おくりびと



 映画「おくりびと」を観てきました。
 率直に感想を言うと良かったなぁと思います。山崎努演じるベテラン納棺師・佐々木と、本木雅弘演じる新米の小林大悟との掛け合いなどでクスッと笑わせてくれるシーンと、シリアスで思わず涙をこぼしてしまいそうになるシーンのバランスが絶妙だったと思います。
 そもそも「納棺師」っていう、本当は身近なんだろうけどあまり意識されることがない職業をフィーチャーしたのは面白かったのと、「生と死」をどういった視点で捉えるのかということを考えさせる部分もあってよかったですね。昔から、死に触れるのを「穢れ」と捉えてしまいがちなんだけれど、人間誰でも「死」を迎えるわけで、死を僕らの生活に取り入れて、いかに送り出してやるかっていう少し僕らが忘れかけている部分を思い起こしてくれるいい映画だと思いました。
 確か養老孟司さんも、高度情報化した現代の人たちは死と向き合うことをしなくなったから、自分は死なないと思い込んでいるなんて話もされていますし、今の時代にマッチした映画でもあるでしょう。
 若干、生と死を意識するシーンが多くてわざとらしさが出ちゃっているかなあという感じもしなくはないんですが、それを差し引いても素晴らしかったです。去年出来上がっているんであれば、早く公開してくれればいいのに、なんて思っちゃいました。
 そうそう、映画のシーンでセリフがなく多くのカットを積み重ねて、「音楽」のみで4〜5分くらい流れる場面があって、チェロがメインテーマを演奏しているんですが、久石さんの音楽が非常に印象的でした。これは滝田洋二郎監督と久石さんの信頼のなせる技かも知れませんね。こういう音楽に任せるシーンがあると、すごく楽曲が際立って好きです。
 それと、本木雅弘さんと広末涼子さん。なんかお似合いの夫婦になっていてよかったですね。結構、年齢が離れているはずなんですけど、全然違和感が無くて、パンフレットに本当は本木さんと同年代の女優さんを配役するつもりでいたけど、広末さんにすることにして脚本も大幅に変更したんだけど、「年の差を感じさせない瑞々しい夫婦に映ってしまうのは嬉しい誤算」だったそうです。
 とまぁ、あっちこっち行く感想となっちゃいましたが、まず観てみてほしいなと思います。損はしないはずです。
オーナーのお薦め度
 おくりびと ★★★★★★ 星6つ
(この映画の中で本木さんがオーケストラの元チェロ奏者という設定のため、結構チェロを弾く場面があるんですが、弾いている姿も様になっていて本当に弾いているんじゃないかと思わせるくらいでした。完成披露試写などでは実際にチェロを弾かれたそうだし、結構猛特訓されたんでしょうね。納棺師の技術習得もあるし、今回は本木さんの演技がかなり光っていたんじゃないかと思います。)

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