Concert X.T.C.(前半)

    この日、新潟は曇り空。天気予報だと雨が降る予報だったんですが、開場時はまだ降っていませんでした。新潟県中越地震の影響で、客足が鈍いのではないかという心配もありましたけど、会場前には入り口には長蛇の列ができていました。今回はAIGエジソン生命が協賛ということで、生命保険に入会している人たちへの客席などもあったようですね。

新潟市民芸術文化会館(略称:「りゅーとぴあ」)は緑に囲まれた円形の建物です。地震の影響も全然感じられませんでした。 建物の中も綺麗なフロアが続いており、ホール内は完全なアリーナ形式でステージを客席が包む感じになってます。ステージと観客の距離感が非常に近いホールです。


    いつものようにホワイエにはCD販売コーナーとパンフレット販売コーナーが設置されていました。久石さんのアルバムや、共演するアンジェル・デュボー&ラ・ピエタのアルバムも置かれてありました。パンフレットは例年どおり1500円で販売されていて、さっそく購入して曲目の確認などをしておきました。それと、そのとなりには新潟県中越地震の被災者の方々への募金箱が設置されていました。

    いよいよ開演時間となり、そろそろ…と思っていたんですが、今回は開演するのにずいぶんと時間がかかりました。観客のホール内への入場が思いの外、時間がかかっていたためです。これも地震の影響なのでしょうか。そんななか、ステージ袖の奥の方から、楽器の音色が聞こえてきていました。奥で本番直前の練習をしていたんでしょうね。ひと通り落ち着いたあと、15分遅れで開演となりました。

    最初にアンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんが入場。綺麗な女性の方たちが勢揃いと言ったところ。彼女たちの迎える拍手のなか、久石さんが入場。拍手がより強くなる。

1920〜Madness
    まず、久石さんのピアノとチェロの女性がタイミングを取って、演奏を開始。ソロアルバム「My Lost City」から、弦楽合奏とパーカッション用にアレンジ。違和感なく聴けました。通常だと「1920〜AGE OF ILLUSION」なんでしょうけど、今回は「MADNESS」が挿入。コンサートバージョンといった感じですね。力強いアクションとともに「1920」に続けて演奏されていました。ただ、いつもだと「Madness」はコンサート最後の曲か、アンコールの時に演奏されるのが多かったので、ちょっと虚をつかれました(苦笑)。

Two of Us
    プログラムには「Drifting in the City」が曲目として掲載されていたんですが、そちらは演奏されず、「Two of Us」が演奏されました。ちょっと気になったのが、前の曲が終わった後に、入場できなかった観客が席に着こうと動いていたんですが、席に着く前に演奏が始まってしまい、僕としては曲に集中できない時間帯が続きました。久石さんも気にされながら演奏されていたんじゃないかなと思います。演奏自体はこれもチェロとピアノの掛け合いから始まり、途中からヴァイオリンのソロもありました。チェロ、ヴァイオリンともども、のびのびとした音色を響かせてくれましたよ。

Tango X.T.C.
    この曲は大きくアレンジが変わっていました。出だしがティンパニとピアノの組み合わせで、ピアノの伴奏がよりおおらかになったような感じ。一瞬すると、あまりタンゴには感じられなかったりします。でもタンゴなんですよね。

    この曲中、会場から突如、携帯電話(というよりポケベルに近い電子音)がなりました。すると直後、久石さんの気持ちが切れてしまったのか、中盤のピアノの流れるような場面の演奏がヘロヘロになってしまい、その瞬間はもう、演奏が止まってしまうのではないだろうかといった感じでした(弾き違いではなくて、頭から楽譜がすっ飛んでしまったような感じ)。さすがに集中力を切らしてしまったんでしょうね。でも、そんな状況になりながらも演奏を止めずに、何とか最後まで演奏しきってくれました。ファンとしてはひと安心というところ。

    Tango X.T.C.の終わった後、久石さんのMCがありました。

    「コンバンハ…ん?」

    マイクがオンになっていなかったようで、久石さんがマイクをいじくり回しており、その姿に会場から笑いが起こりました。

    「コンバンハ、久石譲です」

    改めて挨拶をしなおすと会場から大きな拍手が起こりました。その後、新潟県中越地震が起こって大変な時期にコンサートをやって良いものか悩んだけれど、インターネットのメールや掲示板などで、「ぜひやって欲しい」という話をもらったのでやろうと決めたいう話をされてました。

    その後、共演をしているアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの話に移りました。なんともハワイに行っていたときにたまたまケーブルテレビで見かけたとのこと。東京に戻ったあとに調べて連絡を取ったそうです。にしてもみんな女性でひとりハーレム状態だ、なんて話をされてましたね(笑)。

    また、彼女たちは、カナダを中心に活動している弦楽合奏団で、向こうではかなり有名だということで、CDなどもかなり売れているなんて話をされていました。そんな弦楽合奏団に何を弾いてもらおうかってことで、久石さん自身が監督された「Quartet」から、テーマ曲の「Quartet」を弾いてもらいますということをおっしゃい、舞台袖に下がって、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんのステージとなりました。


Quartet
    最初はやはりカルテットでの演奏です。元々の「Quartet G-moll」の感じを変えずに発展させたような曲だったように思います。演奏中、楽しそうに演奏されている方もいて、聴いていてこちらも楽しくなりました。そうそう、演奏中は照明が赤く彩られていて、幻想的なイメージを与えてくれました。それと、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタのみなさんの服装なんですが、黒を基調に赤のスカーフみたいなものを着用されていました。ユニフォームみたいな感じなのかな、黒に赤ってのは。

    アンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんは演奏を終え、観客に向かって一礼をしたあと、サッと舞台袖に戻っていきました。それに入れ替わりで入場してくる久石さんと、パーカッションの安江さん。スタンバイされたときにはホール内は静寂と暗闇に包まれ、久石さんと安江さんに小さなスポットライトが注がれていました。


夢の星空
   
最初の出だしのタイミングを合わせて久石さんのピアノの音色と、パーカッションの安江さんが奏でるハイハットシンバルをわずかに響かせる音色が合わさり、静かな音を会場内に広げさせて曲が始まりました。ホール内のパイプオルガンや天井などに星をちりばめたような照明が施され、その中に三日月も浮かび出されており、幻想的な雰囲気を醸し出していました。ピアノのメロディも、何度も繰り返しちゃいますが、静かで綺麗でした。個人的に「ETUDE」の中では一番好きな曲です。


    演奏が終わった後、再びアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんが入場し、次の曲が演奏され始めました。


Silence
    コンサートパンフレットには「ETUDE 2004」と題されてアルバム「ETUDE」からの選曲がされており、前の曲の「夢の星空」と合わせて3曲、ラインナップされています。でも編成の異なるSilenceも良い感じでした。

a Wish to the Moon
    前半の締めは、キリン一番搾りのCMで使用された曲で。ピアノ、弦楽合奏そしてパーカッション。良い感じです。パーカッションの安江さんが右に左に動きながら(楽器がいくつもあるので、左右に動いて楽器の間を移動しなければならないのです)、ノリの良いリズムを打ってくれてました。そして、恒例となった口笛での演奏もあって、曲後半のメインメロディをアンジェル・デュボー&ラ・ピエタの皆さんがバイオリンなどの弦楽器を演奏しながら口笛を吹くという芸当をされていましたよ。


    a Wish to the Moonが演奏されたあと、大きな拍手が起こり、大盛り上がりの前半が終了しました。ずいぶんと長い間、拍手が続いてたように思います。去年のコンサートでは鳴りやまなくて、もう一度久石さんが出てきちゃったくらい(笑)。ちょっと記憶が無くなりかけているので間違っているかも知れませんが、確か今回も拍手が鳴りやまずに、アンジェル・デュボーさんと久石さんが「どうしよう」っていう顔つきだったような記憶もあります。

    そんなこんなで休憩に入ります。15分間でしたか、開場でご一緒させていただいた雪のiwanaさんとおかぽんさんとでいろいろ話していたらすぐに時間が過ぎてしまいました。さっそく後半開演となります。

 

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