第20回ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界 交響組曲「ドラゴンクエスト」I~VIII アンケートによるベストセレクション(Be SUGIYAMANIA 6th!!/2006.8.11)

お待ちどおさまでした! 久しぶりのコンサートレポートとなります。2006年の夏に開かれたドラゴンクエストのコンサートは、タイトルにあるとおり、前回の2005年のコンサートの際に集められたアンケート結果を受けて曲目が演じられるベストセレクションということで、ファンの間では注目のコンサートになっていました。そんなことで、レポートで残しておきたいなというのがあったので、コンサートからずいぶん経ってはいますけど、こうして掲載してみました。

また、いつものことながら、こちらのレポートと合わせまして、Be Series本家である「Be HISAISHIST!!」シリーズ(久石譲コンサートレポート)も合わせてお楽しみいただければと思います。

※注意
○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。
日時2006年8月11日(金) 18時から
会場池袋・東京芸術劇場大ホール
チケット全席指定 S席5,000円 A席4,000円 B席3,000円
出演者指揮とお話 すぎやまこういち
管弦楽 東京都交響楽団/コンサートマスター 山本友重
その他主催:スギヤマ工房
協賛:(株)スクウェア・エニックス (株)アニプレックス
企画・構成:すぎやまこういち

曲目

序曲 Overture (VIII) / パストラール~カタストロフ Pastoral Catastrophe (II) / ラダトーム城 Chateau Ladutorm (I) / 街の人々 People (I) / 木洩れ日の中で~ハッピーハミング~ぬくもりの里に~フォークダンス~木洩れ日の中で In the Town~Happy Humming~Inviting Village~Folk Dance~In the Town (VI) / 勇者の仲間たち Comrades(IV) / 広い世界へ~大平原のマーチ Strange World~Marching through the Fields (VIII) / 戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦 Fighting Sprit (III)

INTERMISSION 休憩

哀愁物語 Make me Feel Sad (V) / 神秘なる塔 Mysterious Tower (VIII) / 憩いの街角~パラダイス~時の眠る園~うたげの広場~憩いの街角 Strolling in the Town (VII) / 高貴なるレクイエム~聖(ひじり) Noble Requiem~Saint (V) / エーゲ海に船出して Ocean Waves (VI) / おおぞらをとぶ Heavenly Flight (III) / ドルマゲス~おおぞらに戦う Dhoulmagus~Great Battle in the Vast Sky (VIII) / そして伝説へ… Into the Legend (III)

Encore
トゥーラの舞~復活のいのり Sacrifice Dance (VII)  / この道わが旅 My Road, My Journey (II)

第一部

2006年8月11日、半日の休暇を取って東京に向かいました。その理由とは…東京・池袋にある東京芸術劇場で第20回ファミリークラシックコンサート「ドラゴンクエストの世界」を聴きに行ってきました! ドラクエも20周年を迎えたんですねぇ~ そうか~ 僕が8歳のころにドラクエが生まれたわけで、それ以来僕らの心を離さないわけです。

前回からそうなんですが、ドラクエコンサートのチケットが取れない! 発売日当日でS席は売り切れちゃいます。僕もS席は手に入れられなくて諦めていたんですが、東京芸術劇場のチケットサービスで若干残っていることをかぎつけて何とか3階だけどA席を手に入れました。チケットは毎年争奪戦の様相を呈してきており、その戦いの猛者がコンサートに参加しているってことになりますね。3階席だったのでステージが遠いんですが、今回はメガネを準備しているので、やっとステージをちゃんと見ることができるようになりました(笑)。

今回の東京都交響楽団のコンサートマスターは山本友重さんが務められ、おなじみのメンバーが勢揃いです。前回のVIIIの時の演奏があるので、パーカッションの方たちに注目しながら見てました。3階なのでステージの後側が良く見えるわけです。そうそう、今回の各楽器の配置なんですが、弦楽器がいつもと配置が異なっていたような気がします。いつもだと指揮者から見て右側にヴィオラがいて、右前方にチェロという感じ(ドイツ式っていうらしいです)だったと思うんですが、今回はヴィオラとチェロが逆のアメリカ式と言われる配置になっていたようです。

開演時間を少し過ぎたくらいに東京都交響楽団のメンバーがステージに現れ、チューニングのあとにすぎやまこういちさんが現れました。

・序曲 Overture (VIII)
綺麗なファンファーレから始まり、コンサートが始まったんだなという感覚に包まれます。ここ最近、アンコールに序曲をやっていたんですが、始まりに聴く序曲は感覚的に特別なものを感じます。本当に最初の序曲って、立ち位置の定まっていない僕らをその求心力で留めさせてくれるような感覚、と言って通じるでしょうか? 観客のそれぞれの心のスイッチを入れさせてくれる感じ。とにかく、この曲で「ドラクエ始まる!」って感じにさせてくれます。

序曲が終わった後、都響のメンバーの紹介がありました。

すぎやまさんが都響のメンバーは神に見える、なんて話をされてました。燕尾服を着るのは本当にかっこよく見えて、小さな頃に鑑賞したコンサートでは燕尾服を着ている演奏者の全員が、神々しく感じたそうです。そんな思い出があってか、都響メンバーも音楽の神さまのようで、演奏が本当に素晴らしいという話をされて、「そんな都響の神々の演奏を聴いてもらいたい」という話をされてました。観客席側であまり反応する人が少なかったですが、直後に演奏するドラクエIIのサブタイトル『悪霊の神々』とちょっと引っかけてたのかな、なんてその時は思いながら聞いてました。

・パストラール~カタストロフ Pastoral Catastrophe (II)
・ラダトーム城 Chateau Ladutorm (I)
・街の人々 People (I)

「パストラール~カタストロフ」はスーパーファミコンの移植版で出てきた曲で、ゲームの冒頭で流れる曲でしたよね。ファミコン版では容量の関係でカットになったそうですが、もともと冒頭の場面で、ムーンブルク城の惨劇を描写したかったそうですね。最初は本当にゆったりとした曲で、朗々としたホルンやヴァイオリン、フルートの音色などが聞こえてきますが、音楽が徐々におどろおどろしくなって、ホール中に金管楽器の音色が響くようになっていきました。

「ラダトーム城」は、弦だけの演奏で他の演奏者は手を止めているっていう感じが、少しなんだかヘンテコな感じがしました。いや、普通に交響組曲を演奏していたら普通にあることなんですけど、他の演奏が無いんだなって気付くと、ちょっと気にしちゃうというか。座席が3階席だから、俯瞰してステージ全体を見渡すことができるから余計に気にしちゃったのかも知れません。にしても、この曲ってあまり生演奏を聴いたことがなかったので、密かに嬉しかったです。

「街の人々」、僕らくらいの年代になってくると、『うわ~、懐かしいなあ』っていう感じにさせてくれる曲です。とはいえ、僕はやっぱりスーパーファミコンの移植版で初めて体感したんですが…(苦笑)


3曲弾き終わって、会場から大きな拍手が送られました。拍手が一段落した後、すぎやまさんがマイクを持って話し始められました。

「今回のコンサートは、1人5曲を選んでもらってそこからプログラムを作ったわけだけれど、コンサートの結果をそのままやってしまうと、みんな、戦闘の曲とかエンディングの曲を選んじゃってるから(金管奏者を眺めながら)何人か死んじゃうわな(笑)。失敗したねぇ~ 曲のカテゴリーごとに好きな曲を選んでもらえれば良かった。今回は、曲の種類ごとに集計し直して、そこから曲を東京と名古屋に振り分けて選曲しました。」

こんな話をされてました。人気の曲って、トランペットが鳴り響いたりする曲が多いですからね~ 僕は確か「序曲(I)」「おおぞらをとぶ(III)」「ドルマゲス~おおぞらに戦う(VIII)」「この道わが旅(II)」「そして伝説へ…(III)」を選んだように思うんですが、「おおぞらをとぶ」以外は全部金管楽器が登場しますからね(苦笑)。ま、そんな曲が並んだら、金管の人、ほぼ確実に死ぬでしょう(汗)。

・木洩れ日の中で~ハッピーハミング~ぬくもりの里に~フォークダンス~木洩れ日の中で In the Town~Happy Humming~Inviting Village~Folk Dance~In the Town (VI)
・勇者の仲間たち Comrades(IV)

ここのところ、「VI」からの曲を聴くことが少なかったんですが、「VI」から選ばれたこの曲、もしかしたら初めて生で聴いたかも知れません。特に印象に残っているのはハッピーハミングで、トランペットがミュート(消音器)をつけて演奏していたところが楽しげだったですね。トランペットの猛々しい音色が、ミュートをつけてコミカルに変わるところが面白いです。後半はミュートを外して、その力強い音色も響かせてくれました。

「木洩れ日の中で~」は、プログラムを最初に見た時に、「おっ?」と思いました。VIの曲はなかなか陽の目を見ないことがありますが、この曲はすごく好きだったので。ゲームの中でも、「ハッピーハミング」とかは好きだった曲です。すぎやまさんの作る街の曲とかって、聴いてて落ち着けるというか、安心できるんですよね。

そんな中、「VI」がリメイクされるなんて話が挙がるんじゃないかって話もあったんですけど、このコンサートでもその噂の真相は明かされず、今も真実は闇の中(苦笑)。

引き続き、「勇者の仲間たち」が演奏されました。最初の間奏曲から続いて、「戦士はひとり征く」「おてんば姫の行進」「ジプシーダンス」「武器商人トルネコ」「ジプシー・ダンス」「ジプシーの旅」がメドレーで続いていきます。

「勇者の仲間たち」、この曲は長丁場の曲でしたけど、なかなか良かったです。「戦士はひとり征く」のホルンの音色は良かったし、「おてんば姫の行進」では、トランペットがすごく頑張ってました。都響の金管は国内随一と言っても良いレベルだなんて話をどこかで聞いたことがあるんですが、ホントにうまかったです。「武器商人トルネコ」なんかは、コントラバスの音色に聴き入りました。コントラバスがメロディを奏でることなんてあまりないですし、その演奏を見入りながら演奏を聴いてました。

「ジプシーダンス」なんかは、CDでは全く気付かなかったんですが、今回の生演奏を聴いて、大きな抑揚をつけているんだなあいうのが分かったのが収穫です。メインメロディに入る前にディクレッシェンドで音量を抑えて、メロディを際立たせているところが、生演奏で聴くと3次元的にハッキリ分かって楽しかったです。よくCDを聞き返してみると、このアレンジは都響ヴァージョンから変わったみたいですね。ロンドンフィル版の音源ではディクレッシェンドはしていなかったようなので。そして、最後のコンマス山本さんの独奏。気持ちいい演奏を聴かせてもらいました。


・広い世界へ~大平原のマーチ Strange World~Marching through the Fields (VIII)
・戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦 Fighting Sprit (III)

いつものコンサートだと、前半にラスボス(ゲームを知らない人のために、「最後の強敵」ってことです。)の曲が流れることはまず無いはずなんですが、前半からドラゴンクエストIIIの「戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦」の名曲です。普通のプログラムではあり得ないことで、これだけでも非常にファンとしては嬉しいところです。『勇者の挑戦』なんかは、名曲の1つに挙げられている迫力のある曲ですし、往年のドラクエファンにとっては注目の一曲でした。前半最後の曲ということで、都響メンバーも気合い入りまくりで演奏してくれたため、ものすごく良い演奏だったと思います。そういえば、コンサート開演前にクラリネットかオーボエの方だったかと思うんですが、ちょうど『勇者の挑戦』に入りかける部分のメロディを何度となく繰り返し練習されていたことを思い出しました。

もちろん「広い世界へ」も素晴らしかったことに違いないですが、前半最後の『勇者に挑戦』ってのが印象的で、脳裏に焼き付いちゃっているので、「広い世界へ」の記憶がほとんど残っていないってのが実際のところですが…(苦笑)

前半終わる際に、ふとすぎやまさんがメンバーに合図を送り、あの有名な「宿屋」のミュージックエフェクト(ME)が都響のフルート奏者の方により奏でられました。突然のことでものすごく沸く会場。「それでは休憩に入ります!」という、休憩のためのパフォーマンスでした。ここ数年、休憩に入る際もなかなか拍手が止まないことが続いていたため、作戦を練っていたのかも知れません(苦笑)。

第二部

前半終わりの宿屋の音色で話題騒然の休憩が終わると、またまたすぎやまさんが仕掛けてきました。

後半の最初に、これまた非常に有名な「レベルアップ」のMEがトランペット奏者の方が二方立ち上がって流されました。すぎやまさん、その演奏から力をもらったというジェスチャーをして、会場を盛り上げます。

そして、後半最初から「ニューストピックスをお送りします」と、お話を始められました。

ちょうどコンサートの前日にニュースが入って、マンガ『のだめカンタービレ」がフジテレビでドラマ化される話が発表になったことについて触れられました。前回のコンサートでも同作は「面白い」とドラゴンクエスト以上に持ち上げっぱなしで、そこに出てくる話の取材やなんかで東京都交響楽団のみなさんが協力されているなんて話やら、常任指揮者のジェイムズ・ディプリースト氏もちょっと出演されるなんて話もあったりとか。

“のだめ”では素晴らしい演奏をするオケと、ダメな演奏のオケが出てくるんだけど、都響が「素晴らしい演奏をする方」をやっています。プロの人は、「下手に演奏しろ」と言われても、音を外したりして演奏をするんだけど、どうしても様になる演奏をしてしまうから、下手な演奏はなかなかできないんだよ、というお話もされていました。

そんなお話をされて、後半は一気に「ドルマゲス」まで演奏されました。

・哀愁物語 Make me Feel Sad (V)
・神秘なる塔 Mysterious Tower (VIII)
・憩いの街角~パラダイス~時の眠る園~うたげの広場~憩いの街角 Strolling in the Town (VII)
・高貴なるレクイエム~聖(ひじり) Noble Requiem~Saint (V)
・エーゲ海に船出して Ocean Waves (VI)
・おおぞらをとぶ Heavenly Flight (III)
・ドルマゲス~おおぞらに戦う Dhoulmagus~Great Battle in the Vast Sky (VIII)

最初の「哀愁物語」で覚えているのは、最後の最後でホルンの方が良いところで音を外してしまったところでしょうか。ソロパートの部分でしたからね。でも、ホルンは一番音を出すのが難しいそうです。プロでも外すことはありますよ。奏者の方も、「あちゃ~」みたいな表情をされてました。

「神秘の塔」は、毎度のことながらパーカッションが気持ちよかったです。楽器はコンガだったかな? コツンコツンと鳴り響くこの曲はかなり評判だったりしますね。隠れた名曲と言えますよね。あ、隠れてはいないか…(苦笑)

「憩いの街角~」から「エーゲ海に船出して」は、よく覚えていなかったりします(苦笑)。「パラダイス」でもトランペットがミュートを使っていたかなとか、「高貴なるレクイエム」は厳かでゲームで登場する悪役ゲマなんかを思い出したりしました。って、この辺は全然レポートになってませんね(苦笑)。

「おおぞらをとぶ」は毎度ながら、そのメロディに感動します。何度聴いても聴き減りがしません。僕個人としては全く何も言うことができない、言葉で言い尽くせない曲になっちゃいました。フルートからオーボエへの流れは最強。都響のみなさんも、コンスタントに良い曲を演奏してくれます。

「ドルマゲス」では、3階席で聴いているせいか全体的に落ち着いた演奏を繰り広げている感じがして、非常に好印象でした。僕としては、この曲のイメージとして”淡々として、それが永遠に続いていく”というイメージを持っていて、強弱をつけずに淡々と流れていくような感じがフィットしているような気がしていたので、今回の演奏はなぜかそんなように感じられてものすごく良かったです。この辺はそれぞれの好みによるところだとは思いますけどね。

そして続いて演奏された「おおぞらに戦う」はやはり大迫力でした。迫力っていうところは生演奏の醍醐味ですよね。そもそも、ファンであればご存じのとおり「おおぞらをとぶ」が元々の曲ですから、優雅かつ高貴な曲がこんなに力強いアレンジになると想像した人はどのくらいいたでしょうね。最初に聴いたとき僕は、「そりゃ反則でしょ~」って感じだったし(苦笑)。

ただ、今回の演奏については、僕の感想としては少しだけリズムが重かったような感じがした。リズムが合っていないわけではなかったんですが、何とかみんなで合わせているような感じがして、ほんのちょっと躍動感がなかったように感じられました。都響のみなさん、最後は少しバテちゃったのかも知れません。何せ前半の最後とかも激しい曲を演奏してましたから、いつもより力強く演奏しているような感じでしたからね。

一連の演奏が終わって、拍手で会場が盛り上がります。

コンサート最後の締めくくり「そして伝説へ…」の説明がすぎやまさんからされました。

アンケートの集計結果、みごと1位になったのはこの「そして伝説へ…」だったとのこと。コンサートマスターの山本さんも「そして伝説へ…」が1位だろうと予想されていたそうで、見事予想が的中したね、なんて話も出ました。1位になった「そして伝説へ…」は東京、名古屋の会場ともに演奏するそうです。

最後、この曲もトランペットが鳴る曲で大変だと思うのですが、すぎやまさん、トランペットの高橋さんを見て「大丈夫だよね?」という問いに、高橋さんがうなずいて、「頑張ってくれるとのことです。ありがたいことです」と会場から笑いを誘っていました。

・そして伝説へ… Into the Legend (III)
トランペットからの出だしはさすがプロでした。最後の最後にこの曲は、素人目に見ても、おそらくトランペット奏者の泣かせどころなはず。綺麗にメロディを聴かせてくれました。今日のプログラムはものすごい曲が目白押しでしたしね。

ふと感じたことが、こうして「そして伝説へ…」を改めて聴いてみると、思ったより曲が短いような気がしますね。なぜでしょう? 今日の演目が濃かったからでしょうか? あっという間に「そして伝説へ…」が終わってしまいました。

「そして伝説へ…」が終わった後、すぎやまさんが「それではアンコールをやります!」と言いつつ、胸元から何やら取り出しマイクを当て始めました。どうも携帯電話を取り出したようです。

「チャンチャラララ チャンチャラララ チャンチャンチャラララン…」 どこかで聴いたことのある音色。トゥーラの舞でした。

すぎやまさん、「『これで終わりっ!』って言ったらみんなに怒られるだろうな(笑)」とまた会場を笑いを誘いつつ、これまでオーケストラアレンジしていなかった「トゥーラの舞~復活の祈り」を作ったとのことで、それを演奏するということで会場内、大いに盛り上がりました。

・トゥーラの舞~復活のいのり Sacrifice Dance (VII)
全くこの展開は予想していませんでした。本邦というより世界初公開となったこの曲ですが、よく考えてみると、「VII」はまだ都響で演奏されたCDがリリースされていなかったんですよね。事前に気付くべきでした。不覚。

にしても、「トゥーラ」という弦楽器を使わずに、弦楽器と金管楽器を中心に奏でられた「トゥーラの舞」「復活のいのり」は、元々のアレンジからはかけ離れていたんですが、ものすごく厳かな感じに生まれ変わっていてなかなか良かったです。そもそも「トゥーラ」って、ゲームの中では民族楽器として登場していたんですが、今、ネットで調べてみたらそういう楽器は無いみたいですね(苦笑)。近い名前で、民族楽器をフューチャーしたグループがあったようですが楽器の名前では無いようでした。

ただ、弦楽器の演奏方法として「スコルダトゥーラ」という奏法があるようで、今回の弦楽器の幻想的なアレンジも、あながち全く違うわけでは無いのかも知れません。VIIのCDも間近に迫ってきて、早く聴き直したいなぁとしみじみ感じました。

「復活のいのり」が終わった後、すぎやまさん、続けざまに話し出されました。

「結局、舞台袖に戻ってもさ、(2階席のバルコニーの観客たちを指さして)スコアがまだ残っているから分かっちゃうんだよね、まだ曲があるってのが(笑)。」

バルコニー席の人は、曲のタイトルなんかも見えちゃったりして、バレバレだったりするんですよね。前回のコンサートもステージにちょこっとピアノが置かれてあって、ちょうどVIIIの演目だったので、「最後の『空と海と大地』でピアノが使われるのでは?」なんて予想もできましたしね(苦笑)。

その後、インターネットの掲示板でのアンコールの予想について触れられていました。プログラムにIIの曲が少ないという話があって、アンコールはIIから来るのでは無いかという話題を口にされて、「みんな、鋭いんだよね(笑)」とひと言。このひと言から会場が徐々にざわつきはじめます。

 「そう、IIの曲をやります。やる曲は、もう分かるよね?」

そのひと言で、会場大盛り上がりです。これが分からなかったらファンでは無いっていうくらいで、観客席は沸きに沸きました。ほぼ全員が「この曲」ということを分かっている感じだったと思います。

「この道わが旅」です。

そのひと言でこのコンサート最後の曲が始められました。

・この道わが旅 My Road, My Journey (II)
待ち望まれていた名曲です。「II」の曲が人気の割には少ないなあと思っていたんですが、やっぱり見込みのとおり、アンコールの最後で演じられることになりました。

正直に言うと、この曲を聴き始めてちょっと感無量になってしまう自分がいました。なんかどう表現して良いか全く分からないんですけども、メロディが本当に懐かしさを覚えるというか、なんというか。ドラクエIIは僕はリアルタイムで体験したわけじゃないんですけど、おそらくメロディ自体が「歴史」を感じさせてくれるのかも知れません。そして、都響のトロンボーンとトランペットそれぞれのソロパート。綺麗でした。それ以上の言葉がありません。

自分の人生を振り返らせてくれる名曲と言っても過言ではないんじゃないかな、と思うわけです。トランペットが鳴り響くわけじゃなく、地味な曲かも知れませんけど、そんなところが多くの人の心を掴んでいるのかも知れません。

終わりに

やっぱり生演奏って違う、っていうのを改めて感じさせてくれたコンサートでした。ここ数年、毎年のようにコンサートに出向いて、ドラゴンクエストの世界を堪能させてもらって、その都度子どもの頃の自分を思い起こしながら、オーケストラの迫力を感じることができるって幸せですよ。

最近は何となく観客層が高くなってきているんですけど、僕個人の意見としては、もっと子どもたちに聴いて欲しいな、と思うんです。ドラクエを切っ掛けに、オーケストラの迫力を味わって、音楽に限らずいろいろと興味を持って欲しいんです。

残念ながら、僕は耐性がついちゃったようで、初めてオーケストラを聴く感動ってのを味わうことができないんですけど、子どもたちはその初めての体験を身体いっぱいに感じることができますからね。是非是非、子どもたちに聴いて欲しいな、と思います。

今回もコンサートを楽しませてもらいました。来年は何をやるんだろうなあ、と言っちゃうと鬼が笑うかも知れませんが、来年も少年になったつもりでドラクエの曲を楽しみたいものです。

2006.10.08 21:50 書き上げ

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