JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE VOL.11(2024.7.26)

※注意
○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
〇音楽的な知識はあまりありませんので、誤ったことを言っていることがあります。その辺は気を付けながら(?)お読みください。
○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。
日時2024年7月26日(金) 開場:18:00/開演:19:00
会場東京・紀尾井ホール
チケット全席指定:S席10,000円(税込)、A席8,000円(税込)
出演者(Music Future Band member)
Conductor:久石譲

Violin 1:郷古廉 Violin 2:小林壱成 Viola:中村洋乃理 Violincello:中実穂 Contrabass:谷口拓史

Flute:柳原祐介 Oboe:坪池泉美 Clarinet:マルコス・ペレス・ミランダ Bassoon:向後嵩雄 Horn:福川伸陽、信末碩才 Trumpet:辻本憲一 Trombone:青木昴 Bass Trombone:野々下興一

Percussion:大場章裕、柴原誠
Piano / Organ:鈴木慎崇
その他企画:ワンダーシティ
主催:日本テレビ/エイベックス・クラシックス
制作:エイベックス・クラシックス
問い合わせ先:サンライズプロモーション東京

曲目

Philip Glass / Joe Hisaishi : 2 Pages Recomposed
フィリップ・グラス / 久石 譲 : 2 Pages Recomposed

Philip Glass : String Quartet No.5
フィリップ・グラス : 弦楽四重奏曲第5番

― Intermission -

David Lang : Breathless
デヴィッド・ラング : ブレスレス

Max Richer / Joe Hisaishi : On the Nature of Daylight
マックス・リヒター / 久石 譲 : オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト

Joe Hisaishi : The Chamber Symphony No.3 *World premiere
久石 譲 : The Chamber Symphony No.3 *世界初演

TOUR SCHEDULE

日付地域ホール名
2024年7月25日(木)東京紀尾井ホール
2024年7月26日(金)東京紀尾井ホール

ホール内の雰囲気

去年のテリー・ライリーさんがいらっしゃったMusic Future Vol.10(2023年11月)以来からの再訪問となりました。800席あるシューボックス型の中型ホールとなっていて、非常に落ち着いた雰囲気のホールです。

初日もそうだったようですが、記録撮影のためにカメラが入っているとの案内がされていました。数えてみたところ、ステージ周辺に3台、2階席ステージそばに1台、1階席最後方に2台の計6台を確認しました。他にも2階席の見えないところにカメラがあったかも知れません。その他、各楽器ごとにもマイクがセッティングされていて、天井からも4本のマイクが下がっていたように記憶してます。

今回、コンサートの制作が「エイベックス・クラシックス」がされているようなので、そちらで映像化・音源化を考えていたりするのでしょうか? 久石さんのこの先進的な取り組み、映像化されたらファンとしてはうれしいですよね。

前哨戦(コンペティション部門)

コンサートが始まる前、第5回 Young Composer’s Competitionの受賞作「SOL D’Oriente Fantasia for string quartet」の選評と演奏があって、久石さんともう一人の選考者の方のお話がありました。(司会は日本テレビの依田謙一さん。)

久石さんからは「ミニマルミュージックが取り上げられないため、若い人たちに活躍の場を作りたいという思いからこのコンペをやっている」というお話をされていました。ただ、今回選ばれた「SOL D’Oriente Fantasia for string quartet」はミニマルではなかったとのこと。コンペルールには「ミニマル的なものだけではなく、実験的な作品」とされていて、ミニマルを軸に集めていたものの、作品の質の高さがあったことから受賞となったそうです。ただ、審査員それぞれの好みがあるので全会一致ではないようでしたが、少なくても審査員の皆さんから高い評価をされたようです。

そうそう。今回のコンペは40数曲の結構な応募があって、しかもいろんな国の方から来ていたというお話もされていました。受賞されたFabio Luppiさんはイタリアのボローニャの方で、本コンサートに招かれていて、久石さんから紹介を受けられてました。

この日はちょっとトラブルがあって、演奏は昨日は国立音大の学生さんが演奏されたそうなんですが、お一人、体調を崩されてしまって高熱が出て参加できなくなってしまったことから国立音大OBの方が急遽参加され、猛練習をされていたとのこと。

弦楽四重奏による演奏が始まりましたが、ものすごく不協和音が多い曲だった印象です。先ほど言ったようにミニマルではなくて、ボクには少し難しかったです(苦笑)。

会場からの拍手を受け、国立音大の学生&OBの方から、Fabio Luppiさんへ拍手を促されると、Fabioさんがステージまで来られて、カルテットの皆さんと一緒に拍手を受けられていました。  

2 Pages Recomposed

舞台転換がされて、いよいよMusic Futureの開幕となります。

フィリップ・グラスさんの曲を久石さんがリコンポーズした作品ですが、すみません、元の曲を聴いていないので、会場で聴いた感覚的なものを書き残しておこうと思います。この曲の時は久石さんの指揮台の真正面にマリンバ(違ったらごめんなさい)とオルガン代わりのキーボードが配置されていて、そこをベースにしながら指揮台周辺に弦楽カルテット(ただし対抗配置で左から第一バイオイン、チェロ、ビオラ、第二バイオリンの並び)、左手前にコントラバス、マリンバの左にフルート、オーボエ、クラリネット。オルガンの奥にパーカッションというよりドラム、右側にバソン、ホルン、トロンボーン、バストロンボーンって感じだったような気がします。

まさにこの曲は短いフレーズが繰り返されるミニマル的な曲になってます。コンサートパンフレットに説明があるんですが、同じ音形が繰り返されるものの、フレーズのアクセント位置が変わってくる動きがあって、あまり考え込まずに音の流れに身を任せるまま聴くとすごく心地よい気持ちになります。

ただ、やはり短いフレーズがずっと続いてくるため、演奏される皆さんも楽譜に集中され、現在位置を見誤らないようにされてました。久石さんの指揮も変拍子が多く、演奏者と同じように集中されてました。

その集中が、聴いているボクらにも感じられて、緊張感が伝わってきます。曲を聴きながら、どこを弾いているのか分からなくなりそうだよなあと思ってました。同じ音型が楽譜に並んでいるんでしょうから、数えておかないと分からなくなりますよね。ステージの皆さんを見ると、さっき書いたように楽譜を凝視して、言い方が悪いかも知れないですけど、指揮者の久石さんを見られてなさそうだったし、久石さんも楽譜を凝視していて、周りを見る余裕もなさそうで… おそらく演奏者の皆さん、楽譜を凝視しつつ、久石さんの動きをわき目でみてリズムやタイミングを合わせるようなことをされていたのかなあと思いながら鑑賞してました。

そんなことを考えていましたが、ミニマルミュージックはあまり細かいことを考えずに、流れてくる音に身を任せればいいのかなとも感じて、飛んでくる音の塊を身体で浴びさせていただいてました。

参考映像です。公式映像ではないのですが… 久石さんアレンジではもちろんありませんが雰囲気は同じ感じ。

String Quartet No.5

フィリップ・グラスさんが初めて作ったミニマルミュージックの弦楽四重奏曲とのこと。第5楽章からなる曲でした。

カルテットは、ファーストバイオリンは郷古廉さん、セカンドバイオリンに小林壱成さん、ビオラは中村洋乃理さん、チェロは中実穂さんの4名で組まれていました。こちらも対向配置でステージに向かって左から第一バイオリン、チェロ、ビオラ、第二バイオリンの順に並んでました。この辺りは久石さんのこだわりなんでしょうね。

曲の内容の前に第二バイオリンの小林さんが使っていたiPadが気になってました。最近は楽譜をiPadに入れている方をお見かけするんですが、立奏だったこともあって、iPadと連携したフットペダルみたいなものを足元に置いて活用されているのに気づいて、勝手に注目していました(笑)。

もう記憶が薄らいでいるところですが(苦笑)、パッと思い出すのが第3楽章での力強いパッセージをカルテットのみなさんが奏でているところでしょうか。

それまで静かな演奏だったのが、急に力強い演奏に切り替わった感じがして、心地よさに身を任せていたと思っていたら、いきなりびっくりする展開だったので、「おっ?」って感じになりました。

あと気になったのが第5楽章で第二バイオリンの小林さんとビオラの中村さんがちょうどピチカートの演奏をしているときにお互いに顔を見合わせてちょっと笑っていたようだったんですが、もしかしてピチカートの演奏がちょっとズレていたりしたのかな? …なんてのが気になったんですが、基本的には素晴らしい演奏のカルテットだったと思います。

あと、盛り上がってきていよいよクライマックスかなと思ったら曲が終わらないなんてところもあったように感じました。そういったところでは音楽でジェットコースターのように感じられて面白かったです。

それと、皆さんカッコよかった。特にファーストバイオリンの郷古さんが汗を光らせながら、力強く、素早いバイオリンの演奏は、男性目線から見てもカッコよかったですね。

以上の2曲で前半は終了となりました。フィリップ・グラスさんの2曲を聴いて、「ミニマル」聴いているなあという感じがします。前半だけで、来てよかったなあと思ってしまいました。

こちらも参考映像。この演奏もなかなか良いパフォーマンスだと思います。

Breathless

後半最初の曲はデービッド・ラングの木管五重奏曲。フルート、オーボエ、クラリネット、バソン、ホルンの参加となります。

いつも気になるんですが、ホルンってなぜ木管扱いなのかなあと思うことはよくあります。この曲のホルンは信末さんが担当をされていたんですが、、ミュートを使った演奏をしていたと思いますが、ずっと小さめな音を鳴らすのって難しいって聴いたことがあるので大変だったんじゃないかなと思いながら演奏を聴いてました。

すみません。こちらも参考映像です。

On the Nature of Daylight

入場に際し、一旦ステージにみなさん来られたんですが、ホルンの福川さんが何かに気づいて舞台下手に戻っていかれました。事前のセッティングで譜面台に楽譜が置いてあったんですが、福川さんのだけ置かれていなかったようです。たぶん直前まで練習するからご自身で持っていこうと思っていたのを忘れてしまったのではないかと思われます。

楽器構成が金管楽器の方が中心となり、トランペット、ホルン2名、バソン、トロンボーン2名、クラリネットという7名での演奏となっていました。

映画でこの曲が結構使われていることは全然知りませんでした。結構有名な楽曲だったらしくて、知らずに、ちょっと短めの曲(約6分)だなあとしか感じてませんで…(汗) パンフレットによると反戦曲だということで、タイトルにもあるように夜明けを感じさせるような曲です。

結構ホルンがメインメロディを奏でるところがあったんですが、福川さんと信末さんが変わるがわる演奏が入れ替わっていたのが印象に残ってます。前の曲でも言いましたけど、ホルンの演奏って結構きついってことを聞いたことがあったので、そんなところを気にしてました。

こちらは公式映像っぽいです。

The Chamber Symphony No.3

音楽に詳しくないので、まともな感想は言えませんが、元々がピアノ曲だったとは思えない作りだったと思います。パンフレットの久石さんのコメントではアレンジというより、「原曲自体も修正して全く別の作品に仕上がった」という説明だったので、似て非なるものなのかも知れません。

最初、「Sonatine for Large Emsemble」というタイトルとなっていて、古いファンの間では去年に引き続き、過去作である、映画「ソナチネ」のアレンジバージョンかと話も挙がったくらいですが、結局、それとは異なる曲である、ピアニストの滑川真希さん、Philharmonie de Paris、Arts Electronica Festivalから共同委嘱された曲をアレンジ(作り直し)した曲であるとの説明がなされて、ちょっとガッカリなんて経過がありました(苦笑)。

この「The Chamber Symphony No.3」の演奏はMFBメンバーのうち、ホルンの信末さん以外の方が全員出てらっしゃったと思います。久石さんの真向かいの位置にピアノの鈴木さんがいて、指揮の久石さんの周りに弦楽器、左側には木管楽器とマリンバ、右側には金管楽器と打楽器という体制だったんじゃないかなと思います。そうそう、新日フィルから参加されている柴原さんってティンパニのイメージが強いんですが、ドラムを叩いていたのを見て、違う楽器演奏されているのは初めて見たかも知れません(苦笑)。パーカッションの方なので、当たり前に演奏できるんでしょうけど、やっぱり「ティンパニ」のイメージが強いので。バスドラ叩いていたり、タンバリン演奏しているのがまだ記憶に残ってます。

…とは言え、大半のことは記憶に残っておらず、音楽的な分析はまったくできないボクですので勘弁してください。唯一、残っているのは第3楽章で「かぐや姫の物語」サウンドトラックから「絶望」のフレーズに似たところもあって「おぉぉ!」と感じたところでしょうか(苦笑)。

ミニマルミュージックの世界を広めるために実施している「Music Future」ですが、古いファンとしては正直、久石さんのいわゆる「久石メロディ」を聴きたい気持ちがあって、ところどころ出てくるメロディにしても、いわゆる「久石メロディ」的なメロディアスなものではないので、じれったい思いも正直あります。

でも、ミニマル的な手法を使って、それこそ音がずれていく感覚は、久石さんの過去作にもあって、それを楽しんだり、カタルシスを得たりする部分もありました。

振り返ってみて

実はこの日、参加された方に海外からいらっしゃっている方が結構多くて、ビックリしました。「ジブリ作品」を期待していたらちょっとかわいそうだなあと思うところもあれば、久石さんが一丁目一番地としてやってきているミニマルミュージックの場だしなあなんて思うところもあります。今年はジブリ作品のコンサートをされる場が限られているため、最近久石さんのファンになった方にとってはかわいそうだなあと感じる一面もあります。

そういった想いもありますが、久石さんが一丁目一番地であり、ライフワークとして実施してきているこの「Music Future」のコンサートの模様も、これまで音源化はされておりますが、ぜひ映像化していただいて、多くの方に久石さんの今の活動に触れていただく機会を作っていただきたいなあと思うところです。

ミニマルミュージックに琴線を触れる若い人たちもいるかも知れないし、そうであれば地方にいる若い人、日本国外にいる若い人にも、映像化することによって、ハイクオリティなミニマルミュージックを届けられると思うので、是非とも映像化も含めて考えてほしいと思います。

2024.07.28 16:20 掲載
2024.07.28 17:55 リンク追加
2024.08.17 07:30 リンク追加

関連リンク

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋】Blog. 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.11」コンサート・レポート

  • 久石さんの情報量が一番あるサイト「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」主宰のふらいすとーんさんのコンサートレポートページです。毎度ながらやっぱり全然レポート内容がボクと違います(苦笑)。音楽の情報量が圧倒的にふらいすとーんさんの方が多い。いつものように音楽的にいろんな角度から読めると思います。オーケストラ、吹奏楽経験者の方はふらいすとーんさんのレポートで「久石譲」を深堀りできると思いますのでぜひぜひご覧ください。

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋】Overtone.第98回 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.11」コンサート・レポート by ふじかさん

  • 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」のふらいすとーんさんのサイトに、よくやりとりされているふじかさんのレポートが掲載されたのでリンクを張りました。ふじかさんはボクの鑑賞した前の日、初日公演に参加されたのでお会いできませんでした。ふじかさんも音楽の知識が豊富なので、演奏に対しての具体的なレポート、感想があって、正直うらやましい限りです。こちらも併せてお読みください。

実はサイン会があった(番外編)

前日のお話で、対象のCDを買うと久石さんにサインがもらえるということで、最近、出待ちをやっていなかったので、久石さんのお会いすべく、買っていなかった対象のLP盤を購入しました。

対象は先着50名とされていましたけど、結構並んでいたように思います。後ろの方に並んで、「お久しぶりです!」とのたまっておきました(苦笑)。

コロナ禍の後、初めてのファンとの触れ合いの場だったのではないかと思います。そろそろ出待ちも解禁して……と思ったんだけど、実は最近コロナが流行っているという話があるので、ちょっと気を付けないといけないなあと考えると、あまり軽々に出待ち解禁をという意見をいうのもちょっと違うのかなという気がしてます。久石さんにまたコロナに罹ってほしくないしねぇ。

当日のツイート(Xポスト)の様子です

ショー@オーナー
  • ショー@オーナー

6件のコメント

  • ショーさん、26日いたんだ〜🎵
    私も旦那さんと行ったよ〜✨
    真ん中ら辺で、1人でスタオベしてたのが私(笑)

    京都も行くんだね🎵
    会場で話せれば良かったねぇ〜

    久石さんの、日本コンサートは貴重だから、チケット取れたら絶対行かないとね🎵
    バイオリンの人が、ノブコブ吉村みたいだったけどカッコ良かった✨またね😊✨

    • >七重さん
      いらっしゃったんですか!?
      実は3列目にいたので七重さんのスタオベは全く分かりませんでした…(苦笑)
      …いや、実は京都はチケットだけ無いんです。買ったつもりだったけど、実はチケットが取れていなかったことが判明して…(涙)
      郷古さん、カッコよかったっスよね! 男でも惚れそう(笑)。
      お会いできる機会にお話しましょう!

  • うわ!
    ショーさん3列目だったのですね!
    私は12列目くらいでした☆

    ノブコブ吉村は、郷古さんとおっしゃるのですね♪
    カッコ良かったです。
    しかし京都取れてなかったのですね…
    ANDサイン会羨ましい…

    同じ会場にいたので会いたかったですね〜♪
    また是非お会いしましょう(^^)

    • はーい、今度はぜひお会いしましょう!

      P.S.ちなみに郷古さんってNHK交響楽団のコンサートマスターをされたりしてます。
      で「君たちはどう生きるか」のサントラでもコンマスされてます。

  • マジすか!?(笑)✨

4件のピンバック

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