第34回ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界 交響組曲「ドラゴンクエストIII」そして伝説へ…(2024.7.29)
コロナ禍もあり、2019年8月の『交響組曲「ドラゴンクエストIII」そして伝説へ…』を最後にファミリークラシックコンサートが事実上休止状態となり、さらにはすぎやま先生が2021年にお亡くなりになられ、すぎやま先生が指揮をされるお姿を見ることは叶わなくなりましたが、すぎやま先生の遺志を受け継がれ、東京シティ・フィルさんや日本センチュリー交響楽団さん、山形交響楽団さんが「ドラゴンクエスト」を演奏してこられましたが、満を持して、すぎやま先生のライフワークとされた『ファミリークラシックコンサート』が、盟友である東京都交響楽団さんのタッグにて再開されるという一報を受けたことから、平日開催ではあったものの、参加させていただきました。
その模様を簡単なレポート、備忘録として記録にとどめておこうと書き記すものです。次の注意事項をご覧の上、お読みいただければ幸いです。
※注意 ○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。 ○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。 |
日時 | 2024年(令和6年)7月29日(月) 18時から(開場 17:00/開演 18:00) |
会場 | 池袋・東京芸術劇場 コンサートホール |
チケット | 全席指定 S席6,000円 A席5,000円 B席4,000円(全て税込) |
出演者 | 管弦楽 東京都交響楽団 ソロ・コンサートマスター 矢部達哉 指揮 和田一樹 |
その他 | 主催:スギヤマ工房有限会社 協賛:株式会社スクウェア・エニックス お問い合わせ:エラート音楽事務所 |
曲目
第一部
・ロトのテーマ Roto
・まどろみの中で Prologue
・王宮のロンド Rondo
・世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村) Around the World
・ローリング・ダイス Rolling Dice
・冒険の旅 Adventure
・ダンジョン~塔~幽霊船 Dungeon ~ Tower ~ The Phantom Ship
・戦いのとき Gruelling Fight
休憩 Intermission 20分
《第二部》
・回想 Distant Memories
・鎮魂歌~ほこら Requiem ~ Small Shrine
・海を越えて Sailing
・おおぞらをとぶ Heavenly Flight
・ゾーマの城 Zoma’s Castle
・戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦 Fighting Spirit
・そして伝説へ Into the Legend
《アンコール》
・時の子守唄(VI) Eternal Lullaby(VI)
・序曲XI Overture(XI)
20年ぶりのドラクエ3(前半戦)
いろんな機会に『交響組曲「ドラゴンクエストIII」そして伝説へ…』を耳にしている機会があったはずなんですが、生演奏で聴くのは実は2004年8月の第18回ファミリークラシックコンサート以来だったことに気づきました。セレクションされたコンサートであったり、ネット配信での演奏だったりで聴いてはいたんですが、現地での鑑賞は久しぶりであったことに、自分自身も少しビックリしています。
しかも、会場である池袋の「東京芸術劇場」も2010年12月を最後にコンサートホールに足を運んでいなかったため、ホール前やエスカレーターも変わっていたり、劇場そばの公園にいろんな設備が出来ているのを目にして、この14年の間に結構変わったんだなあということを感じながら、東京芸術劇場大ホールに歩を進めていきました。
大ホールへのゲート付近にスタンドフラワーが掲示されていました。中村光一さん、ドラゴンクエストチーム、スクウェア・エニックス出版事業本部、キングレコードから来ていて、いろんな方が写真を撮ってらっしゃいました。
ホールに入ったところ、いつもと雰囲気が違うことに気づきました。
いつもステージ後ろ側にパイプオルガンがあるんですが、実は大きな回転切り換え式パイプオルガンになっており、クラシックスタイルと現代スタイルに切り替えることが可能であったんですが、おそらく音響効果を得るため、天井を下げているようです。それだけ、今回は音楽に集中する、ということの現れなのでしょうか。
オーボエやクラリネットの方が音色の調整でステージに残っていたんですが、開演時間を迎えて、そのまま東京都交響楽団の皆さんがステージに入場されてきました。会場からは暖かい拍手が都響の皆さんに送られます。そこで、ちょっとビックリしたことに、今回ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんが務められることは発表されていたんですが、その隣である「トップサイド」に、コンサートマスターを務められている山本友重さんが入られていることにさらにビックリしました。コンサートマスター2名体制で実施されることに、東京都交響楽団さんの並々ならぬ強い思いを感じ取ったところです。このコンサートに賭ける思いが強いのだろうなと感じます。
ソロ・コンサートマスターの矢部さんからの指示によるチューニングが始まると、いよいよだなあという身構えにつながります。
舞台下手から指揮の和田一樹さんが入場されます。ソロコンマスの矢部さんと、トップサイドの山本さんにそれぞれ握手をされながら、さっそく指揮台に上がって、「ロトのテーマ」の演奏が始まりました。
○ロトのテーマ
指揮の和田さんが力強い指揮を披露し、ロト三部作のロトのテーマ(序曲)はホルンが主体となったものですが、都響の演奏がものすごく安心して聴けます。実はコンサートで都響がドラクエを初めて演奏したのは、2004年8月の第18回ファミリークラシックコンサートのドラクエ3が初めてだったはずです。20年で本家になったんだなあと改めて聴きながら感じていました。
曲が終わると会場から割れんばかりの拍手が起こるのはもはや当たり前のことでした。5年待ってましたという感じの拍手だったと思います。
和田さんが指揮台脇に置かれていたマイクを手に取ってしゃべられました。確かこんなことをおっしゃっていたと思います。
・まず東京都交響楽団の皆さんと、ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんの紹介をされ、そのあとご自身の自己紹介をされた。
・5年ぶりのファミリークラシックコンサートが開催出来て嬉しい。
・今年はドラゴンクエスト3がリメイクされ、11月に発売されるタイミングで演奏することになった。
・オリンピックが開催されているが、前回、2021年の東京オリンピックの開会式では、本日演奏するドラゴンクエスト3の「ロトのテーマ」が演奏された。また最近では「アサヒスーパードライ」のCMでも同じく「ロトのテーマ」が使用されていることから、ドラクエ3は注目をされている作品である。
・引き続き第一部の演奏を楽しんでもらいたい。
以上、お話をされて、和田さんは指揮台に戻られました。若干お話をされる和田さん、ちょっと緊張されているように見えました。実はマイクでお話しをされたのは今日、これが最初で最後でした。
○まどろみの中で
出だしのクラリネットとフルートが織りなすメロディが印象的な曲。この曲はスーパーファミコン版にリメイクされたときに追加された曲であり、今年5月のNHK交響楽団で披露されたコンサートには含まれていない曲となる。ゲームの最初に、性格診断のためにいろんな質問に答えたっけ、なんて思い出しながら聴いてました。
○王宮のロンド
ドラゴンクエストでは城の中の曲はシリーズ通して作られており、「王宮の…」と冠される楽曲はこのIIIが最初となりました。ロンドは「輪舞曲」とも言われ、まるい輪を作って踊ることを指し、音楽の形態としても、異なった楽想の挿入部を挟んで何度か繰り返される形式だということで、王宮内でワルツを踊っているイメージの曲となります。弦楽器が優雅に三拍子のワルツを演奏している、と言って間違いではないでしょう。
途中から、ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんのバイオリンソロがあって、非常にきれいな音色が奏でられていました。演奏が終わった後、ソロを行った矢部さんに対して拍手が送られていました。
○世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)
(街)
4曲がメドレーで連なる楽曲です。以前のコンサートレポートでも何度も同じように書いていますが、すぎやま先生の「街」を表す曲はいつも非常に素晴らしいんです。このIIIの「街」は、弦楽器のピチカートや、フルート、オーボエ、クラリネットが楽し気な街の雰囲気を、その音色で感じさせてくれます。すぎやま先生は、いろんな「街」の音楽を、XIに至るまで、飽きがこない美しい曲として作ってこられたのが個人的にはすごいなあと思ってます。
(ジパング)
曲の出だしから、コントラバスの力強いピチカートである、「バルトークピチカート」が印象的な曲。このバルトークピチカートは、弦を上に強く引っ張って、指板に弦を当てて音を出す奏法で、屋敷の中で琴を弾いて、その音色が響き渡っているような雰囲気に感じられます。
この曲は「雅楽」をベースにされていて、たしかすぎやま先生は雅楽はお好きだというお話をどこかで聞いたことがあるんですが、トランペットの音色を揺らしたり、弦楽器のピチカート、フルートなどの音色が、なぜやら篳篥やら横笛が演奏されて、雅楽を聴いているような錯覚に陥ります。ドラクエXでも「風雅の都」という曲で、同じような手法を使われていますが、オーケストラを聴いているのに雅楽っていうアンバランスさが面白いなあと感じた一曲です。
(ピラミッド)
つづいて、今度はアラビアの雰囲気を漂わせる曲で、弦楽器をベースに、出だしはオーボエ、クラリネットがメインメロディを務める曲です。前回のレポートでも書いてあったんですが、アラビアの民族楽器に「スルナイ」という管楽器があるそうで、その楽器がのちに改良されて、音色が和らげられたものが「オーボエ」になっているそうなので、オーボエの音色がアラビアの雰囲気を醸し出しているんでしょうね。
(村)
そうそう。この「村」という曲、ドラゴンクエストIIIで初めて「村」という概念が出てきて生まれた曲ですよね。すぎやま先生は「街」と同様、「村」の曲もいつも素晴らしい曲を作られていました。のどかな農村風景が目に浮かぶ曲をしっかり作られるのが、すぎやま先生のテクニックのなせる業なのでしょう。
○ローリング・ダイス
前回のコンサートレポートを確認したら、この「ローリング・ダイス」のオーケストレーション版は、初演が2003年夏、名古屋・しらかわホールで行われたセントラル愛知交響楽団のコンサートのアンコールで披露されました。ちょうど、私も現地で聴かせていただき、「おぉ!?」と興奮したことを覚えています。この時に収録された音源が、実はPS2版「ドラゴンクエストV」で使われているのは、実はあまり知られていません。まだ、都響さんが演奏されていない時期で、音源は基本的にNHK交響楽団の音源を使われていましたからね。
この曲はもちろんマリンバが活躍する楽曲です。それと弦楽器のピチカートと一緒にメロディが繰り広げられていきます。曲終了後、素晴らしい演奏だったマリンバ奏者の方に拍手が送られていました。
○冒険の旅
この日の「冒険の旅」はものすごく迫力があったと思います。指揮の和田さんも構えからものすごく気合が入ってました。
先日のNHK交響楽団の演奏では、前奏部がものすごい溜めというか、テンポをわざと遅らせたような感じがありましたが、今回の東京都交響楽団の演奏は、前奏部の溜めは作らず、全体的にテンポがほんの少し早い印象がありました。それが心地よい早さだったように感じました。そして、印象的なトランペットの勇壮な音色。この日のトランペットにいつも演奏されていた高橋敦さんがいらっしゃらず、結構お若い方が演奏されていたように見受けられたので、エキストラの方が演奏されていたのかなと思いますが、名前を存じ上げずすみません。でも、この日はトランペットの音色がものすごくつややかでよかったと思います。
そして、和田さんの指揮も首尾一貫して力強く、非常に大きい身振りで指揮をされていたのが印象的でした。またバイオリンセクションの、特にコンマスの矢部さんと山本さんが、身体を右に左に揺らせながら、バイオリンの弦を力強く弾かれるさまを目にすると、語彙力が少なくて恐縮ですが「凄い」の一言としか言いようがありませんでした。
実はこの「冒険の旅」が非常に美しくて、都響さんの演奏に感動して、いつの間にか涙しておりました。なかなかこの勇壮な曲に涙を流すってことはあまりないと思うんですが、何かいろいろと込み上げるものがありました。
本当に素晴らしかったって思われた方が大勢いたようで、演奏終了後、ほぼフライング的に拍手が沸き起こっておりました。ボクとしては本当は余韻を楽しみたい勢なのですが、これだけのパフォーマンスを聴かせていただくと、はやる気持ちが抑えきれない方が大勢いらっしゃるだろうなあとも思うわけでして、それくらい素晴らしい演奏だったと思います。
○ダンジョン~塔~幽霊船
(ダンジョン)
物凄くおどろおどろしい音色なのに、ものすごく綺麗に聴こえるのはやっぱりすぎやまマジックなんでしょうね。すぎやま先生も洞窟の音楽はきれいな音楽を心がけているとおっしゃっていたと思います。
途中から入ってくるコンガから発せられる「コン、コン、コン」と続くリズムも印象的ですよね。
(塔)
・「塔」とこの次の「幽霊船」は変拍子が含まれていて、たぶんすぎやま先生と和田さんの振り方が違うようだったのを記憶しています。とはいえ、どのように振られていたのか自体、もう記憶の彼方に飛ばされてしまって、なんとも言いようがないですが。でも、なぜ音楽から、「塔」という構造物のような雰囲気をボクらは受け取れるんでしょうね。リズムが一定だからなんでしょうか。不思議ですよね。
(幽霊船)
この曲でも冒頭からコンガが一定のリズムを刻みつつ、フルートやオーボエ、クラリネットなどの木管楽器が主体となってメロディを繰り広げ、途中から入ってくるドラムスに結構注意をもっていかれました。音量が大きいわけではないんですが、シンバルなどを叩く音色が心地よくて聴き入っておりました。
○戦いのとき
前半最後の曲は、中ボス戦の曲です。この曲もファミコンからスーパーファミコン用へ移植されたときに新たに付け加えられた曲ですが、ラスボス用に使われても良かったのではないかと思ってしまうほどの良い曲だと思います。
和田さんが指揮をし始めるときに、中腰というか力感のある構えから曲に入られたのが印象に残ってますが、序盤の指揮は力強く、中盤は冷静にリズムを刻み、そしてラストはさらに力強くといった指揮をされていて、都響を引っ張っていってくれていたなという印象です。
演奏自体は弦楽器と金管楽器の力強さが発揮される曲だと思うんですが、ボク個人としては、ホルンの力強い音色が聴けて良かったなあと感じてました。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
前半が終了となり、20分の休憩が入りました。
まさに「そして伝説へ」的な演奏会(後半へ)
○回想
和田さんが指揮棒を持たずに指揮をされていて、両手の人差し指を使いながらのフリーハンドの指揮が印象に残ってます。
また、チェロとオーボエのソロがあって、それも素晴らしかった。特にチェロの首席奏者の伊東裕さんが開演前とか休憩中に練習されていたことを覚えていて、その成果がソロに現れているなあと感じられたのも、生演奏ならではの魅力かなと思ったりしています。
せっかくなので、この曲の説明をしておくと、主人公の父である・オルテガは魔物に敗れ、火山の火口に落ちて亡くなってしまったと思われていたんですが、実は生き残っていて、主人公のいた世界とは異世界で生き残っており、主人公とその父・オルテガのやっとの対面を果たしたとき、父は新たな戦いに敗れ息絶える直前だったという場面で流れる曲です。チェロとオーボエの音色が、親子それぞれの想いの交差を表現しているのでしょうか。
曲終了後、指揮の和田さんからの紹介で、チェロ首席奏者の伊東裕さんへ拍手が送られていました。
○鎮魂歌~ほこら
(鎮魂歌)
「鎮魂歌」は、パーティが全滅してしまった時に流れる音楽で、その他の演出上ではあまり使われていたイメージがありません。全滅時に、ゲームを進めようとボタンを押すと場面が転換されてしまうのであまり印象に残っていない方もいるかも知れません。弦楽器が主体となって構成され、それこそ英語題が「Requiem(レクイエム)」となっている、静かに流れる弦楽器の悲しげなメロディが、主人公たちの悔しさを隠しもっている、そんなように聴こえます。
(ほこら)
・神々(かみがみ)や精霊などが祀られている「ほこら」で流れてくる音楽で、指揮の和田さんが指揮棒を持たずに振られていましたが、この曲もものすごく地味ですが、神々しい弦楽器の音色がものすごく印象に残っています。
○海を越えて
この「海を越えて」はものすごく楽し気に船旅をしているような3拍子の曲となっています。ホルンと弦楽器が主体となったメロディで、優雅に楽しげに曲が進んでいきますが、最後に盛り上がって「ジャーン!」と終わるので客席から思わずフライング気味の拍手が送られました。
○おおぞらをとぶ
誰しもが心待ちにしている名曲「おおぞらをとぶ」です。不死鳥ラーミアが空へ飛び立つ時に使用される楽曲となります。まさに大きな鳥の背に乗って、広大な大地の上を翔るイメージを受ける曲だと思います。
ハープの音色をバックにしながら、冒頭から始まるフルート、そこからつなげるようにオーボエへ引き継ぐメロディーは、その一瞬でもうやられてしまいます。その後、オーケストラ全体で紡ぎ出す厳かな響きは、体中の力を振るわせるような、そんな力があるように思います。
この「おおぞらをとぶ」の演奏が終わり、余韻が会場内に消えるのを見計らってから、自然発生的に会場から拍手が起こりました。本当に良い演奏だったと思います。
○ゾーマの城
スーパーファミコン版に移植される際に追加された曲となります。また、この曲は「ダンジョン」の変奏曲となっていて、ストリングスが主体に演奏が進められていきます。ですので「ダンジョン」よりおどろおどろしく、でもより高貴な雰囲気のあるメロディに感じられます。
○戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
(戦闘のテーマ)
「戦いのとき」と同じように、指揮の和田さんが身構えて指揮をし始められたのが印象に残っています。戦闘曲はいつもどういった曲になるのか楽しみにしていました。なぜかと言えば、ゲームをやっていく中で一番聴く回数が多い曲になると思うので、どんな曲なのかワクワクしながら、新しいナンバリングタイトルの戦闘曲は期待していたのを覚えています。
もちろん、都響の演奏は力強くて、テンポ感も素晴らしく、減点できるところなんてどこにもない、そんな感じの演奏だったと思います。
(アレフガルドにて~勇者の挑戦)
「アレフガルドにて(広野を行く)」で、ハープをバックにクラリネット、オーボエ、ホルンがメロディラインをつないでいたと思いますが、ハープの音色で静かに「アレフガルドにて」が終わり、引き続き大迫力の「勇者の挑戦」への切り替わる導入部は圧巻でした。
「勇者の挑戦」について、コンサート前、指揮の和田さんがYouTubeで「ドラクエIの『広野を行く』と、ドラクエIIの『遥かなる旅路』、そしてドラクエIIIの『戦闘のテーマ』、そして『ロトのテーマ(序曲)』のファンファーレ部が出現されているなんてお話をされていて、このロト三部作の要素が含まれた楽曲になっているとの説明をいただき、まさにロトの全ての基となる最後の戦いを表されているのでしょうね。
「勇者の挑戦」が終わった直後に会場から若干フライング気味な盛大な拍手が送られていたのは言うまでもありません。
○そして伝説へ
「勇者の挑戦」の興奮が冷めやらぬうちに「そして伝説へ」が始まりました。今日の演奏は先ほども言ったようにテンポがほんの気持ち早めになっていて、心地よいテンポを感じました。
あのトランペットの有名なメロディが冒頭に流れ、つづいてフルートが静かにメロディを奏でられるのを聴くだけで、子供のころ、ドラゴンクエストIIIをプレイしていた日々を思い起こされます。ボクらがそれぞれロトの伝説を歩んでいた、あの頃を。
何度も同じことを言ってしまいますが、全体的に素晴らしい演奏だったと思っています。これまで聴いてきたドラゴンクエストのコンサートの中でもベストではないかと思うくらいでした。(…とはいえ、そんなに鑑賞回数が多いわけではありませんが…)
「そして伝説へ」終了後、盛大な拍手とともに、指揮の和田さんがそれぞれの奏者の方を称えて回っていて、ずっと拍手が鳴りやみませんでした。
アンコールへ
○時の子守歌(VI)
2回くらい舞台下手(左手)に戻られた指揮の和田さんが指揮台に戻られ、指を一本立てられて、アンコールを1曲演奏しますよというジェスチャーをされて、スコアに向き合われました。
去年(2023年)3月、山形交響楽団の演奏で、この曲を聴いていて、その時の演奏がちょっと溜めのある演奏だったこともあって印象に残っていたんですが、今回の東京都交響楽団の「時の子守歌」も素直な良い演奏でした。
その時のレポートにも書きましたけど、改めてですが、この「時の子守唄」は元々は映画「ガッチャマン」の挿入曲で、ほぼ同じ曲が「交響組曲 科学忍者隊ガッチャマン」の「Lullaby -時の子守唄~レッドインパルスのテーマ」として収録されています。曲がたまたまドラクエのテーマに合っていたのと、映画での曲の使われ方がすぎやま先生があまり良く思われていなかったそうで、さらにこの曲を気に入っていたから流用したそうだということを聞いた記憶があります。「元々はドラクエの曲じゃなかった」ってことは言われないと分からないですよね。ガッチャマンの演奏は、確か当時初めてアニメーションの演奏をしたということで話題だった「NHK交響楽団」でした。
ドラクエIIIの曲数が少な目だったことから、ちょっと長めのエンディング曲をアンコールに使われたのかな、なんてことを考えながら、この曲自体がほとんどの奏者の方が活躍するような曲だったように感じて、アンコールに合っている曲なのかも知れません。
○序曲XI
さらにアンコール2曲目が用意されていました。すっかり忘れておりましたが、7年前の今日、2017年7月29日が『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』の発売日でした。そういうことがあってのアンコールチョイスだったのでしょうか。
本家である東京都交響楽団の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』の「序曲」を初めて生で聴けて感無量でした。素晴らしかった。
もちろん演奏終了後、会場から割れんばかりの拍手が送られ、二度ほど指揮の和田さんが舞台下手へ下がるものの拍手が収まらず、三度目の退場の際、東京都交響楽団の皆さんから観衆に向けて一礼をされて、楽団の皆さんが退場されますが、それでも拍手が鳴りやみません。
鳴りやまない拍手に応えるため、指揮の和田さんが再度ステージに登場し、会釈しながら観客の皆さんに応えられてましたが、舞台袖にいったん戻って、袖にいらっしゃる方に拍手をというジェスチャーをされていました。ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんと、トップサイドを務められたコンサートマスターの山本友重さんが一緒にステージにいらっしゃいました。会場からさらに大きな拍手が送られていました。
最後、指揮の和田さん、指揮台の楽譜を持って、「すぎやま先生の楽曲に拍手を!」という感じのジェスチャーを何度かされて、コンサートは終演となりました。ただ、個人的にはもう1冊、楽譜が譜面台に残っているように見えて気になったんですが、あれは前半の楽譜だったのかな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
マイクが11本、天井から釣り下がっていたのがすごく気になっていました。ライブ盤リリースをゲーム発売時期前後に考えられている可能性があるのでしょうか? もしそうであれば今回の演奏は素晴らしかったので、ぜひライブ盤リリースをご検討いただきたいところ。
「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のリメイク版が新たに今年(2024年)11月に発売を予定され、小さい子どもさんなどもゲームを楽しまれることになると思いますので、このタイミングで、「今」の素晴らしい東京都交響楽団のドラクエIIIの演奏会の模様を、多くの方に聴いていただく機会ができれば、すぎやま先生がライフワークとして実施されてきた、この「ファミリークラシックコンサート」の基礎となる、『子どもさんにクラシック音楽の機会の提供を』という考え方につながっていくのではないかと思います。
そのくらい、素晴らしいパフォーマンスだった東京都交響楽団さんのこの日の演奏を多くの方に聴いていただきたいなあと純粋に思ったところです。これからも都響さんのコンサート、聴いていきたいと思います。
ここまで拙い文章を読んでいただきありがとうございました。
2024.08.01 01:30 仮掲載(推敲前)
2024.08.03 00:45 本掲載(推敲しました。一部追記あり。)
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