あとがき ドラゴンクエストコンサート堪能して…


    ということで、今回のドラゴンクエストコンサートの模様は以上でした。それにしても今回のコンサートで思ったことですが、すぎやまさんの楽曲は基本的にメロディーはそれほど難しくないというか、シンプルなものなんです。会場で配られていたパンフレットを見てもらうと、その中に『王宮のホルン』の楽譜が載っているのですが、そんなに難しいものではないんです。けれども、なぜかそのシンプルなメロディーの中に深みがあるんです。シロートの僕としては、単に音を重ねていけば音楽に深みが出るものだとばかり思っていたのですが、それは違うんだと改めて認識できました。やっぱり頭の中でいろんなイメージを浮かべて、それにピッタリ合うような音楽を構成していくといった作業を行われているんでしょうね。今は無理ですけど、こんな曲がいつか自分で作れればいいなぁ、なんてふと思いました。

    また、レポートのはじめの方でもちょっと書きましたが、すぎやまさんの指揮についてですけど、体の中心から右上に振り上げるといった、悪い言い方をするとちょっと雑な指揮だったのですが、もともとは指揮者ではないですし、音大卒でもないですし(その代わり東大卒ですが…(笑))、また雑だから演奏は良くないかと言えばそんなことはないし、指揮が下手なわけでもないはずです。ふと僕は指揮者には二種類あるのではないだろうかと思いました。まずは指揮台に立って、体中のアクションで自分の思いの丈を伝える指揮者。もうひとつはリハーサルでいろんな説明をして、実際の演奏となったら、リハーサルでの説明が伝わっているだろうと考えて、さほどオーバーアクションをしない指揮者。すぎやまさんは明らかに後者だと思います。これまで僕は、指揮者をお二方(指揮が本職のキム・ホンジェさんと、作曲家の久石さん(笑))を見ていたんですが、どちらの方もやはり前者の大きなアクションでオーケストラを引っ張るタイプだったので、すぎやまさんの指揮を初めて観て、「あ、こういう指揮もあるのか…」と気付かされました。やっぱりいろいろと演奏者の方とコミュニケーションを図るのは重要なことなのでしょうね。

    そしてもうひとつ。ゲームをする前にオーケストラで曲を聴きたくないと言われた方がちらほらいました。また言わなくても、心の中ではそう思っていた方も少なからずいらっしゃったと思います。ゲームとオーケストラで、アレンジが違うかどうかというのは分からないんですが、たとえ同じアレンジだったとしても、オーケストラという「生の音」と、ゲーム機の音源という「機械音」ではニュアンスがまるで違ったりしてきます。せっかくの生オーケストラを聴く機会、これを逃してはいけません。パンフレットにそっと、「音楽は心の貯金です」と書かれてあるんですが、その辺のオーケストラのニュアンスを楽しんだり、生の演奏に触れて欲しいといったすぎやまさんの思いが感じられます。このレポートをご覧になった皆さんには、今後、オーケストラの演奏と、ゲームとを分けて楽しんでいただければなぁと思っています。

    最後にひとつ、言うのを忘れていました。今回、演奏された神奈川フィルハーモニー管弦楽団は、「ドラゴンクエスト伝説」という、バレエ・ドラゴンクエストで使われた楽曲が入ったCDで演奏を担当しています。個人的にはこの「ドラゴンクエスト伝説」での神奈川フィルが演奏したものが一番のお気に入りです。確かにロンドンフィルハーモニー管弦楽団も素晴らしいんですが、この中で披露されている『序曲のマーチ』が非常にパワフルで、かつメリハリのつき、パワーのあるところは限りなく強い演奏をされていて、そういうものが僕の好みの演奏なので一番のお気に入りなのかも知れません。ちなみに、ドラゴンクエストV−天空の花嫁−が発売され、当時出された『交響組曲ドラゴンクエストV』ではN○K交響楽団が演奏をされているんですが、「序曲」の最初のファンファーレがどうも機械的であまり好きになれなかったのが引っかかっていたんです。せっかくの「生演奏」なのに、"機械的"にやってはあまり趣が無いですよね〜 同じ楽器でも弾く人によって微妙にニュアンスが変わるからこそ、音楽に深みが出るってものです。Vの場合はたまたま音が綺麗に揃ってしまいすぎたんでしょうが、今、交響組曲ドラゴンクエストを担当している、ロンドンフィルと神奈川フィルの方々はそれぞれ楽曲について、研究して自分の中にその曲のニュアンスを作り出しているのでしょう。だからすぎやまさんの楽曲では、同じ楽器でもそれぞれの音色が主張し、絡み合い、深みを与えているのでしょうね。

    長くなりましたが、お楽しみいただけたでしょうか? 非常に長い上、読みづらいところが多々あると思いますし、ちょっと良く分からない部分もあり、本当に雑なレポートで恐縮です。とりあえず変なところを見つけ次第、直していこうと思いますが、何せ時間がないため、急いでレポートを仕上げました。こんなレポートでも読んでいただけると嬉しいです。良ければsho@net.forum.ne.jpまで、ご感想、ご質問等をいただければと思っております。なお、念のために言っておきますが、コンサート会場にはテープレコーダー等を持ち込むなど、不正などはしておりませんので… だから覚えていなくて、虫食いのようなレポートなんですけどもね。というより、ちょっと曲数が多すぎて何がなんだか分からなかったというのが本音なんですが…

    そういうことで、この"Be"シリーズ特別篇を読んでいただき、本当にありがとうございました。今後ともこのシリーズをよろしくお願いいたします!


執筆者 ショー

初校 2000/08/26 00:30 書き上げ
第二校 2000/08/26 09:10 修正・加筆
第三校 2000/08/27 21:37 修正・加筆・写真挿入
第四校 2000/09/02 16:30 修正・若干加筆

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