コンサート再開

20:09 後半開始のアナウンス
 例の如く、誰も出てきません。…が、待っているとふと会場が暗くなっていきました。…出てくる、と息を呑む観客、音の全くない一瞬。

20:12 久石さん、再び登場!!
 久石さんがお一人で出てこられました。ピアノの前につき、鍵盤に手をつけ… ありゃ、手を戻した。ちょっと躊躇したみたいです。手が汗ばんでいたのかな。少しの躊躇はありましたが「アシタカとサン」のピアノソロが始まりました。この曲、僕のお気に入りの曲です。皆さん、「アシタカせっ記」が好きな方が多いのですが、やっぱり「アシタカとサン」の方が捨てがたいと思っている僕には、とってもありがたい1曲でした。にしても、本当に久石さんはピアノの前では自分の世界に入って感情的にピアノを弾いている感じで、ただただすごいなあと思うばかりでした。続いて「HANA-BI」もピアノソロで演奏されました。この曲の時、はっきりとピアノの鍵盤と久石さんの手がぶつかり合う音が聞こえました。ぶつかり合うと言っても、ピアノの音色が弱くなった時なので、メロディに合わせて「タッタッタッタ」と聞こえる程度でしたけど。それと、この「HANA-BI」の中で、右手で伴奏、左手でメロディーを弾くという場面がありました。何か、左手でメロディというのは弾きづらそうでした。

アシタカとサン」 『もののけ姫』の最後のシーン、緑が復活する場面に使われる感動の曲。
HANA-BI」 ベネチア映画祭グランプリ北野武監督作品『HANA−BI』のメインテーマ。


今回の目玉「DEAD組曲」
 「HANA-BI」が終わった後、バラネスク・カルテットの方々と、コントラバスの方が出てきました。今回の目玉「DEAD組曲」の説明が久石さんからされました。「今年は1999年で世紀末、世紀末と叫ばれていますが、20世紀は2001年からなんですよね。まあ、そういう時期という事で世紀末に向けて音楽を作りました。これまで「孤独」の先には「死」があるという事で曲を作ってきたんですが、人間は必ず死ぬんですよね。いつか死ぬから前向きに生きよう、そういうことで今回の曲を作曲しました。」久石さんの説明が続きます。「で、この『DEAD組曲』なんですが、これをアメリカの音符読みで読み直すと、『レ・ミ・ラ・レ』となります。」実際にレ・ミ・ラ・レと弾きつつ、「これを展開するとこんな風になります。」とレ・ミ・ラ・レがいろんなメロディーになって、久石さんのピアノから発せられました。「この音が展開する『DEAD組曲』は第4楽章で成っており、今回はその第1、第2楽章を演奏します。第1楽章は死を見つめる曲で非常に激しい曲です。第2楽章は第1楽章とは変わって愛の曲です。」ひと通り、説明された後、実際に演奏が始まります。

DEAD Suite -Movement 1-
 激しい曲とのことで、どのようなものだろうと期待してました。テンポの速い曲で、特にバラネスクさんはパワフルにバイオリンを弾いていました。しかし、よく聞いてみると… あれっ… この曲では久石さんのピアノは控えめなのね… 久石さんは伴奏に徹しておりました。「激しい」曲なのでもっとピアノをかきむしるような曲なのではと思っていたんですが、いい意味で裏切られた感じですね。で、この曲が抑揚が激しく、何か目の前で物語が繰り広げられているような感じを受けました。何らかの悲劇、そして一時の休息、そしてまた悲惨な光景… うー、早くCDを発売してもらいたい。

DEAD Suite -Movement 2-
 この曲、素晴らしすぎる。聴いていくにつれて、その音楽に飲まれていき、自分がその音の中に入っているような感じのする曲でした。非常に感動しました。ジーンと来て、泣き出すということはなかったけれど、うるっと来そうな感じではありました。なぜ、『レ・ミ・ラ・レ』で、こんなにメロディアスな曲が作れるのだろうか。僕には無理です。というか、曲は作れませんが… でも、すごかった。もう、それしか言い様がありません。

 「DEAD組曲」の2曲を弾き終えたあと、久石さんは「普通はレコーディングを終えてから、こうしてコンサートで演奏をしているんですが、今回はこのコンサートが終わったあとに、この今回のコンサートのメンバーでレコーディングをします。来年の4月あたりにCDを出しますので、よろしかったら聞いてみて下さい。」とおっしゃいました。このコメントに観客から拍手が。

 続いて「DA・MA・SHI・絵」へ。…もうさっぱり、コメントが思い出せません。というより、これまではnezさんのレポートを比較しながら、思い出しているんですが… 「これも『MKWAJU』と同じように、メロディがバラバラになる曲です。続いて北野武監督の「菊次郎の夏」より「Summer」です。この曲の途中に、北野さんと一緒にやった最初の映画「あの夏、一番静かな海。」のメロディが挿入されています。聞いてください。」と説明し、まず「DA・MA・SHI・絵」を演奏。この曲は、「題名のない音楽会」をテレビで見たときに始めて聞いたので、知っていることには知っていたんですが、その時の演奏よりも、かなり≪バラバラ≫になっているなあ、って感じでした。そして次の曲の「Summer」… ん? あれ、久石さん、何かそそくさと舞台そでへ戻って行っちゃったぞ!? どうかしたのか? と、思ったんですが、すぐに戻ってきました。一体、何があったのだろうか… で、結局この時は照明がいつもと違うらしく、舞台監督と照明スタッフに伝えにいったそうです(久石譲ファンクラブ会報より)。で、肝心の「Summer」なんですが、やっぱり「あの夏、一番静かな海。」の「SILENT LOVE」からのメロディ(だと思います…)がバラネスク・カルテットと、ウッドウインドで”パーパーパパ−”というのが良かったですね。でも、そっちに気を取られて、演奏がすぐに終わっちゃった。

DA・MA・SHI・絵」 この曲もミニマルミュージックです。
Summer」 北野武監督作品『菊次郎の夏』のメインテーマ。軽快なメロディが映画を彷彿とさせる。


 演奏を終え、久石さんがマイクを手に取り話し始めます。「えー、今年は映画を3本やったんです。1本は、『はつ恋』。2本目は秋元康さんが監督された『川の流れのように』。そして3本目は、『天空の城ラピュタ』の英語版。これはアメリカ用に曲を作り直しています。もし観る機会があったらぜひ観てみてください。」と話され、観客がまた拍手で返しました。

 「さて、終わりが近づいてきました。今度の曲は、いつもオーケストラでもアンサンブルでも必ずコンサートでやる曲があります。「Tango X.T.C.」です。これをお送りします。そして、最後の曲はこれも北野監督の映画の曲です。「Kids Return」を演奏します。お聞きください。」と、演奏が始まりました。「Tango X.T.C.」は、ものすごい迫力がありました。これこそ「久石流」というような抑揚のあるメロディ、そしてパフォーマンス。勢いのある指先の動き、曲に入り込んだ久石さんの表情。ノリに乗った演奏でした。そうとしか言い様がないです。そして「Kids Return」これもおなじみの曲ですが、やっぱり生は違うなあ。目の前に久石さんがいて、演奏する。やっぱり格別のものがあります。やっぱりかっこいいですね。この曲の途中で、久石さん、右手を鍵盤に滑らせて音を鳴らす(すみません、上手く表現できません)アクションは良かったです。、もう一つ、この曲のフィニッシュもかっこいいですね。鍵盤を叩いて、両手を大きく上にあげる。久石ファンだとあこがれちゃう動き、もうしびれました!

Tango X.T.C(タンゴ エクスタシー)」 大林宣彦作品『はるか、ノスタルジー』テーマ。久石さんのお気に入り。
Kids Return」 北野武監督作品『Kids Return』のメインテーマ。この曲も久石さんが気に入ってます。

 

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