コンサート後半戦Part.1 Quintet

    そんなこんなで、いつの間にか後半戦に突入します。休憩時間中に舞台上にはいろいろとセッティングが変わっており、クインテット形式の配置がなされていました。前方左からヴァイオリン、チェロ、クラリネット。後方中央にピアノ、右側にマリンバといったかたちです。

794BDH
    「Shoot The Violist」から、最近コンサートではお決まりのナンバーが流れてきました。やはりパンフレットにもあるように、疾走感のあるサウンドで観客たちを魅了し、クインテットならではの歯切れのよさが感じられました。やっぱり、この曲の最後、全員顔をあわせて、「せーのっ!」でラストの音を合わせる様子はカッコよかったです。

    「794BDH」が終わるとまたまた久石さんが話し始めました。
    「後半は、この間出した『Shoot The Violist』というアルバムからの曲です。このアルバムのタイトルはヴィオラ奏者を撃てという変わったタイトルを付けています。これは「ピアニストを撃て」という映画にかけているのですが、今回のアルバムのジャケットに『あなたは今、ピストルを持っている。そのピストルには2発の弾が込められていて、目の前にはヒットラーとフセインとヴィオラ奏者がいます。さてあなたは誰を撃てばいいでしょうか』というのが書かれています。その答えは……後で言います。いや、言わないでアルバムを買って頂いたほうが嬉しいのですが…(笑)。また、何故、ヴィオラ奏者を撃てというタイトルなのかというと… また後で言う事にします(笑)。」
    会場から笑い声が聞こえてきます。
    「このアルバムにはミニマルミュージックという、それぞれのパートが違うリズムを刻むうちに、別の音楽が表れてくるといった面白い形態のものです。『Shoot The Violist』より「MKWAJU」「LE MORE」。そしてコンサートでは初めてになります、『GRANADA』です。続けてお聴きください。」
会場からの拍手の中、久石さんは演奏の準備に入りました。

MKWAJU
    『Shoot The Violist』からの、前回から引き続きのナンバーになりました。最小単位のフレーズが幾重にも幾重にも折り重なって、また徐々に徐々にズレていって、そこに新たなメロディーが生み出される、そんなような曲です。知らない方にとっては「何だ、この曲?」という感じにとられてしまうでしょう。全然リズムが取れないですし。この曲、演奏する方にとっては非常に厳しい曲だと思います。他の楽器とリズムを合わせることが出来ず、楽譜を凝視して今、どの小節かを把握しながら演奏しなければならないタフな楽曲です。しかし皆さん、やはりプロ。そこをさらっとやり遂げてしまうのですから凄い。最後も綺麗に決まってました!

LE MORE
    こちらも『Shoot The Violist』からのナンバー。同じくミニマルミュージックです。マリンバからの静かな出だしから、だんだん他の楽器が折り重なってくる繰り返し音楽です。そういえば、プログラム(曲目)が変更になって、パンフレットに「Today's Program」という当日のプログラムが書かれた紙が挟まっていたのですが、「LE MORE」がダブって2回書かれていました(笑)。おそらく間違いに気付いてないのでしょうか? それにしてもこの曲はいわゆる久石メロディーを期待していたファンにとっては不意打ちでしょう。どうやっても、メロディーは出て来ません。何度も何度も同じフレーズの繰り返しですから。

GRANADA
    この曲は『地上の楽園』というアルバムからのナンバーです。さすがにこの曲をやるとは夢にも思っていなかったです。なぜ今、この曲をやるのかと思いましたが、曲自体は最高でした。「5・5・5・4・4」の変拍子に乗って、小気味良い"変な"リズムにコンサートのメンバー全員がノっているのが感じることができました。やはりこの曲も、『Shoot The Violist』に収録されている曲と同様に弦(ヴァイオリン、チェロ)中心のパワフルな曲でした。

    3曲を弾き終えると、久石さんはまた息を多少切らしながらも話し始めました。
    「先ほど、なぜヴィオラ奏者を撃てというタイトルなのかということを話しましたが、ヴァイオリンは高い音、チェロは低い音で目立ちますが、ヴィオラはヴァイオリンより(楽器の大きさが)少し大きくて、また5度低い音が出るくらいであまり目立ちません。今、彼が持ち替えた楽器がそうです。」
    と、ヴァイオリンの後藤さんが楽器をヴィオラに持ち替え、頭上に掲げています。
    「ヴィオラは和音の真ん中の音を担当しています。アンサンブルの通常の形態では第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとなっていますし、なかなか目立ちませんが、とても重要な楽器で、例えばオーケストラの場合はヴィオラがしっかりしていると素晴らしいものになります。他の楽器はもちろんのこと、ヴィオラの上手い人がたくさんいればいるほどオーケストラは素晴らしくなります。目立たないけれど、ヴィオラは非常に重要なんです。だからヴィオラにも目を向けようとしてこのようなアルバムのタイトルにしました。
    それでは、今度はこのヴィオラをフューチャーした曲をお送りします。『BROTHER』という曲です。北野武監督の新しい映画『BROTHER』のために作った曲です。もう映画は出来ているのですが、公開は来年の1月中旬あたりになると思います。それでは、『BROTHER』をお聴き下さい。」

    ひと通り話した後、注目曲である『BROTHER』の演奏が始まりました。

BROTHER
    久石さんの説明にもあったように、北野武監督の映画最新作よりメインテーマの曲なんですが、あまり覚えていません(汗)。ちょっと日本的な「兄弟」というものを意識したせいか、ちょっとメロディーに演歌調が入っていたという記憶が少しあるのですが、はっきり覚えていません。サントラの発売を待つしかないようです。

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