JOE HISAISHI FUTURE ORCHESTRA CLASSICS VOL.7(2024.8.1)

※注意
○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
〇音楽的な知識はあまりありませんので、誤ったことを言っていることがあります。その辺は気を付けながら(?)お読みください。
○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。
日時2024年8月1日(木) 開場:18:15/開演:19:00
会場東京・サントリーホール 大ホール
チケット全席指定:S席 12,000円(税込)、A席 10,000円(税込)、B席 8,000円(税込)、C席 6,000円(税込)、D席 4,000円(税込)
出演者ソプラノ エラ・テイラー

FUTURE ORCHESTRA CLASSICS
(〇=主席)
Conductor:久石譲
Concertmaster:近藤薫
1st Violin:荒井優利奈、石亀協子、岸本萌乃加、北川千紗、城代さや香、榊原菜若、坪井夏美、戸島さや野、福田俊一郎、松田拓之、吉岡麻貴子
2nd Violin:ビルマン聡平〇、河西絢子、加藤和美、菊川穂乃佳、城戸かれん、小島愛子、澤亜樹、戸上眞里、堀真亜菜、山本有紗、山本佳輝、吉江美桜
Viola:木下雄介〇、一樂もゆる、栗林衣李、杉田恵理、鈴木慧悟、長石篤志、早川敦史、三国レイチェル由依、デイヴィッド・メイソン
Violoncello:向井航〇、奥泉貴圭、下島万乃、田上史奈、玉木俊太、寺田達郎、利倉央次郎、細井唯、村井智
Contrabass:高橋洋太〇、小金丸章斗、城満太郎、永井桜、林みどり、藤井将矢
Flute:柳原佑介〇、片爪大輔、中村淳二、林広真
Oboe:高島拓哉〇、北村貴子、﨑本絵里菜、南方総子
Clarinet:マルコス・ペレス・ミランダ〇、有馬理絵、須東裕基、吉本拓
Basoon:長哲也〇、君塚広明、中澤美紀、吉田早織
Saxophone:林田和之
Horn:日橋辰朗〇、上里友二、熊井優、坂東裕香
Trumpet:辻本憲一〇、安藤友樹、小林佑太郎、松木亜希
Trombone:青木昂〇、住川佳祐、山口隼士
Tuba:田村優弥
Timpani:岡田全弘、篠崎史門
Percussion:相川瞳、大場章裕、高瀬真吾、中村勇輝、服部恵、東佳樹、藤井里佳、牧野美沙
Harp:津野田圭
Piano / Synthesizer:今村尚子、川崎翔子、鈴木優人、鈴木慎祟

東京混声合唱団 The Philharmonic Chorus of Tokyo
Soprano:和田友子、奥山陽子、好田真理、松崎ささら、岡田眞弥、大沢結衣、稲村麻衣子、中道友香、石田彩音、石原優、岡崎陽香、東中千佳、吉川真澄、神谷咲貴、朴瑛美、蜂巣邦子、竹内伶奈、向笠愛里
Alto:尾崎かをり、志村美土里、小林祐美、小林音葉、栗原苑子、小巻風香、依田素子、三宮美穂、筒井直子、上村誠一、島田沙樹、山下美紗
Tenor:尾崎修、千葉弘樹、志村一繫、平野太一郎、小沼俊太郎、富本泰成、吉野健太、星野文緑、長尾隆史、久保田敏生、坪井一真、島崎涼
Bass:佐々木武彦、小林潤一、宮田圭一 、伊藤浩、下西祐斗、牧山亮、浅地達也、河野陽介、小幡淳平、大津康平、細井康行、寺西一真

※お名前に誤りがありましたらすみません。
その他企画:ワンダーシティ
主催:日本テレビ/エイベックス・クラシックス
制作:エイベックス・クラシックス
運営・問合せ:サンライズプロモーション東京

曲目

Joe Hisaishi : The End of the World
久石 譲 : ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド

   I. Collapse
   II. Grace of the St.Paul
   III. D.e.a.d
   IV. Beyond the World
   Recomposed by Joe Hisaishi : The End of the World

― Intermission -

Steve Reich : The Desert Music
スティーヴ・ライヒ : 砂漠の音楽 *日本初演

   I. fast
   II. moderate
   III. A – slow
   III. B – moderate
   III. C – slow
   IV. moderate
   V. Fast

TOUR SCHEDULE

日付地域ホール名
2024年7月31日(水)東京サントリーホール 大ホール
2024年8月1日(木)東京サントリーホール 大ホール

久しぶりのサントリーホール

実はこれまで「JOE HISAISHI FUTURE ORCHESTRA CLASSICS(以下、「FOC」と言います。)」シリーズをコンサートホールで鑑賞したことが無く、初めてのFOC体験です。

個人的にはクラシック系は疎くて、敬遠していたところもあるんですが、去年から鑑賞し始めた「JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE」シリーズのいわゆるミニマル・ミュージックを聴くのが心地よいことに気づいたことと、いわゆる「推し(あまりこの表現は好きではないが…)」である久石さんが実施している国内コンサートは、できるだけ聴いておきたいという想いがあって、今回鑑賞することにしました。

そういえば、ですけど、前回あたりからネット配信が無くなってしまってちょっと残念だなあと感じてます。特に今回はスティーヴ・ライヒさんの『砂漠の音楽』が日本初演であることもあり、残念ながら都合がつかなかったり、地方で参加できない方などのことも考えるとネット配信の復活は検討いただきたいなあという思いはあります。記録撮影はされているとの掲示はあったので、今回のコンサート、そのままにするには非常にもったいないと思うのでライブ盤化や配信リリースなどのご検討はしていただきたいところ。…と、冒頭から要望をお伝えしつつ、レポートをスタートしていこうと思います。

The End of the World

ホールの中に入ると、ステージ上はものすごくギチギチにオーケストラとコーラスが配置されていました。下に開演前のステージ上の写真を載せましたが、まだ登壇されていない東京混声合唱団の皆さんがステージ奥に来られることから、ティンパニなどのパーカッションがステージ右手に設けられた台上に配置されていたりなど、100名をどのようにステージ配置しようかと苦心されているのが見て取れました。なお、この曲での弦楽器の配置はやはり対向配置となっていました。

「The End of the World」は2015年のWorld Dream Orchestraで新日フィルさんとカウンターテナーの高橋淳さんのパフォーマンスで鑑賞させていただきましたが、今回は合唱付きのバージョンとなり、さらにソプラノのエラ・テイラーさんを迎えてのものとなります。

そうそう。サントリーホールではオーケストラの皆さんの入場の際には拍手はなかったんですが、ホールごとにルールでもあるんでしょうか?(苦笑) 入場される際に歓迎の拍手があっても個人的には良いように思うんですけどね。ちなみにソプラノのエラ・テイラーさんも冒頭から入場されて、しばらく用意された椅子に腰をかけていらっしゃいました。

第一楽章の「Collapse」から始まるわけですが、ステージ左手後方に配置されたチューブラーベルが8分の6拍子のリズムで「タンタンターン・タンターン」と拍子をとりながら、いろんな楽器が演奏される音に身を委ねながら聴いていました。あまり8分の6拍子って目にしないので、久石さんの指揮の振り方に注目していて、3拍目まで身体の中央で刻んで、4拍目で左に振り、5拍目で右に振り、6拍目で戻すなんてのを見ながら、一定のリズムを刻む久石さんの後ろ姿を眺めてました。

第二楽章の「Grace of the St.Paul」の冒頭で、チェロの向井さんのソロがあって、その響きがものすごく良かったなあというのを感じてたと思います。ボクは20列目にいたんですけど、さすがサントリーホールの響きは素晴らしいです。今回、配置が特殊なのもあって、座席に寄ってはちょっと一部の楽器の音が強く感じる部分もあったようですが、ちょっと離れたところでも弦楽器のきれいな響きが感じられるのは良いですよね。

第三楽章「D.e.a.d」は、パンフレットにも書かれていますが、「”死”とレ・ミ・ラ・レの音名のダブルミーニング」として曲中も「レ・ミ・ラ・レ」の音階が現れます。この第三楽章は2015年に付け加えられました。ソプラノのエラ・テイラーさんが立たれて、歌声を披露していただいたんですが、この曲の歌詞の作詞は麻衣さん(久石さんの娘さん。歌手活動をされてます。)が担当されています。

第四楽章の「Beyond the World」では、エラ・テイラーさんから入れ替わって、東京混声合唱団(以下、「東混」と言います。)の皆さんが力強い合唱を聴かせてくれます。一昨年(2022年)に山形で開催された合唱の祭典で、久石さんの「I Want to Talk to You」が合唱スタイルで初演を披露された際に合唱されたのが東混さんだったんですが、その時の合唱が素晴らしくて、また聴きたいと思っておりました。この日の合唱も素晴らしかったと思います。個人的には女性の皆さんの力強く、高く張り上げた声がものすごく耳に残っています。(曲としては「砂漠の音楽」の方がその傾向が強かったように覚えてますが…)

そして最後の「The End of the World」は元々スキータ・デイヴィスさんが歌われているヴォーカルナンバーを久石さんが編曲したもの。この組曲はいろいろな変遷をたどっていますが、実は「Another Piano Stories The End Of The World(リンク先はアマゾンです)」で久石さんご本人が歌っているバージョンもあります。気になる方はそちらも聴いていただくようにして、本題に戻ります。今回はソプラノのエラ・テイラーさんの歌唱だったんですが、ものすごくフラットに聴かせていただいてすごく楽しめました。癖もなくて、この組曲全体が表している「祈り」が表現されているように感じました。途中から東混さんの合唱も入ってきて、パワーアップするんですが、最後、楽曲は静かに終わります。ホール内に一時流れる静寂。久石さんが会釈をしたことで、会場から拍手が堰を切られたように送られました。

久石さんとソプラノのエラ・テイラーさんが前半のカーテンコールとしてステージと舞台下手を何度か行き来されましたが、拍手が全然収まりませんでした。

以上で前半が終了となり、20分の休憩となりました。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

The Desert Music

スティーヴ・ライヒさんのこの「砂漠の音楽」は日本ではこれまで演奏される機会がなかったそうで、日本初演になるそうです。パンフレットに記載がありますが、3つの「砂漠」からインスピレーションを受けており、そのうちの1つが広島と長崎に落とされた原爆などの核実験が行われたニューメキシコ州アラモゴートの砂漠が含まれており、反戦歌的な意味合いが強いようです。前半の「The End of the World」も9.11(世界同時多発テロ)をきっかけて作られた曲であり、争いごとのない世界へのメッセージも込められた楽曲チョイスなんでしょうね。久石さんは反戦コンサートにするつもりはないとおっしゃってますけど。

もう、曲自体はハッキリ覚えていないんですけど、曲中にハタと、チェロの首席奏者である向井航さんが指揮をされる久石さんの右手にいらっしゃることに気づき、「あれ? なんでこんなところに向井さんがいるんだ?」と思ったら、ミニマル・ミュージックのための配置で、指揮の久石さんを中心として、第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスが順に円で囲むような配置になっていることに気づきました。

他にも舞台右側のティンパニの位置は変わってませんでしたが、その隣に鉄琴(グロッケンシュピール)が2台配置されていて、真ん中付近に木琴(マリンバ・シロフォン)などが配置されるなど、前半と全く配置が変わっておりました。

楽曲自体は今回初めて聴かせていただいたんですが、久石さんがミニマル・ミュージックを制作するにあたって、影響を受けたうちの一人がスティーヴ・ライヒさんだってこともあって、ところどころに久石さんのミニマル曲でも出てくるモチーフがあるなあと感じるところがあり、久石さんのミニマル・ミュージックの感覚とさほど変わらずに楽しむことが出来ました。40分ほどの大作だったわけですが、全然時間を感じず楽しめました。というか、前半の久石さん作曲の「The End of the World」よりも楽しんでいる自分がいました。ミニマルを何も考えずに楽しむモードになっているのかも知れません。(まったく事前勉強していないから特にか?(苦笑))

東混さんの合唱も良いアクセントになっていたと思います。聴いている際は歌詞の内容が実は良く分からない(パンフに歌詞っぽいのはあるんですが、たぶん歌っている内容そのままではない?)んですが、声を楽器として捉えて、オーケストラの響きに加えるっていうのは、ボクにとっては音楽の最終形態なのではないかと思っていて、全体のハーモニーが素晴らしかったなあと感じています。

そうそう。ものすごく下世話な感じになっちゃいますが、ところどころ「エヴァンゲリオン」でよく使途襲来などの時に使われる合唱のように感じるところもあって、ものすごく面白かったです。日本初演でこのコンサートだけで終わっちゃうのはもったいないなあと思っちゃいます。冒頭でも言いましたけど、ライブ盤で良いからリリースしてほしいと思ってしまうところです。

海外で演奏された「砂漠の音楽」の模様です。参考まで。

大曲の演奏が終わり、この曲でも若干の静寂があったと思います。ボクも曲終わりが分からなかったので拍手待ちをしているところもありました(苦笑)。もちろん客席から盛大な拍手が送られました。久石さん、客席に各演奏者の紹介をしながら、皆さんに賛辞を送られつつ、オーケストラの皆さんからも久石さんに惜しみない拍手が送られておりました。5分以上拍手が鳴りやまなかったように思います。流石にスタンディングオベーションをされる方まではいらっしゃらなかったかな。

何度か久石さんが入退場を繰り返し、「アンコールはないかな?」とか「もう一度出てきてくれないかな?」という気持ちも込めつつ、しばらく拍手を送っておりましたが、最後に久石さん、四方の客席に向かって深くお辞儀をして、手を大きく掲げ「じゃあね!」というジェスチャーをされて終演となりました。ただ、オーケストラメンバーの退場を待っていた東混の皆さんがステージに残っていて、退場される際に客席に一礼をされたので、そのタイミングで退場される東混の皆さんに拍手が送られました。ボクも拍手を送らせていただきました!

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

コンサートを振り返って

そんなこんなで今年のFOCが終了となりました。

今日のサントリーホールでは、先週のMUSIC FUTUREと同じようにカメラが複数台設置され、1階席後方にもカメラがあったようです。マイクもステージ上に結構な本数が天井から吊り下げられており、ステージ上にもセクションごとにマイクがあったように思います。

冒頭でも書きましたけど、映像化なり音源化を是非ともしていただきたい、素晴らしいコンサートだったと思います。この2日間だけの夢の世界をさらに、多くの人たちへ、ハイクオリティなミニマルミュージックの世界を繋げてほしい、そう願うばかりです。

2024.08.02 13:45 掲載
2024.08.02 16:40 ちょっと修正
2024.08.04 10:15 リンク追加

関連リンク

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋】Blog. 「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.7」コンサート・レポート

  • 先週のMUSIC FUTURE VOL11に引き続き、「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」主宰のふらいすとーんさんがいらっしゃっておりました。今回はいろんな方からの情報もあって、逆に書きづらいレポートだったかと思いますが、ボクのレポートは勢いのみ(笑)で、ふらいすとーんさんのレポートは回りのバランスを見ながらのレポートかなと思います。やっぱり音楽の情報量が圧倒的にふらいすとーんさんの方が多いです。是非ともこちらのレポートで「久石譲」を深堀りしていただければと思います。

またサイン会に行ってるの?(番外編)

先週、久石さんにサインをもらっていたのに、シューベルトの新盤を買っていなかったのを良いことに、サイン会参加券をまたもらってしまいました。すみません。

久石さんには「また来ました! 京都も行きます! 楽しみにしています!」と伝えてサインをいただきました。「本当? どうもありがとね!」と久石さんにありがたい声をかけていただきました。

他にもコンマスの近藤薫さん(東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター)、チェロの向井航さん(関西フィルハーモニー管弦楽団首席チェロ奏者)、オーボエの高島拓哉さん(フィンランドのトゥルクフィルハーモニーの首席オーボエ奏者)にサインをいただきました。

皆さん、コンサート終演直後のお疲れの中、サインをいただきありがとうございました。

備忘録写真集

ショー@オーナー
  • ショー@オーナー

2件のピンバック

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です