら、すぐに次のコンサート公演「Freedom」が待ち受けているではないですか! ということで、先日あった、「Freedom PIANO STORIES 2004」ツアーの新潟での公演内容をお届けしようと思います! しかも、今回でコンサートレポートが10回目を迎えることになりました!(パチパチ) 年々パワーダウンはしておりますが(爆)、どうぞお楽しみ下さいませ!

※注意
このコンサートは記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施していますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
日時【新潟公演】2004年11月6日(土) 18時から
【東京公演】2004年11月23日(火・祝) 
会場【新潟公演】りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)コンサートホール
【東京公演】Bunkamuraオーチャードホール
チケット全席指定 S席 ¥7,500 A席 ¥7,000 B席 ¥6,500
出演者指揮・ピアノ:久石譲
弦楽合奏:アンジェル・デュボー&ラ・ピエタ
パーカッション:安江佐和子(二ッ木千由紀) ※会場により出演者が異なります
その他(新潟公演)
主催:TeNYテレビ新潟
特別協賛:AIGエジソン生命
企画:ワンダーシティ
制作:キョードー大阪/プロマックス
協力:ユニバーサルミュージック

曲目

Music List 1st コンサート序盤プログラム
2004.11.03 グリーンホール相模大野 (主催:相模原市民文化財団)
2004.11.05 横浜みなとみらいホール大ホール (主催:テレビ朝日/Fm yokohama)

I.My Lost CityII.QuartetIII.ETUDE 2004
 (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
Bolero
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Summer
もののけ姫
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
a wish to the moon
(アルバム「ETUDE」より)
Kids Returns

 

Music List 2nd 新潟特別Ver.
2004.11.06 新潟市民芸術文化会館コンサートホール (主催:TeNYテレビ新潟)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Summer
もののけ姫
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
Kids Returns
アシタカとサン (Pf Solo)
(映画「もののけ姫」より)

※ アンコールの「アシタカとサン」は新潟県中越地震の被災者の皆さんへ捧げられた

Music List 3rd 愛知Ver.
2004.11.09 愛知県立芸術劇場コンサートホール (主催:サンデーフォークプロモーション)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Summer
もののけ姫
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
Kids Returns

Music List 4th もののけ姫 Ver.
2004.11.12 広島厚生年金会館 (主催:テレビ新広島)2004.11.13 びわ湖ホール (主催:毎日放送/α-station)
2004.11.16 札幌コンサートホールKitara (主催:北海道文化放送/AIR-G’/HBCラジオ)
2004.11.23 Bunkamuraオーチャードホール (主催:テレビ朝日)
2004.11.29 東京オペラシティコンサートホール (主催:テレビ朝日)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Cave of MindSummer
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
もののけ姫
Kids Returns


 
Music List 5th 風のとおり道 Ver.
2004.11.18 川口リリア メインホール (主催:テレビ朝日 共催:(財)川口総合文化センター・リリア)2004.11.26 福岡シンフォニーホール(アクロス福岡) (主催:九州朝日放送)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Cave of Mind
Summer
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
風のとおり道
(映画「となりのトトロ」より)
Kids Returns

※ 「川口リリア」公演では1曲目演奏中にピアノのペダルが故障し、中断5分のアクシデントあり

Music List 6th 大阪特別Ver.
2004.11.19 ザ・シンフォニーホ-ル (主催:毎日放送)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Cave of Mind
Summer
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
もののけ姫
Kids Returns
あの夏へ (Pf Solo)

※ 「あの夏へ」は、サントラ「あの夏へ」とイメージアルバム「あの日の川」が合体されたアレンジバージョン。

Music List 6th 宮城仙台Ver.
2004.11.22 宮城県民会館 (主催:TBC東北放送)

I.My Lost CityII. QuartetIII. ETUDE 2004
  (for Pf,Vln,Vc,Perc)
1920~Madness
Two Of Us
Tango.X.T.C
Quartet夢の星空
Silence
a Wish to the Moon
IV.FreedomV.My FavoritesVI.ENCORE
人生のメリーゴーランド
(映画「ハウルの動く城」より)
Ikaros
(CM「キャラメルコーン」(東ハト)より)
Spring (Pf Solo)
(CM「進研ゼミ」(ベネッセコーポレーション)より)
Fragile Dream
Oriental Wind
(CM「伊右衛門」(サントリー)より)
Summer
風のとおり道
(映画「となりのトトロ」より)
Asian Dream Song 
鳥の人
(映画「風の谷のナウシカ」より)
Kids Returns

2004.11.10 長野県県民文化会館 (主催:NBS長野放送/キョードー北陸)

プログラム不明

TOUR SCHEDULE

日付地域ホール名
11月3日(祝)相模原グリーンホール相模大野
11月5日(金)横浜横浜みなとみらいホール大ホール
11月6日(土)新潟りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館コンサートホール
11月9日(火)名古屋愛知県立芸術劇場コンサートホール
11月10日(水)長野長野県県民文化会館
11月12日(金)広島広島厚生年金会館
11月13日(土)滋賀びわ湖ホール
11月16日(火)札幌札幌コンサートホールKitara
11月18日(木)埼玉川口リリア メインホール
11月19日(金)大阪ザ・シンフォニーホ-ル
11月22日(月)宮城宮城県民会館
11月23日(祝)東京Bunkamuraオーチャードホール
11月26日(金)福岡福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
11月29日(月)東京東京オペラシティコンサートホール

 

Concert X.T.C.(前半)

この日、新潟は曇り空。天気予報だと雨が降る予報だったんですが、開場時はまだ降っていませんでした。新潟県中越地震の影響で、客足が鈍いのではないかという心配もありましたけど、会場前には入り口には長蛇の列ができていました。今回はAIGエジソン生命が協賛ということで、生命保険に入会している人たちへの客席などもあったようですね。

いつものようにホワイエにはCD販売コーナーとパンフレット販売コーナーが設置されていました。久石さんのアルバムや、共演するアンジェル・デュボー&ラ・ピエタのアルバムも置かれてありました。パンフレットは例年どおり1500円で販売されていて、さっそく購入して曲目の確認などをしておきました。それと、そのとなりには新潟県中越地震の被災者の方々への募金箱が設置されていました。

いよいよ開演時間となり、そろそろ…と思っていたんですが、今回は開演するのにずいぶんと時間がかかりました。観客のホール内への入場が思いの外、時間がかかっていたためです。これも地震の影響なのでしょうか。そんななか、ステージ袖の奥の方から、楽器の音色が聞こえてきていました。奥で本番直前の練習をしていたんでしょうね。ひと通り落ち着いたあと、15分遅れで開演となりました。

最初にアンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんが入場。綺麗な女性の方たちが勢揃いと言ったところ。彼女たちの迎える拍手のなか、久石さんが入場。拍手がより強くなる。

1920~Madness
まず、久石さんのピアノとチェロの女性がタイミングを取って、演奏を開始。ソロアルバム「My Lost City」から、弦楽合奏とパーカッション用にアレンジ。違和感なく聴けました。通常だと「1920~AGE OF ILLUSION」なんでしょうけど、今回は「MADNESS」が挿入。コンサートバージョンといった感じですね。力強いアクションとともに「1920」に続けて演奏されていました。ただ、いつもだと「Madness」はコンサート最後の曲か、アンコールの時に演奏されるのが多かったので、ちょっと虚をつかれました(苦笑)。

Two of Us
プログラムには「Drifting in the City」が曲目として掲載されていたんですが、そちらは演奏されず、「Two of Us」が演奏されました。ちょっと気になったのが、前の曲が終わった後に、入場できなかった観客が席に着こうと動いていたんですが、席に着く前に演奏が始まってしまい、僕としては曲に集中できない時間帯が続きました。久石さんも気にされながら演奏されていたんじゃないかなと思います。演奏自体はこれもチェロとピアノの掛け合いから始まり、途中からヴァイオリンのソロもありました。チェロ、ヴァイオリンともども、のびのびとした音色を響かせてくれましたよ。

Tango X.T.C.
この曲は大きくアレンジが変わっていました。出だしがティンパニとピアノの組み合わせで、ピアノの伴奏がよりおおらかになったような感じ。一瞬すると、あまりタンゴには感じられなかったりします。でもタンゴなんですよね。

この曲中、会場から突如、携帯電話(というよりポケベルに近い電子音)がなりました。すると直後、久石さんの気持ちが切れてしまったのか、中盤のピアノの流れるような場面の演奏がヘロヘロになってしまい、その瞬間はもう、演奏が止まってしまうのではないだろうかといった感じでした(弾き違いではなくて、頭から楽譜がすっ飛んでしまったような感じ)。さすがに集中力を切らしてしまったんでしょうね。でも、そんな状況になりながらも演奏を止めずに、何とか最後まで演奏しきってくれました。ファンとしてはひと安心というところ。

Tango X.T.C.の終わった後、久石さんのMCがありました。

「コンバンハ…ん?」

マイクがオンになっていなかったようで、久石さんがマイクをいじくり回しており、その姿に会場から笑いが起こりました。

「コンバンハ、久石譲です」

改めて挨拶をしなおすと会場から大きな拍手が起こりました。その後、新潟県中越地震が起こって大変な時期にコンサートをやって良いものか悩んだけれど、インターネットのメールや掲示板などで、「ぜひやって欲しい」という話をもらったのでやろうと決めたいう話をされてました。

その後、共演をしているアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの話に移りました。なんともハワイに行っていたときにたまたまケーブルテレビで見かけたとのこと。東京に戻ったあとに調べて連絡を取ったそうです。にしてもみんな女性でひとりハーレム状態だ、なんて話をされてましたね(笑)。

また、彼女たちは、カナダを中心に活動している弦楽合奏団で、向こうではかなり有名だということで、CDなどもかなり売れているなんて話をされていました。そんな弦楽合奏団に何を弾いてもらおうかってことで、久石さん自身が監督された「Quartet」から、テーマ曲の「Quartet」を弾いてもらいますということをおっしゃい、舞台袖に下がって、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんのステージとなりました。

Quartet
最初はやはりカルテットでの演奏です。元々の「Quartet G-moll」の感じを変えずに発展させたような曲だったように思います。演奏中、楽しそうに演奏されている方もいて、聴いていてこちらも楽しくなりました。そうそう、演奏中は照明が赤く彩られていて、幻想的なイメージを与えてくれました。それと、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんの服装なんですが、黒を基調に赤のスカーフみたいなものを着用されていました。ユニフォームみたいな感じなのかな、黒に赤ってのは。

アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんは演奏を終え、観客に向かって一礼をしたあと、サッと舞台袖に戻っていきました。それに入れ替わりで入場してくる久石さんと、パーカッションの安江さん。スタンバイされたときにはホール内は静寂と暗闇に包まれ、久石さんと安江さんに小さなスポットライトが注がれていました。

夢の星空
最初の出だしのタイミングを合わせて久石さんのピアノの音色と、パーカッションの安江さんが奏でるハイハットシンバルをわずかに響かせる音色が合わさり、静かな音を会場内に広げさせて曲が始まりました。ホール内のパイプオルガンや天井などに星をちりばめたような照明が施され、その中に三日月も浮かび出されており、幻想的な雰囲気を醸し出していました。ピアノのメロディも、何度も繰り返しちゃいますが、静かで綺麗でした。個人的に「ETUDE」の中では一番好きな曲です。

演奏が終わった後、再びアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんが入場し、次の曲が演奏され始めました。

Silence
コンサートパンフレットには「ETUDE 2004」と題されてアルバム「ETUDE」からの選曲がされており、前の曲の「夢の星空」と合わせて3曲、ラインナップされています。でも編成の異なるSilenceも良い感じでした。

a Wish to the Moon
前半の締めは、キリン一番搾りのCMで使用された曲で。ピアノ、弦楽合奏そしてパーカッション。良い感じです。パーカッションの安江さんが右に左に動きながら(楽器がいくつもあるので、左右に動いて楽器の間を移動しなければならないのです)、ノリの良いリズムを打ってくれてました。そして、恒例となった口笛での演奏もあって、曲後半のメインメロディをアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんがバイオリンなどの弦楽器を演奏しながら口笛を吹くという芸当をされていましたよ。

a Wish to the Moonが演奏されたあと、大きな拍手が起こり、大盛り上がりの前半が終了しました。ずいぶんと長い間、拍手が続いてたように思います。去年のコンサートでは鳴りやまなくて、もう一度久石さんが出てきちゃったくらい(笑)。ちょっと記憶が無くなりかけているので間違っているかも知れませんが、確か今回も拍手が鳴りやまずに、アンジェル・デュボーさんと久石さんが「どうしよう」っていう顔つきだったような記憶もあります。

そんなこんなで休憩に入ります。15分間でしたか、開場でご一緒させていただいた雪のiwanaさんとおかぽんさんとでいろいろ話していたらすぐに時間が過ぎてしまいました。さっそく後半開演となります。

人生はメリーゴーランド?

後半は、前半と較べてスムーズに観客も入場できて、あまり遅れることなく公演再開となりました。最初と同じよりアンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんが入場した後、久石さんが入場していました。

人生のメリーゴーランド
今回のコンサートの目玉、「ハウルの動く城」のテーマ曲です。でも、観客の大半の方が曲のタイトルは知らない状況。CDを買ったりして事前に分かっているファンは一部ってわけで、パンフレットに曲目が書かれていても、多くの人が「人生のメリーゴーランド」がどんな曲なのか分からないという状況でした。

……でも、やっぱり久石さんの曲の魔力はすごい。曲が始まって、CMで流れていた下りが始まると会場内、演奏中なのにどよめきが起こりました! 「あの曲だよ」「これ、ハウルだよね?」というささやきが会場内に飛び交ってました。メロディは人々に強く印象づけているということが改めて垣間見えた瞬間でした。

曲もアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんと久石さんが楽しげに奏でていました。そうそう、アレンジなんですが、途中で雰囲気が違うような曲調になったりと、いくつかの顔を見せてくれました。聴いた当初は、映画中にもいろんなアレンジでの「人生のメリーゴーランド」が流れてくるので、いくつかのものを組み合わせたのかなと思ったんですが、コンサートで聴いたアレンジがサウンドトラックには含まれていなかったように記憶しているので、コンサート(+アルバム)用のアレンジなんだろうなという風に今のところは思ってます。来年(2005年)のアルバムが今から非常に楽しみになるアレンジでした。

Ikaros
「ハウル」に続いて演奏されたのは、東ハトの「キャラメルコーン」のCMで流れていた曲でした。CMで使われていたモチーフを活用して、この「Ikaros」になったんだと思います。軽快なメロディの中にも、ちょっと寂しさが漂うようなそんな曲だったように思います。

Spring
この曲はピアノソロだったんですが、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんは後半始まる前にステージ上に設置された椅子に腰をかけて、久石さんのピアノソロに注目します。演奏された曲は、これも知っている人が多かったと思いますが、進研ゼミのCMで流されている曲ですよね。あの軽快なメロディが久石さんのピアノソロで奏でられました。さすが「Summer」を意識して作られた曲だけあって、そんな感じがします。「Summer」「Spring」と来て秋と冬は… あ、冬は「Winter Dream」とかがありましたね~ 秋はあったかな?

Fragile Dream
続けて新曲が演奏されました。初めて聴いた曲です。特に何かのテーマ曲というわけではなくて、アルバム「Freedom ~Piano Stories 4」のために書き下ろされた新曲だと思います。しかし良く覚えていません(苦笑)。『fragile』ってのは「壊れやすい」とか「儚い」という意味があるようですが、久石さんは「このアルバムはノリのいいアルバムで聴きやすい曲を集めた」という割にはちょっと悲しげな曲だなあと思ったりしました。

Oriental Wind
この曲もファンとしてはお待ちかねの曲でした。サントリーの「伊右衛門」のCMに使われている曲です。……が、違~う!!(爆) 曲調がまるで違いました。メロディはあのままなんです。でも、リズミックになって、ノリの良い感じに仕上がってました。でもメロディが演歌なんですよね、これが(笑)。個人的にはこのリズミックな感じも良いんですけど、荘厳な方も聴きたかったなぁという感じです。前半はリズミックで、後半は落ち着いて、って感じだと個人的にはもっとはまったんですが。でも、「それ、ありかい!?」っていう久石さんのちょっとした遊びも乙なものですね~

後半は一気にここまで演奏したあと、久石さんはマイクを持たれてしゃべり始めました。ここまでの曲の説明です。本当はこのコンサートの前にアルバムを発売して、そしてそのキャンペーンも兼ねてコンサートをする予定だったんだけど作曲が遅れてしまって、なんて話をされていました。それと、タイトルの「Freedom」の話もされてましたね。政治的な意味ではなくて、精神的な自由を求めて、軽やかな曲を、すっきりするような曲を集めてアルバムにしたいという話をされていたように思います。

それと、特に「人生のメリーゴーランド」の曲名の由来をおっしゃってました。本当は、この曲は「人生の…」なんて書くと演歌っぽくて好きじゃないんだけど、なんて前置きをされた上でおっしゃってたんですが(笑)、このタイトルは宮崎駿監督が名付け親で、宮崎監督の映画のタイトルは全て「の」が入っている。「風ナウシカ」「天空城ラピュタ」「となりトトロ」。「もののけ姫」では2つも入っている。そして、この曲にも「人生メリーゴーランド」。ちょうどメモ用紙の『の』の部分が、「は」とか「も」とかいろいろ書き直された上で、『の』になったのを見て久石さんは感激し、『監督、映画のタイトルと同じく、「の」が入った「人生のメリーゴーランド」ってタイトル、ありがとうございました!』とお礼を言ったら、宮崎監督が「あれ? 『の』だったっけ? 『は』じゃなかったっけ?」と…(爆) 会場内は大うけでした。

そして、続けて3曲の説明をして、プログラム最後になるとのことをおっしゃって、演奏をはじめられました。

Summer
もうTOYOTAカローラのCMでおなじみとなったこの曲。実はもうほとんど記憶がなくて… ソロではなかったはずなんだけど…(苦笑) うんうん、そう、最初はアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんがピチカート奏法でメロディを奏でていたことを思い出しました。この軽快なリズムは、やっぱり聴いていて気持ちが良いものです。

もののけ姫
この曲はアンジェル・デュボーさんのバイオリンと久石さんのピアノのデュオで奏でられました。演奏前に、ピアノの右脇に楽譜立てが設置され、デュボーさんがそちらに移動し、他のメンバーは椅子に座って、2人の演奏を聴くという感じ。

この「もののけ姫」の演奏は、楽器が少ない方が映えますねぇ~ 今回はデュボーさんのバイオリンの音色が大いに歌ってくれるわけなんですが、照明も落とされて、小さなスポットライトを浴びながら、静かな会場にバイオリンから「もののけ姫」の音色が流されるだけで、その場に幻想的な風景が繰り広げられていくように感じられます。

Asian Dream Song
この曲は、会場に来ていた方で知っている人は多くないでしょうけど、ファンとしてはおなじみ、長野パラリンピックのテーマ曲ですよね。でも、よく考えたら、あれから6年も経っているんですね。早いものです。でも、メロディは全然色褪せていません。思わず、THE BOOMの宮沢和史さんのように歌い出したくなりました(笑)。でも、どんな演奏だったか、よく思い出せない(汗)。ごめんなさい。

この曲が終わった後は、盛大な拍手が起こりました! そして、最前列中央の男性2人組がさっそくスタンディングオベーションをされました。早ッ!(笑) と思いきや、徐々に立たれる方が多くなってきて、アンコールが始まる前からすごい状況でした。僕も便乗して立ちましたけどね(苦笑)。

Ashitaka & San(アンコール)

1、2度くらいステージ上と舞台袖を行き来されてから、久石さんは再びピアノに向かわれました。アンコールの開始です。

鳥の人
正直なことを言うと、アンコールでナウシカの曲が来るとは思いませんでした。大抵は最初に演奏された「Madness」とか、最近だと「ToToRo」が来るのかなあと思っていたんですが、予想を裏切られました(笑)。でも、最近、ナウシカは聴いていなかったから、返ってちょうどいい選曲かも知れません。それに、今年(2004年)はナウシカの映画化からちょうど20年で、節目の年なんですよね。そういう意味が込められていたのかも知れません。演奏はやっぱり壮大なスケールで奏でられていました。

ここでも大きな拍手とともに再びスタンディングオベーションが一部で起こっています。久石さんはいたく感激している様子でした。先ほどと同じように一旦舞台袖に戻って、再び姿を現したあと、花束を持った女性お二人が久石さんにそれを手渡して、少しお話されたあと、握手をされていましたよ。

花束が渡されたあと、アンコール2曲目に突入です。

Kids Return
疾走感漂う、北野武監督の同名タイトルの映画からのメインテーマです。この曲は弦楽器の激しさが特に伝わる作品ですが、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんがこの曲も楽しげに弾かれているのが印象的でした。この曲、リズムが早くて難しいはずなんですけど、やっぱり裏打ちされた技術があるんでしょうねえ。返って、久石さんのピアノの演奏が追いついていかなかったりして…(苦笑:もちろん冗談です!)

「Kids Return」が終わった後、ビックリしました。スタンディングオベーションが、立つわ立つわで… 全員総立ちです! ステージを観客席がグルッと囲むようなアリーナ形式のホールなんですが、向かい側のパイプオルガンの前に座っている2階席の方々も立っているし、観客の方のほとんどが立っていたんじゃないかと思います。これには久石さん、メチャクチャ感激されていて、僕は最前列だったんですが、ちょっと目を潤ませている久石さんを確認しました。

何度もアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんとパーカッションの安江さんとともに、幾方向にもお辞儀をしながら、舞台袖に引き上げられていきました。それでも鳴りやまないスタンディングオベーション。再びステージに戻ってきた久石さん、両手を組んで「ありがとう」という表情をされながら、またいろんな方向にお辞儀をされながら、舞台袖に戻られていきました。普通だとこれで終了というところですが、新潟の観客の皆さんは、今回の新潟県中越地震のこともあってか、ぜんぜん拍手とスタンディングオベーションが落ち着きません。

これは参ったという感じで、再び久石さんがステージに現れたものだから、ものすごい歓声が鳴り響きます。「弱ったなぁ」という表情をされながら、ピアノに座るとマイクを持たれて話されました。

「今日は、何も用意していないんですよ~ 楽譜も何も用意してなくて… 全然さらっていないんだけど、間違ってもいいんだったら、演奏しようと思います!」

そんな声に、さらに会場から歓声が上がります。やっぱり久石さん、首をかしげながら、どうしようかというアクションをしており、そんな中、徐々に歓声も収まり、静かなホールへと戻っていきます。ライトもピアノに一つ、スポットライトで浮かび上がっています。


アシタカとサン
そんな中、演奏されたのは映画「もののけ姫」より、『アシタカとサン』でした。個人的には非常に好きな曲です。しかも、この曲は人間同士や神々との争いにより滅びかけた森が少しずつ再生するシーンで流されている曲で、まさに地震からの再生を、という想いが込められたような曲でもありました。

久石さんも、全然練習していなかった曲で、楽譜もなく、音を確かめるようにゆっくりとしたテンポでピアノソロを演じられていきます。そのスローテンポが非常に素晴らしかった。個人的に好きな曲でもあり、予定外のアンコール、そして新潟の皆さんの想いと、そして久石さんの潤ませた瞳を目の当たりにして、ものすごく感激しました。コンサートでは涙することは今までなかったんですが、この日ばかりは感激して、少しだけ感極まってしまいました(苦笑)。

もう、何もかも吹き飛ばしてくれる一曲でした。この日の公演は、開演時間が遅れたり、演奏中に携帯電話が鳴らされたりで、特に前半は無茶苦茶な状況だったので、どうなることやらと思っていたんですが、この「アシタカとサン」を聴いて、それらがなんて小さなことなんだ、なぜそんなことを気にするんだ、ここではもっと大変なことがあっただろうに、という気持ちにさせてくれました。この曲ひとつを聴いて、救われた気持ちになりました。他のみなさんもそんな気持ちになったのではないかと思います。

本当に、新潟を思い表すいい一曲だったのではないかと思います。

そんな素晴らしい時間が過ぎ去り、演奏が終わりました。直後、久石さんがマイクを持ってひと言。

この曲を、今回の地震で被災された方々のために捧げます!

そうおっしゃると、会場から大きな歓声があがり、やがてぽつぽつとスタンディングオベーションが起こり、最終的にはほぼ観客の全員が立っている状況になりました。久石さんも最後には感極まって、涙されていました。逆に新潟から力をもらったことに対して、嬉しかったんでしょうね。あるいはいろんな意味で不安だったのかも知れません。「コンサートなんて開いていいんだろうか」という思いもあったとのことですから、これだけ大変な状況である新潟の皆さんに受け入れられて、万感胸に迫るところがあったのでしょう。

目を赤くした久石さんが、360度、いろんな方向にお辞儀をされたあと、舞台袖に戻られていきました。

……実はそれでも、観客の皆さんは帰しません(苦笑)。拍手が止みません。そうすると、久石さんが「Joe Hisaishi」の刺繍の入った緑色のタオルを手にしながら、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんと、パーカッションの安江さんとともにステージに戻ってきて、みんなでお辞儀をされていました。会場にも楽しげに手を振られて、久石さんが客席に向けて「ありがとう!」というような表情をされていました。こちらこそありがとうですよ!!

そういうことで、新潟公演は無事終了しました。新潟県中越地震もあり、開催も一時危ぶまれましたが、成功裡に終わりました。一観客としても非常に嬉しかったです。新潟へ行ってよかった、そう素直に思いました。

そうそう。アンコールの最後に演奏された「アシタカとサン」、他の会場では演奏されていないようです。新潟の皆さんに対して、いろんな意味での復興を願って、今回のレポートは終了させていただいます。拙文を読んでいただいて、ありがとうございました。

文化村っちゃどこだべ?(オーチャードホール特別編)

新潟と合わせて、Bunkamuraオーチャードホールにも足を伸ばしてきました。東京日帰りで、しかも一緒に映画「ハウルの動く城」も観てきたので、かなり疲れましたが…(苦笑) そうそう、映画はなかなか楽しかったですよ~ ストーリーは相変わらず難解というか、シーンをすっ飛ばしているというか… 説明的なセリフとかは無いですから、話を追おうとする人にはちょっと難しいんじゃないかなぁと思います。

で、肝心のBunkamuraオーチャードホールはデパートと併設されているような感じのようですね。外観が全然コンサートホールっぽくありませんでした。ホール入り口もシックな感じで、落ち着いてます。それと、新潟と同じように、AIGエジソン生命の保険などに加入されている方たちの招待券受付などもされているようでした。

曲目については、広島、びわ湖、札幌と同じでした。新潟と異なったのは「Cave of Mind(映画『ハウルの動く城』イメージアルバムより。サウンドトラックでは「星をのんだ少年」と改題)」が聴けたことかな? 新潟は新潟で「アシタカとサン(映画『もののけ姫』より)」がありましたけど、他の会場で「風のとおり道(映画『となりのトトロ』より)」の演奏があったとのことで、そっちも聴きたかったなぁと、少し残念な気持ちもありますが…

レポートは新潟とかぶってしまうので、オーチャードホールで聴いた「Cave of Mind」について、とりあえず書いておこうと思います。

Cave of Mind
今回のコンサートでもっとも注目されたのはコンサートツアー中に公開を迎えた映画「ハウルの動く城」のメインテーマでもある『人生のメリーゴーランド』だと思いますが、この曲に引けを取らない曲と言ったら、この『Cave of Mind(サントラでは『星をのんだ少年』)』でしょう! トランペットソロで繰り広げられる甘い音色が、心の中を響かせるような感じで、壮大な気持ちを感じさせてくれます。

それが弦楽合奏アレンジされるわけで… 演奏される当初からどうなるんだろうと気になっていました。久石さん本人も、「思いの外、好評なんです」なんて話をされていて、じっくり聴いてきました。

まず出だしの音色なんですが、チェロのソロになります。久石さんが、「どうぞ」と右手をチェロの方に差し出すと、その合図に合わせてチェロの方が、お一人で朗々とあのメロディを歌い上げていきます。

後は…… 実は細かいところまで覚えていなかったりします(苦笑)。福岡公演で、久石さんは「Freedomには収録していなかったけれど、好評だったのでいつかレコーディングしたい」という話をおっしゃっていたそうで、来年の1月に発売される「Freedom」に収録されないのがちょっと残念ですが、いつか、このアレンジをゆっくり聴ければなあと思います。

にしても、オーチャードホールは広かったです。シューボックス型というちょっと両脇を狭めにして、奥行きを大きく取り、天井の高いホールになってます。オーチャードホールのホームページによると2,150席もあるとのこと。広いわけです。でも、ちょっと気になったのがピアノの音がちょっと弱いかなぁと… 会場が広いとそれだけ、元々の音量が無いとなかなか響かなかったりするんですが、さすがに厳しかったかな、という感じはしました。


Joe’s MC
オーチャードホールでのMCなんですが、基本的には他の会場と同じような話をされていたようです。新潟とほぼ同じですけど、ちょっと書いておきますか。

まず前半は、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんの説明をするときに活動の拠点となっているカナダ・モントリオールの話をされてました。公用語がフランス語なのだ、なんて話もしていて、自身が映画監督をした「Quaret」でモントリオール国際映画祭に出品したこともあって、縁があるなあという話をしていました。

後半は、もちろん「人生のメリーゴーランド」の話をしていましたが、他にも「Oriental Wind」の話、いわゆるサントリーの緑茶「伊右衛門」のCMの話をしていました。去年はキリン一番搾りだったんだけれど、契約が切れたのでサントリーのお茶に乗り換えました、なんて話をして会場の笑いを誘っていました。「今は、サントリーの『伊右衛門』しか飲みません!」なんていうリップサービスもしていましたね。

オーチャードホールの会場の熱気なんですが、前半はちょっとイマイチ盛り上がりに欠ける部分があって、拍手がすぐに切れてしまっている感じがありました。前半は知名度の高い曲があまり流されなかった、ということもありますけれども。ただ、後半になると徐々に沸騰し始め、最後のKids Returnではスタンディングオベーションも発生しました。全員が、ってわけではなかったようですけれども、最後はかなり盛り上がりました。もう一押しすれば、アンコールがもう一曲…っていう感じでしたが、最後の一押し、欲しかったなぁ~ オペラシティも大いに盛り上がったことだと思いますし、たぶんそちらに力を残しておくという部分もあったんでしょうね。

そうそう、出待ちもやってきました。東京なのに思ったほど出待ちをされる方が多くない(苦笑)。オペラシティにみなさん、シフトされちゃってるのかな? でも、オペラシティって楽屋口とかって場所がかなり分かりづらかったような…(爆) 新潟でももらったんですが、またサインをちゃっかりともらっちゃいました(汗)。「新潟も聴きに行きました!」と声をかけさせていただいて、僕もちょっと舞い上がっていて、握手してもらうのを忘れそうになったんですが、久石さんが手を差し伸べてくれて、「またよろしくね!」という言葉とともにガッチリ握手していただいたのが印象的でした。

と、まあ、オーチャードホールでの感想はこんなものでしょうか。他にもいろいろあったのかも知れませんが、忘却の彼方へ過ぎ去ってしまっているのでなんとも書きようがなかったりします(苦笑)。そういうわけで、特別編の「文化村っちゃどこだべ?」は以上で締めくくらせてもらいます。ここまで一気に読んでいただいた皆さん、また今度もよろしぐ!(爆:最後だけ訛らせてどうすんだよ!)

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