熊木杏里「生きるとは」を聴いて
先週の水曜日に熊木杏里さんの待望の新アルバム「生きるとは」を聴いています。
どうしてもボクの中でスマッシュヒットした「飾りのない明日(2016)」とか、ファンになるきっかけになったアルバム「無から出た錆(2005)」がどうしても頭にあるので、比べてしまいがちですが、表題曲の「生きるとは」がなかなか良い感じなのと、歌詞の世界観が良いです! スマッシュヒットしたかと言われたら、そこまでは来ませんでしたが、ところどころで胸に来る曲もあり、スルメ的に楽しめるアルバム、かもしれません。
1.生きるとは
表題曲は、思い入れが強い曲です。いろんな年代の「生きるとは?」をストレートに表現した歌詞は、ありそうでなかった。幼年期から、少年期とだんだん年齢が上がってくる「生きるとは」は、いろいろ考えさせられました。ボクなんかは13年前の震災の時に一瞬でも「死」を感じたことがあって、それで「生きる」ことを考えさせられたことをちょっと思い出してしまいました。この曲は、震災をきっかけに箭内道彦さんを中心に福島県内で実施されている「風とロック CARAVAN福島」で熊木さんが出演した今年3月の西郷村文化センターで実施された回で、音速ライン・藤井敬之さんの「生きてくことは」を耳にして思いついた、というお話を熊木さんがされていて、福島きっかけでの曲なのだなあというところで、すごく思い入れが強くなりました。
2.小さな部屋
熊木さんの友人のお子さんが外に出れなくなっちゃって、その子をイメージして書いたというエピソードをラジオでおっしゃってましたが、現代を表しているような曲ですね。
3.名前のない雨降り
8月のライブで聴いたのをおぼろげながら思い出します。この曲と8曲目の「雨と海月」で、熊木さんは「雨」が似合うなあなんて感じました。曲調はなんかちょっと、歌謡曲チックな感じなんですが、それが少し惹かれる自分がいます。歌詞も熊木ワールドが発揮され、なんとなく感覚では分かる気がするけど、よく読むとちょっと分からないというか…(苦笑) 曲を制作したエピソードを聞いてから聴くとまた違った感想が生まれるのかも。
♪名前のない雨降り
着替えられない心が
体中を纏って
部屋の湿度を上げてく
4.一度死んだぼくら
この曲も8月のライブの時に披露してもらいました。「コロナ禍」の時の想いを歌った曲だとおっしゃっていたと思います。
5.地球から愛はなくならない
タイトルからはすごくスケールが大きい話に感じますが、どこかで戦争があったり、災害があって大変な人がいても、笑顔で過ごしても良いと思うよっていう曲でしょうか。これまで広い意味の「愛」を歌った曲は熊木さん、あまり歌ったことなかったのでちょっと新鮮でした。
6.働き蟻
先ほど話した「風とロック CARAVAN福島」今年3月の西郷村文化センターで、放送終了後におかわり(おまけ)で初披露してくれた曲で、熊木さんのお母さんが、お婆さんの介護とか仕事とかがやっとひと段落した姿を想って歌われた曲で、ボクと熊木さんは同年代なので、お母さんも同じくらいと年代だと思うんですが、ものすごく沁みました。「生きるとは」もそうなんですが、周りの家族や友人が年齢が上がっていくにつれて「生と死」を意識するようになってきてできた曲ではないかなと感じました。そんなことを考えながら、運転中に聞いて、思わず涙してしまいそうでした。この曲、地味に良い曲です。
7,牛乳サンキュー
8月のライブで披露された時に、「この曲はどうするか未定」と言っていたのでアルバムに収録されないのかなと思っていましたが(苦笑)、ものすごく明るい曲に仕上がってました。オマケの1曲みたいな感じ。
8.雨の海月
♪透明な恋じゃなかったから
海月(くらげ)みたいになりたかったんだ
めずらしいラブソング。だけど、ジャケットの歌詞の右隣には笑顔のない熊木さん。他の写真は柔らかい表情の写真ばかりですが、この曲のところの写真は視線がちょっと強め。
9.美しかったもの
昔のお祭りなど無くなっていく「美しかったもの」を忘れないでいるのって時代遅れ、なのかな?
♪ラジオが聴こえなくて
車ばかりが並ぶ
ここから消えて行ったものが欲しい
もう返らないのかな 美しかったものは
あの場所では いまでも面影が笑ってる
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ボクが今回のアルバムで好きな曲は、現時点では「生きるとは」と「働き蟻」です。「風とロック CARAVAN福島」の影響がもろに出ている気がします。すみません。福島在住なので勘弁してください(苦笑)。
【収録曲】
1.生きるとは 2.小さな部屋 3.名前のない雨降り 4.一度死んだ僕ら 5.地球から愛はなくならない 6.働き蟻 7.牛乳サンキュー 8.雨と海月 9.美しかったもの
【発売日】2024.11.27(CD+Blu-ray) 【コード】YCCW-10428/B(初回限定版) 【レーベル】ヤマハミュージックコミュニケーションズ 【価格】9,400円(税抜価格 8,545円)