(ネタバレ注意)熊木杏里 LIVE TOUR 2016 “飾りのない明日” 東京公演

2016年(平成28年)5月8日(日)に東京・鶯谷にあるキネマ倶楽部において、熊木杏里さんのライブツアー「飾りのない明日」が開催されました。もう記憶が薄らいでしまって、たいしたことは書けないですが(苦笑)、記録的にレポートを書いておきます。ネタバレチックなことは、後半の「続きを読む」に記載しようと思います。ツアー期間が長めですので、ツアー前の方でセットリストとか見たくない方は、お気を付けください。

まず、会場であるキネマ倶楽部の印象ですが、外観だけだと古い建物という感じで心配していたんですが、中に入ってみるといわゆるレトロな感じで、リンクしてあるキネマ倶楽部のホームページをご覧頂けると分かるんですが、元々グランドキャバレーだったところをライブハウスにしたところだそうで、もの凄く雰囲気が良い空間でした。ステージを囲んで、2階席、3階席と円状に客席が囲んでいて、全体的にレトロな空間でした。ボクは1階フロア(わかりやすく1階フロアと行ってますが、1階フロアは建物として正確には「5階」になってます)に座っていましたが、2階席とかの方がレトロな座席とかボックス席もあったようなので雰囲気が良い空間だったかも知れません。そういった意味では貴重な体験をさせていただいた気分です。

そして、この日のメンバーはボーカルはもちろん熊木杏里さん、ピアノ&バンマスとして扇谷研人さん、ギターは武藤良明さん、ベースに森田晃平さん、そしてドラムスは岩丸 正さんの5名でした。

扇谷さんはピアノとキーボードを使い分けて、時には腰を少し浮かせながらエモーショナルに弾く姿は非常に印象的で、時折メンバーのパフォーマンスに対して「良いね!」と伝える笑顔を見せ、ライブを楽しんでいるんだなあということが分かって、聞いているこちらも楽しくなりました。扇谷さんの演奏は、ピアノを打楽器のように使うようなパワフルな演奏で、時にはエモーショナルなメロディを奏でてみたり、時にはピアノでリズムを刻んでみたりと、個人的には好みの演奏でした。

ギターの武藤さんも曲によって、エレキギターをクラシックギターに持ち替えて演奏をしていました。見た感じで申し訳ありませんが、ライブ中は結構おとなしめな方でメンバーの中では一番年長の方だと思ったんですが、ライブ前に熊木さんと一芝居するなど、お茶目な一面をもたれたギタリストの方だなと感じました。

ベースの森田さんも、数種類のベースとコントラバスを使いこなしてました。扇谷さんと一緒に組むことが多いようで、距離的にも一番近い位置だったこともあり、アイコンタクトを取られることが多く、お互いコンタクトを取りながら笑顔になっているのも記憶に残っています。演奏も特に印象に残っていたのは某曲で使われたコントラバスは音圧が強くて(スピーカーの正面にいたから余計…)、胸に音が突き刺さるくらいでした。

ドラムスの岩丸さんですが、ピアノの扇谷さんも曲に応じてですが、イヤホンを付けながらドラムを叩いていらっしゃいました。部分的にストリングスについては打ち込み(または事前に録音した演奏)を使われていたので、リズムを合わせるのにイヤホンをされていたと思われるんですが、あらかじめ決まっているものに合わせてドラムを打つのって、ボクは素人なのでよく分かりませんが、ちょっと難しかったんじゃないかと思うんですが、難なくこなされていたのが印象的でした。また、ドラムを力強く叩くより、シンバルとかを優しく響くよう、なでるような優しげな演奏が記憶に残っています。なかなか良かったと思います。

そして、肝心のボーカル熊木杏里。曲目によっては口角を上げたいわゆる「女の子女の子」っぽい歌い方をしていて、特に後半にあった古いナンバーを歌う時なんかは20歳前半の頃を意識して声を出していた感じで高い声を出すのがきつそうなところもありましたが(苦笑)、バンドの音量に負けないパワフルな歌声を聴かせてくれました。また、途中あった難しい曲も難なく歌いこなしていたのも印象的でした。ステージ左手上方にサブステージがあるんですが、ライブ後半のパフォーマンス中に、マイクを持ってサブステージに向かい、近くなった2階席のお客さんに向かって歌声を届けていたのも記憶に残ってます。ただ、歌いながらサブステージを降りてくる時、階段の踏み面の幅が狭そうで、足下に注意が行ってしまい、歌詞がわけが分からない感じになってしまったようで、歌の途中で謝ってしまう場面がありました。…トラブルがあるとどうしても記憶がそちらに引っ張られてしまうので、そちらをメインに書いてしまうんですけど、全体的にはやはり楽しそうにパフォーマンスをしていた熊木さんの印象が強かったです。当日の熊木さんの服装ですが、上下とも白で統一して、袖無しの白い上着に、白いスカートでした。今回のアルバムからの「飾りのない明日」や「白き者へ」を意識した衣装だったんでしょうか。

この日のライブ会場にはカメラが結構設置されていました。数は数えませんでしたが、次のアルバムの特典用なのか、あるいはライブDVD・ブルーレイの製作なのか、特に発表はありませんでしたが、ヤマハに移籍したことだし、DVD・ブルーレイ版を期待しても良いかも知れないですね。

ライブ中に、6月に行われる中国公演の話も触れられていましたが、中国にも今回のメンバーで行われるそうで、「みなさんもこちらで見守っていてください」っていうような趣旨のお話をされていました。

そうそう、アンコール前に追加公演決定の発表がありました。熊木さんと扇谷さんの2人だけでのものになるとのことで、7月16日(土)午後6時30分開場、午後7時開演で銀座のヤマハホールで開催されるとのことで、今から楽しみが増えました。

ライブの全体的な印象としては、非常に落ち着いたライブでした。スタンディングで盛り上がれる曲もあることはあったんですが、熊木さんからスタンディングを促されずに、盛り上がる曲も手拍子だけという形でした。ただ、会場のノスタルジックな雰囲気と、アルバム「飾りのない明日」の曲からすると、落ち着いたしみじみとしたライブでも良いよねと感じる内容でした。なんというか、バンマス扇谷さんのアレンジは、パワーのある曲の中にも優しさを感じるところが感じられて、ライブ全体にその優しさがあったのかなと。だから、優しいライブということで、スタンディングが今回は無かったのかな、ということなんでしょうか。ボクとしてはクラシック系のコンサートも聴きに行くので、スタンディング無しはそんなに気になりませんでしたし、アリだと思ってます。

…となるべくネタバレにならない程度のことを書き連ねてきましたが(若干微妙なところはありますが…)、これから後半はセットリストを書きますので、セットリストをご覧になりたくない方は以降は公演後にご確認頂ければと思います。

ツアースケジュール
平成28年5月5日(木・祝) 大阪 ザ・フェニックスホール
平成28年5月8日(日) 東京 東京キネマ倶楽部
平成28年6月1日(水) 長野 長野市芸術館
平成28年6月3日(金) 中国・広州 中山紀念堂 【中国公演】
平成28年6月4日(土) 上海 交響楽団音楽庁 【中国公演】
平成28年6月5日(日) 北京 世紀劇院 【中国公演】
平成28年6月25日(土) 北海道 札幌PENNY LANE24
平成28年6月26日(日) 愛知 THE BOTTOM LINE

平成28年7月16日(土)東京 銀座ヤマハホール(追加公演)

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セットリスト(東京公演)

01.ハルイロ
02.シグナル  …「光の通り道(2012)」から
03.くちびるの魔法
04.恋のあとがき  …「白い足あと(2012)」から
05.ライナーノーツ
06.風の記憶  …「風の中の行進(2006)」から
07.Hello Goodbye & Hello …「and… Life(2011)」から。映画「星を追う子ども」主題歌
08.君の文字  …アニメ「Charlotte」最終話挿入歌
09.飾りのない明日
10.夏の日
11.白き者へ
12.灯び
13.一千一秒  …「はなよりほかに(2009)」から
14.ノラ猫みたいに  …「風の中の行進(2006)」から
15.景色  …「無から出た錆(2005)」から
16.誕生日  …「ひとヒナタ(2008)」から。
     読売テレビ「かんさい情報ネットten.のエンディングコーナー「めばえ」テーマ曲
17.
18.今日を壊せ
19.忘れ路の旅人

アンコール
20.心のまま  …「光の通り道(2012)」から
21.  …「流星(2006)」から

※ 曲の後ろに記載しているのは収録されているアルバムを記載しました。初出のCDではありませんので念のため。なお、未記載のものは全てアルバム「飾りのない明日(2016)」の収録曲です。

…とは言え、あまりライブのネタバレになるようなことはあまり覚えていない(苦笑)。

最初、熊木さんを除くバンドメンバーがステージ上の配置につくと、曲の伴奏が始まるやいなや、熊木さんがステージに入場して拍手が起こりました。その最初の曲は予想通り、「ハルイロ」から。ちょっと口角を上げた歌い方でしたが、アルバムほど極端にはされていなかったかなという印象でした。この曲も含めてだったと思いますが、ストリングスが打ち込みか事前収録されたものがバックに流れていたので、そちらのリズムに合わせながらの演奏だったんだろうと思います。

シグナル」の歌唱が終わった後、熊木さんがマイクを持ってしゃべりはじめられ、リリースした「飾りのない明日」の曲を中心に今日はお送りする話があったと思います。客席から、「チケット完売おめでとう!」という声を掛けられるひと場面も。

恋のあとがき」などは、扇谷さんのエモーショナルなピアノが目に映りました。優しげな曲はちょっと悦には入りながら演奏される感じ、ボクは好きですね。「ライナーノーツ」のメロディはやっぱり昭和の感じがして、キネマ倶楽部の雰囲気にマッチしていました。そう、「ライナーノーツ」が終わった後に、グッズのお話をされてました。いろいろグッズを考えていて、うろ覚えですが「灯び」に関連して「マッチ」とか、なんの曲からのものか忘れてしまいましたが「箸」を作ろうかという話もあったみたいですが、ライナーノートを作って、ちょっと悪ふざけをしたというお話をされてました。

Hello Goodbye & Hello」のストリングスは事前収録か打ち込みで、ピアノの扇谷さんとドラムスの岩丸さんはイヤホンをしながらの演奏だったと思います。君の文字」はたぶん生演奏でのライブは今回のツアーが初めてだと思うんですが、メチャクチャ激しい力強いアレンジに変わっていました。イントロは扇谷さんのピアノがかき鳴らされるところから始まって、印象的だったのはコントラバス。森田さんのピチカートの音圧が結構強くて、胸の辺りにドンと響いてきている感覚がまだ残ってます。後半はエレキギターの武藤さんと、ドラムスの岩丸さんもそれぞれ大音量で、全ての楽器が鳴り響かせられるかぎりの音量で演奏されていて、非常にロックな曲になったなあという感じです。で、熊木さんのボーカルは、非常に難しくて、たとえば「ピントがずれたような二人だった/今もおんなじか」という部分の「今もおんなじか」の入りの部分が半拍くらいずれていて、今回のアレンジでは余計に「あれ? ズレて…あ、大丈夫だ」という感じで、おそらく歌う方も大変だったと思います。というか、曲終わりにも「難しかった」とおっしゃってましたし。また、新たに「Rewrite」というアニメの楽曲「End of the World」(作詞・作曲:麻枝准)を担当することになったことも言ってました。

飾りのない明日」をはじめる前に、曲の紹介をされ、ふと夜中にわき上がってきたことを曲にしたもので、誰に対しても明日はあるので、その明日に向かって飾りを付けに進んで行こうよという曲だというお話をされていたと思います。その次の「夏の日」についても、井上陽水さんの「少年時代」のような夏を表すような曲を作りたくて、結構前に作ってライブで何回かやったことがあって、それを今回のアルバムに収録することが出来て嬉しく思っているということもあわせておっしゃってました。今、思い返すと、今回のライブのMCでは結構真面目なお話をされているところが多かったような感じがしました。

白き者へ」はベースの森田さんとドラムスの岩丸さんが退場されて、熊木さんのボーカルと、扇谷さんのピアノ、武藤さんのクラシックギターでの披露となりました。その後の「灯び」は、武藤さんも退場され、ステージ上は熊木さんと扇谷さんだけとなりました。ボクの座席位置のせいもあると思うんですが、舞台上からライティングされていて、ピアノにその光が反射しているんですが、その反射した光が縦に伸びて、ロウソクの炎のように見えて、もの凄く幻想的に感じました。

一千一秒」の曲の前に、島本理生さんが書かれた「一千一秒の日々」という小説を読んで、それを元に製作した旨のお話をされてらっしゃいました。

ノラ猫みたいに」の前奏にメンバー紹介をされ、手拍子のリクエストがあり、手拍子に乗りながらの演奏になったんですが、今回のライブではスタンディングの要求はされませんでした。要求すればみんな立ち上がったんじゃないかと思ったんですが、声が掛からず手拍子だけとなりました。次の「景色」も、その流れで手拍子だけになっちゃいました。そして、西日本方面では知名度の高い「誕生日」は外せないナンバーとして演奏されました。

今日を壊せ」を歌う前に、熊木さんから「今日のライブ、あと数曲となってしまいました…」のおきまりのくだりがあって、それぞれの曲紹介をされてからのパフォーマンスになったと思います。この「今日を壊せ」の間奏の時に、熊木さんがノリノリでサブステージに上がっていったんでしたっけね。その後、長い間奏が無かったため、歌いながら降りてこようとして歌詞を間違えてしまったようです。「忘れ路の旅人」は一転して、バラード曲。ステージのライティングも「灯び」の時と同じようになり、静かに歌い出されてました。

会場のアンコール要求に応えて、再登場。熊木さんは例のごとく着替えてこられて、白のトップス(縦筋の入ったアンコール前に来ていた服とは違うもの)とジーンズの出で立ちで来られました。そして、扇谷さんが演奏されていたグランドピアノの前に座り、「心のまま」をワンコーラス、熊木さんの弾き語りで演奏されました。ワンコーラス後に熊木さんがステージ中央に戻って、バンドメンバー全員での演奏となりました。演奏の前に、追加公演の話とともにこの曲の説明があり、フリーになっていた時に作った曲で思い入れのある曲だということをおっしゃっていたと思います。そして、最後に演奏されたのが「」。すごくしっとりとした曲で、ライブ全体を最後に表現された良い選曲だったのではないかと思います。

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

若干、熊木さんの声が不安定なところはあったと思いますが、それでも力強い歌声を届けてくれた非常に内容の濃いライブだったと感じました。アルバム「飾りのない明日」から余すことなく全曲披露され、また古い曲から最近の曲まで、バランスよくチョイスされおり、やはり扇谷研人さんのアレンジが、本当にメリハリが付いていて聴いていて楽しかったです。追加公演が決定された、銀座のヤマハホールも、チケットが取れるか分かりませんが、非常に楽しみです。

以上、熊木さんのキネマ倶楽部のコンサート、ではなくライブレポートとなります。若干というか、かなり記憶が抜け落ちてしまっていて、また過去の他のライブの記憶と混同してしまっていそうなところもあり、「おそらくこういうことだったはずだ」という部分で書いているところがありますので、実際のライブとは異なる部分がある可能性があることをご承知おき頂ければ幸いです。拙文をご覧いただき、ありがとうございました。

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