コンサート後半戦

    さてさて、コンサート後半が始まります。ふと、ステージ上に目をやると、ピアノの脇にマイクスタンドと譜面立てが用意されているではないですか! そう、後半最初の曲は長丁場の「オーケストラストーリーズ『となりのトトロ』」なんですよ〜 2002年4月2日、同じくこのすみだトリフォニーホールで行われたコンサートで東京初演だったわけですが、その時は元米米CLUBの石井達也さんが朗読されたんですよね。でも、今回のナレーションは久石さん! 東京では久石さんヴァージョンは初演になりますね! ……個人的に2002年に行われたNTTドコモ東北ツアーで久石さんヴァージョンは聴いていたので、「せっかく限定ものだったのに〜」っていう感じはあったんですが…(爆…冗談ですよ、冗談!)

オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」(アルバム「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」より)
    この曲は「さんぽ」、「五月の村」、「ススワタリ〜お母さん」、「トトロがいた!」、「風のとおり道」、「まいご」、「ネコバス」、「となりのトトロ」と組曲形式に繋がっていて、曲の合間に『となりのトトロ』のストーリーが語られるような形になっています。その内容については2002年春先のコンサートとダブってしまうので、こちらでは割愛して、前回のヴァージョンと違う点を書いていこうと思います!
    後半の一番最初、ステージ上ではすでに新日本フィルハーモニー交響楽団のみなさんが揃っていて、チューニングをし始めたんですが、その最中に久石さんと金さんが入場してきました。チューニングと拍手が入り交じりながら、久石さんが会場に対して一礼したんですよ。おぉ、CDと同じだ〜なんて思っちゃって…(笑)
    全体的な部分では、久石さんのナレーションがところどころ時間が間に合わなくて、演奏と被ってしまったところが何カ所かありました。ピアノを弾きながらナレーションをするといった芸当をしているので、多少のところは仕方ないのかも知れませんね。
    そうそう、「風のとおり道」と「ネコバス」のアレンジが若干変わっていました! この「オーケストラストーリーズ『となりのトトロ』」はオーケストラスコアが発売されているんですが、もしかするとそちらのアレンジが使用されているのかなって思ったんですが、確認できません。何せもう覚えていないし…(爆) そうそう、途中でコンサートマスターの
崔さんのソロがあったんですが、この方のヴァイオリンの音色、非常に綺麗でした! やっぱりトップで頑張られている方の音色はダントツに良いですね!!
    あ、もうひとつ! 最後の最後でセリフが付け加えられていました!!

"オーケストラストーリーズ 「となりのトトロ」
    あなたがずっと信じ続けていれば、トトロにもきっと出会えるかも知れない。
        いつか、夢はかなう……"

    ラストのひと言は特に、どこかで聞いたような記憶が…(苦笑) 「ETUDE〜a Wish to the Moon〜」のモチーフが「オーケストラストーリーズ『となりのトトロ』」にも使われたようです。聴いている最中、「あれ?」なんて思ってしまいました(苦笑)。


    「オーケストラストーリーズ『となりのトトロ』」が終わり、会場から拍手が送られました。ピアノ脇のマイクスタンドやスコアなどの片づけなどがされつつ、その間に久石さんが話をされました。

(拍手に対して)ありがとうございます! こう慣れないこと(ピアノを弾きながらナレーションをすること)をいろいろとやろうとすると本当に大変です(苦笑)。

続いては、NHKの「世界美術館紀行」という番組のために作った曲をオーケストラにアレンジして演奏します。最初はチェロのために書いた曲だったのですが、オーケストラでアレンジをすることで世界観が広がるのではと思い、挑戦してみました。この曲には非常に強い思い入れがあり、忘れられない曲となりました。まずその曲を演奏します。

その次に、プログラムには書かれていないのですが、いつもと違うポップスを演奏しようと思います。(新日本フィルの方にちらちらと目をやりながら)実は、来年の夏から新日本フィルと組んでポップスオーケストラをやることになりました。(会場から拍手有り) "新日本フィルポップスオーケストラ"として、いろいろとやることになります。お楽しみに!!(会場から拍手がまた有り) ということで、今回は『新日本フィルと久石が絶対に演奏しないだろう!』という曲をやります! 曲名は秘密です(笑)。

それでは、金洪才指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で、お聞き下さい!!

    …と行って、久石さんは退出されました。ステージ上には指揮の金さんと新日本フィルハーモニー交響楽団の方々が残って、演奏をはじめられました。

Musee imaginaire(NHK「世界美術館紀行」テーマ曲より)
    確か久石さんが話されている間に、金管奏者の方々が少し退席していたように見えました。この曲は弦楽器が主体なので、ちょっとした休憩時間を取ったのかも知れません。曲の感想としては… これは本当に個人的な感想になってしまうんですが、この曲はオーケストラよりもアンサンブル形式の方が良いような気がします。少人数で力強く弾いてもらった方が、それぞれ栄える曲なんじゃないかなと個人的には感じました。もちろん今回のオーケストラヴァージョンも悪くはないんですけどね。あくまで個人的な好みの問題です(苦笑)。

    演奏が終わると、指揮の金さんが舞台袖に向かいます。そして、入れ替わりに出てきた久石さんとハイタッチを交わしながら、今度は久石さんが指揮を振るう番です。

007 Main Theme(映画「007シリーズ」より)
    最初の音が鳴らされた時点から、「何じゃ!?」と思いました(笑)。「なぜ、007(「ゼロゼロセブン」じゃなくて、「ゼロゼロナナ」と呼びましょう!…笑)なんだろう?」っていう想いが交錯しつつ(笑)、曲はそれでも進んでいきます。でも聴いていて良い感じでした。金管やドラムが鳴り響いて、やっぱりハリウッドだなあって感じがしたし…(笑) 来年からの新日本フィル"ポップス"オーケストラが楽しみです!

    演奏が終わり拍手の中、一旦久石さんが舞台袖に戻り、もう一度出てきました。

どうもありがとうございます! 非常に楽しんで演奏ができています。みなさんは楽しんでいただけているでしょうか?(会場から拍手が送られる)

(舞台袖をちらちらと見ながら)10数年来、一緒に組んでやってきて、僕の指揮の先生でもある金先生に来ていただきましょう!!

    金さんが舞台袖から颯爽と登場されました。会場からはもちろん拍手が送られます。久石さんと金さんが再びガッチリと握手を交わされていました。

それでは「HANA-BI」と「Kids Return」を演奏します!

    という具合で演奏が始まったと思います(もう、記憶が無くなってます…苦笑)。

HANA-BI(映画「HANA-BI」より)
    久石ファンにとっては馴染み感がでてきたナンバーですね。ピアノソロがあり、アンサンブルもあり、オーケストラもあり… コンサートで演奏されやすい曲になりました。今回はこれまでのものとアレンジはあまり変わらなかったと思います。でも、毎度ながら、あのラストのサビの部分は圧巻です。次はちょっと違ったアレンジで聴いてみたいなあなんて、ファンのひとりは勝手に思っていたりもします(苦笑)。

Kids Return(映画「Kids Return」より)
    2001年の「SUPER ORCHESTRA NIGHT」で非常に好評を博した曲です。個人的には「そのアレンジ、アリかよ!?」っていうくらいだったので… ただ、今回のアレンジも過去のものとはあまり変わらないアレンジだったと思います。人間、慣れちゃうと恐ろしいもので、アレンジが同じだと、あまり響いてこないんですよ(苦笑)。ま、僕の体調が芳しくなくて心に響きにくい状態だったのかも知れませんが…


    演奏が終わると会場から暖かい拍手が送られました。一旦、久石さんと金さんが舞台袖へ退出された後、再び戻ってきて、さあアンコールです!

Summer(映画「菊次郎の夏」より)
    この曲のアレンジは本邦初演でした! ピアノソロではなくてオーケストラで演奏です! 曲の出だしはピアノのスタッカート奏法ではなくて、弦楽器のピチカート奏法で軽快な音色で繰り広げられました!! これはなかなか良い感じでしたね!! 途中同じフレーズが何度も繰り返される場面では弦からピアノに音が渡され、また弦に戻るといったようなフレーズの受け渡し作業がされてました。

    知名度の高い「Summer」が演奏された後、第1ヴァイオリンの奥の方にいた女性2〜3人が舞台袖に何やら戻っていきました。何だろうと思ったら、その手には花束と賞状を携えて、久石さんと金さんにテクテクとその女性たちが歩いていきます。まず久石さんと金さんに花束の贈呈がありました。会場から暖かい拍手がわき起こりました。その後、賞状です。よく見えなかったんですが、おそらくペンジョンファンドコンサートに協力してくれたことに対するお礼が書かれてあったのではないかと思われます。お二人とも会場に向かって花束を持たれながらにっこりとしてました。
    一通り贈呈式を終えて、拍手がなっている中、久石さんと金さんがお互いを眺めて、「やっちゃおうか?」って形で確認して、すぐにアンコール2曲目へ突入です。

Madness(映画「紅の豚」&ソロアルバム「My Lost City」より)
    やっぱりこの曲が来ました!(笑) もう、定番中の定番です! プログラムの最後に演奏されなければ、アンコールの最後にやるのがお決まりのこの曲は、やっぱり格好良いですね〜 オーケストラで演奏されると若干曲のスピード感が落ちるものの、迫力があります。ラストは気持ちよく、金さんは半身をピアノの方に寄せて、久石さんは勢い余った両手を空中に投げ出すように「ジャン!!」と力強いヒットで終了しました。


    そういうことで演目は全て終了し、拍手とともに久石さんや金さんが退場され、終演となりました。

    今年(2003年)春先のコンサートはずいぶん盛り上がったんですが、それと較べると今回は盛り上がりませんでした(苦笑)。おそらく客層が違ったんだと思います。今回は新日本フィルハーモニー交響楽団のペンジョンファンドコンサートで、新日本フィルをこよなく愛する方が多くいらっしゃったわけで、久石ファンが集まったわけではないでしょうからね。それに、今回は観客から久石さんや金さんに花束を渡したりするような、いつもの儀式が無かった分、特に毛色が違うコンサートになったのでしょう。やっぱり新日本フィルハーモニー交響楽団のみなさんより久石さんや金さんが目立ち過ぎちゃってはいけませんからねぇ〜

    そうそう、ホールから出ようとしたら楽団員のみなさんが出口で挨拶されてました。これはビックリしました(苦笑)。こういったペンジョンファンドコンサートだから、特にこういった挨拶があったんでしょうね。みなさん、出口で並んでいたので「うぉ!?」っと思っちゃいました。にしても、今回の収益は楽団員のみなさんのために使っていただきたいですね。

    それと、今回も出待ちを敢行…は特にせず、出待ちしている人を眺めてました(苦笑)。すでにサインを頂いているので、もらっていない方がもらえればなあと思った次第で… そうしたら、すごい人だかりになっちゃって… しばらくしたら久石さんが出てきたんですが、もう大混乱しまくりです。サインを求める人、花束を直接渡そうとする人が入り乱れて…(苦笑) マネージャーさんが「押さないでください!!」を連呼する始末…(苦笑) あれは危なかったですね。でも、みなさんそれだけ、ひと目見たい、あるいは握手したい、サインもらいたいっていう想いが強かったのでしょう。結局、全員分はさばききれなかったようで、いつの間にか久石さん、姿をくらましてしまいました。マイカーがすぐそばにあったのにもかかわらず…(笑) ま、新日本フィルのみなさんと打ち上げをされていたって話なので、そちらの会場に向かわれたのかなあなんて思いますが…

すみだトリフォニーホール楽屋口はこんな状態でした(笑)

    そうそう、楽屋口で久石さんを見かけた後、後オフ会を一部でやりました。こちらも何をしゃべったのかあまり覚えてませんでした(苦笑)。ダメだなあ、僕の脳みそは…(爆)

    そんなわけで、今回のすみだトリフォニーホールで行われた、新日本フィルハーモニーペンジョンファンドコンサートのレポートは以上です。今回は肩肘張らずに書こうと思ったんですが、結局はいつもの流れになってしまいました。次回のコンレポは日程的にも厳しいので、短くすませる予定(?)です。

2003.7.15  0:00 書き上げ
2003.7.21 21:25 修正・加筆

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