熊木杏里「風色のしおり」を聴いて
23日に発売された熊木杏里さんの13枚目のニューアルバム『風色のしおり』、ようやく聴けるようになったはずなので(笑)、聴き始めてます。
2005年にリリースされた「無から出た錆」とか、金八先生の挿入歌で使われた「私をたどる物語」などが出ていた頃の、ある意味とんがっていた熊木さんの時期に好きになったボクとしては、最近の、前向きに、楽しく生きていく(ように見える)熊木さんの心持ちの変化に置いていかれているような感じを持ちながらも、時間の経過で熊木さんも、そしてボクも変化しているんだよな、と改めて感じているところです。
そんな感情もあって、実はスマッシュヒットと感じる曲が今のところないのですが(汗)、スルメ的に楽しめる優しげな曲(実は熊木さんの歌声が優しげなだけで、曲は優しくないものもあるかもですが…)が多いかも知れません。アルバム「飾りのない明日」の表題曲「飾りのない明日」が、完全にボクにフィットしすぎていたってのもあって、新アルバムが出るたびに期待しちゃうんですよね。6年前の作品になっちゃうのか…
で、ボクは通常版ではなく、初回限定版で、熊木さんのピアノ弾き語り5曲が収録されたDisc.2「季節のない歌」と、20周年記念ライブの模様が収録されたブルーレイがセットになっているものを購入しました。ブルーレイはまだ観てません。時間があるときにゆっくり観てみようと思います。
それではちょっとかいつまんで感想を述べていこうと思います。
1.ここにある今日
12ヶ月連続配信で先にリリースされていた曲。2021年に実施されたライブのタイトルもこの「ここにある今日」でした。たぶんライブをやっていた頃に作った曲なんだろうなあと。
「♪無理をしないでいて 自分を後回しにしない様に」っていうフレーズ、自分にも肝に銘じないとなあと思いながら聴いてます。ずっと変わらないものはなく、ここにある、目に前にある「今日」だけが確かなものだから、今をしっかり生きていこうっていう歌なんだろうと思います。
でも、配信リリースされたピアノと熊木さんの歌声の音源から雰囲気は変わっていなくて、そこにギターに加わって雰囲気を壊さない、静かに諭してくれる曲となってます。
2.いのち輝く
作詞を、過去のヒット作「新しい私になって」の作詞もされた、CM監督で有名な中島信也さんが手がけられています。
「いのち輝くフィットネスへ」キャンペーンのテーマソングとして使われていましたが、身体の健康をテーマとした曲ではなくて、タイトルどおり「命」を主題にして、亡くなってしまった誰かに対して、「いのち」のことを伝えたかった、という色んな意味に取れそうな複雑そうな歌詞にちょっと惹かれます。9曲目に収録されている「はなむけの歌」も、亡くなってしまった誰かに向けた曲になっていて、中島監督のこの「いのち輝く」に触発されて作られたのではないかなと思ってみたり。
3.My Love
ちょっと軽めに感じるポップな曲ですけど、親から子への「愛」を歌った歌なのかな。でもなぜかちょっと悲しげで。メロディはすごく印象的で、すぐに覚えちゃいます。「♪君を乗せ走るよ マイラ~ブ、マイラ~ブ、マイラ~ブ」って、口ずさみたくなってしまいます。
4.あなたと共に
この曲のクレジットを観たら、作曲は熊木さんのオヤジさん、熊木龍男さんなんですね。曲先なのか、詞先なのか分からないのでなんともですが、短い曲ですけど、すごく厳かで素敵な曲です。ローズ・ピアノと呼ばれる電子鍵盤の音色が素敵に響いて、熊木さんの声をマッチしています。アレンジのチョイスがよく、クリスマスにピッタリな感じがします。
5.夢ならば
ピアノと弦楽四重奏の演奏をバックに、「♪夢ならば 夢ならば」というフレーズが印象的。
6.心を知るよりも感じる方が性に合ってる
打ち込み音源をバックに「♪ショートケーキ 苺はいつ食べる派って/聞かれて 特に決まってない」という歌詞がすごく耳に残る(笑)。
7.明日からも
この曲も親から声の「エール」なんでしょうね。歌声も親から子へ語りかけるような、ものすごく優しげな声でよかった。
『♪明日からも 明日からも/今日までの君と これからの君で/生きるんだよ たとえ何をなくしたとしても/全ては君のなかに」
なんか前向きになれそうな気がしてボクはこの曲が好きです。
8.根
歌詞を読むとちょっと「ギクッ」とさせられる。根を伸ばす(生きている)意味を問われて、不思議な顔をしてしまう根っこってのがちょっと深いなあ。短い曲だけど考えさせられる曲。
9.はなむけの歌
たぶん、亡くなられた誰かに向けて作られた曲なんでしょう。密かに思いを寄せていたのに、気づかずに亡くなってしまった相手に対しての「はなむけの歌」、なんでしょうか。
すごく変な言い方になりますが、最近の「熊木杏里」を表すような、歌詞とか曲、歌声などが「熊木節」というか、「ザ・熊木杏里」って曲になっていて、安心して聴いていられる曲です。
10.もうすぐ春なのに
ちょっと季節がズレているなあなんて思いながら聴いた曲(苦笑)。卒業に向けた曲ですね。アルバム最初の「ここにある今日」は、「今日」を歌っているけど、この曲は過ぎ去ろうとする今日背にしながら、先にある「本当の道」に向かっていく。
季節感が合わないのはあるんですが、この曲も熊木さんのファルセットとか、節々に「熊木さんだなあ」と感じられる、安心感が感じられます。ピアノ、ギター、ベース、パーカッション、コーラスのシンプルな構成で、しかも熊木さんがピアノも弾いているようなので、最後の締めの曲にはふさわしく、この曲も好きな曲の一つです。「卒業式」で聴いてみたい。
そうそう。この曲でコーラスに矢井田瞳さんが参加されています。言われないと分からないですね。
…全曲ひとことへっぽこ感想になってもうた…(汗)
アルバムのアレンジは鶴谷崇さんが手がけています。THE YELLOW MONKEYや矢井田瞳さんのサポートをされていらっしゃるキーボーディストの方とのことです。アルバム全体が優しい雰囲気に包まれた感じになっていて、統一感があって良いと思います。
気になった方は店頭で手にとってもらえると嬉しいです。
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【収録曲】
1.ここにある今日 2.いのち輝く 3.My Love 4.あなたと共に 5.夢ならば 6.心を知るよりも感じる方が性に合ってる 7.明日からも 8.根 9.はなむけの歌 10.もうすぐ春なのに
【発売日】2022.11.23(CD) 【コード】YCCW-104078/B(初回限定版) 【レーベル】ヤマハミュージックコミュニケーションズ 【価格】10,000円(税抜価格 9,091円)