コンサート後半その3(久石さんピアノ・アンコール編)

    ということで、話が終わり、「Sonatine(作曲・編曲 久石譲)」が始まりました。やっぱり何度聞いてもパワフルな曲です。簡単なメロディーであるのに、それが複雑に絡み合いながらも抑揚のついた非常にいい曲でした。ただ、今までCD化されているものとはちょっとピアノのメロディーが変わっていたようです。といっても微妙にですけどね。演奏が終わった後、久石さんは椅子に座りながら、客席に向かって一礼をしました。

Sonatine(ソナチネ) 北野武監督作品「Sonatine」のメインテーマです。同じメロディーをいろんな形で繰り返され、非常にパワフルな曲です。

    続けて「HANA-BI(作曲・編曲 久石譲)」です。非常に気持ちの入ったピアノを見せてくれる久石さん。最初の出だしから自分の世界に入り、頭を上下に揺らし力と感情を込めながら、ピアノを打楽器のように扱う。ホント、ファンにはたまらないアクションですね。ただ、この曲で弾き違いがちょっとありました。かなりハッキリとメロディーのズレを感じたんですが、これまで全然弾き違いはほとんどなかったのでちょっと気になりました。でも、パワフルな演奏も無事に終わって、もちろん会場から非常に大きな拍手が送られました。久石さん、また椅子に座りながら客席に頭を下げたあと、椅子の高さを調節して、プログラムでは最後である次の曲に入っていきました。

HANA-BI これもご存知、北野武監督作品「HANA-BI」のメインテーマです。ヴェネチア映画祭グランプリを取ったことで非常に有名な作品です。フランスでは非常に評価が高く、久石氏の音楽も有名です。フランスの記者の方には「(氏の)音楽はフランスの情景を表している」と評されたりしています。

    「Madness(作曲・編曲 久石譲)」です。この曲の最初、「ジャン!!」といきなり一斉に入るため、その部分が難しいと思うんですが、やっぱりプロですね。東京シティ・フィルも久石さんのピアノも寸分たがわぬ音をはじき出し、綺麗に合った音色を醸し出していました。この曲でもそうだったんですが、今回の久石さん、スタッカート(音を短く切ること)の部分を弾いた後、ピアノから思い切り手を引くというアクションがかなり多く、非常に目立っています。何か熱いものを触って、反射的に手を引っ込めているという表現がかなり合っているような感じです。またそれと共に、この曲に関してはかなり強くピアノのペダルを踏みつけていました。これは車を急ブレーキでとめる時に思い切りブレーキペダルを踏むような感じという表現が合いますね。これを目の前で見ていたので、「ピアノが壊れるのではないか」というものを身体中で感じました。ホントに何度も言うようですがパワフルでした。すごかったです。もちろん、曲が終わると会場全体からものすごい拍手のあらしが起こりました。プログラムの最後の曲と言うこともあるんですが、久石さん、指揮の金さん、そして東京シティ・フィルに向けられた拍手は全然鳴り止みません。一度は客席に向かい頭を下げ、舞台袖に下がった久石さんと金さんですが、三度、舞台袖と舞台中央を行き来して、私たちに向かって何度も深々と頭を下げられました。

    それでもなかなか拍手は鳴り止まず、やがて拍手が、アンコールを望む手叩きへと変わってきました。そうすると舞台袖から、久石さん、藤原真理さん、本田美奈子さん、そして指揮の金洪才さんがやってきました。もちろん、盛大な拍手が送られます。藤原真理さんは衣装替えをしており、最初は緑のドレスだったのが、今度は黒のカジュアルな服で登場されました。さあ、アンコールです。舞台ではピアノの両脇に椅子が備え付けられ、準備万端整いました。アンコールは、もちろん忘れていけないこの曲です。「Asian Dream Song(作曲・編曲 久石譲)」です。出だしは久石さんのピアノソロから入るという、ちょっと静かな感じでした。そうするとやがて、藤原さんのチェロと久石さんのピアノのデュオの部分がありました。そうするとまたまた久石さんのソロ部分がやってきました。今回、藤原真理さんと本田美奈子さんがいらっしゃるということで、ずい分アレンジが施されていました。途中、久石さんが手を休める場面があったのですが、どうも先ほどから椅子の高さが合わないらしく、曲中にあわただしく椅子の高さを調整していました。そうこうしているうちに、本田美奈子さんの歌が入ってきました。ところが… どうも歌詞をちょっとだけ間違われていたようです。歌詞の中盤、「旅立ちの勇気 地平線の光と分かち合うこの時 微笑みながら ふりむかずに」という場面を「旅立ちの勇気 地平線の光と…」と歌われていました。でも、この時点ではもう、そんなもの全く関係なしです。それほど素晴らしいかったのです。本田さんは、とりあえず歌詞の1番を歌われ、後は「ラー…」という感じでメロディーを声で表していました。本当に本田さんの声はマイクなしでも響きますね。そして、最後はやはりピアノとチェロで曲がしめられました。大迫力の演奏でした。もちろん、演奏が終わった後は盛大な拍手が起こったことは想像に難くないと思います。今度も全然拍手が鳴り止みません。皆さん、客席に向かって一礼したあと、一度は舞台袖に戻ったものの、もう一度舞台に戻ってきて、また私たちに向かって深々と頭を下げられました。その時、本田さんのファンと見られる方々が本田美奈子さんに花束を渡されました。4人ほどの方から受け取った花束を抱え、また頭を下げられる本田さん。またまた皆さんで頭を下げられて、舞台袖に戻ってもぜんぜん拍手は止みません。また皆さん出て来られます。何度も久石さんたちは頭を下げられ、チャリティーコンサートは終焉を迎えました。今回のパフォーマンスは本当に素晴らしいものだったと思います。皆さん、このチャリティーコンサートを楽しまれたと思います。おそらく、「チャリティー」という意識なしで楽しまれたのではないでしょうか。久石さんも特にチャリティーだからといって特別な意識を持たずに今回のコンサートに望んだのだと思います。それがすべて今回のコンサートで出し尽くされたと思います。本当に素晴らしかった、今回コンサートに来られた方にとってそれ以外の言葉は不要だったでしょう。また、会場から出て行くとき、ニュースでも取り上げられていた、事件で被害に遭われ、今でも車椅子で生活されている女性の方をお見受けしたのですが、その方も笑いながら知り合いの方と話をされているのを見て、心なしかホッとしました。

コンサートが終わった後の舞台の様子

Asian Dream Song(エイジアン・ドリーム・ソング) これは久石氏が1998年の長野パラリンピックのプロデュースをされた際、テーマ曲として作られた「旅立ちの時 Asian Dream Song」です。また日本テレビの24時間テレビでも障害者の方がこの曲を演奏され大絶賛されました。

 

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