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・Friends 〜ソロアルバム「ENCORE」より〜
この曲は、ソロアルバム『Piano Stories II 〜The Wind of Life〜』ではアンサンブル形式で、また同じくソロアルバム『WORKS II 〜Orchestra Nights〜』ではピアノソロ形式で収録されている名曲である。以前にはトヨタ・クラウンマジェスタのテレビCMにも使用されていた曲だ。

最初は優しく流れるようなピアノのメロディが響く。アルバムとは若干アレンジを変えつつも、久石は表情豊かに演奏を繰り広げてゆく。先ほど、『View of Silence』ではピアノのタッチが弱かったとお伝えしたが、この曲からはタッチが通常どおりに戻ったように私には感じた。本来の力強いタッチでの演奏、これを私は楽しみにしていた。ハッキリとしたメロディと、感情を込めながら弾く久石の表情。せっかくのコンサート、音だけではなく画でも楽しむことを私はお勧めする。


・Summer 〜ソロアルバム「ENCORE」より〜
トヨタ・カローラシリーズのCMで一躍有名になった曲だが、元々は北野武監督映画作品『菊次郎の夏』で使われていた挿入曲だ。

冒頭から、スタッカートの効いた軽快なメロディが、ピアノから発せられる。テレビで幾度となく流れたこのメロディは、"聴くは易いが演奏は難し"という感じではないだろうか。サビの部分の幾度となく同じパターンの演奏が繰り返される場面は、まさに体力勝負。そこを久石が弾きこなすところは何度観ても圧巻だと思う。そして、『あの夏、一番静かな海。』のメインテーマのメロディがソロアルバム『ENCORE』同様に挿入され、逆に曲の最後はアルバムとは異なるアレンジが施されていた。


・One Summer's Day(あの夏へ) 〜ソロアルバム「ENCORE」より〜
先ほどすっかり曲名を忘れられてしまった楽曲だが、この曲はご存じのとおり、ドイツ・ベルリン映画祭金熊賞(グランプリ)を受賞し、またアメリカ・アカデミー賞長編アニメーション部門のオスカーを受賞した宮崎駿監督映画作品「千と千尋の神隠し」に挿入されている曲である。木村弓の『いつも何度でも』が同作品で有名になり、その後ろにかすみがちだが、この曲は映画の冒頭に、主人公・千尋の不安な心情を静かなピアノのメロディで表現した印象的な楽曲であり、そのメロディを聴けば、すぐにその映画の情景を思い起こす方が多いことだろう。

このコンサートでのパフォーマンスは、アルバムのバージョンよりは少し短くされて、ラストのアップテンポになる部分はカットされていたように記憶している。返ってその方が曲の落ち着きが良いのだろう。静かに始まって、静かに終わるというような形になっていた。


・HANA-BI 〜ソロアルバム「ENCORE」より〜
北野武監督映画作品『HANA-BI』の渋いメインメロディが会場に響いた。ベネチア映画祭でグランプリである金獅子賞を受賞した映画のメロディが静かに、でも力強く会場内に響く。特にこの曲での音の駆け上がりと駆け下がりが交差する場面は大きなパワーを感じた。渋みと、その名の通り花火が爆発するかのような一種の暴力性… メロディでつなぎ止められていた絆は、花火が散るとともに儚く散ってゆくのだろうか。

とにかく、ストーリーを感じさせるピアノの調べは心地よく、しかしかなりの衝撃をもって、目の前に繰り広げられた。

 

以上、4曲を弾き終えると、久石は再度、観客に向かって頭を下げ、ステージ袖へと下がっていった。コンサート前半が終了である。

休憩中、会場内を歩き回ってみたが、満員御礼の状態で、いろんな方がこのコンサートに足を運んでいるように感じた。タバコを吹かして休憩している男性陣などは、あまりこの手のコンサートには感心がなさそうに見えてしまうが、紛れもなくこのコンサートの観客なのだ。今回は、特に『千と千尋の神隠し』がアメリカ・アカデミー賞長編アニメーション部門のオスカーを受賞したこともあり、久石自身の知名度もますます上がり、これまで興味がなかった人々も、このコンサートに足を運んでくれたのだろうか。

 

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