第四節 コピーライトの表記
最近全く、宮崎監督関連の情報をアップしていなかったので、久しぶりに書いてみようと思います。
このネタについては、案外知らない方がいらっしゃるみたいなのですが…(C)の脇に書かれているローマ字の羅列って何ですか?
と、疑問に思われていらっしゃる方がいるんじゃないでしょうか。僕も最初は何だろうと気になってはいました。で、ふと、「ああ、そういうことか!」と気づいたわけですが… わかりやすいようにその部分を一覧にしてみようと思います。
年 | 作品名 | 監督 | コピーライト |
1991 | おもひでぽろぽろ | 高畑勲 | (C)岡本蛍・刀根夕子・TNHG / 1991 |
1992 | 紅の豚 | 宮崎駿 | (C)二馬力・TNNG / 1992 |
1993 | 海がきこえる | 望月智充 | (C)氷室冴子・TNG /1993 |
1994 | 平成狸合戦ぽんぽこ | 高畑勲 | (C)畑事務所・TNHG /1994 |
1995 | 耳をすませば | 近藤喜文 | (C)1995 柊あおい/集英社・二馬力・TNHG |
1997 | もののけ姫 | 宮崎駿 | (C)1997 二馬力・TNDG |
1999 | ホーホケキョとなりの山田くん | 高畑勲 | (C)1999 いしいひさいち・畑事務所・TGNHB |
2001 | 千と千尋の神隠し | 宮崎駿 | (C)2001 二馬力・TGNDDTM |
2002 | 猫の恩返し | 森田宏幸 | (C)2002 猫乃手堂・TGNDHMT |
太文字の部分、気になった方もいらっしゃると思います。そうそう、ちなみに「二馬力」は宮崎監督の著作権等の管理会社、「畑事務所」は僕も知らないんですが、おそらく高畑監督の著作権等管理会社だと思います。そうそう、残念ですけど高畑監督は、ジブリから独立されたという情報が入ってきました。詳細などはよく分からないのですが、もしかすると「ホーホケキョとなりの山田くん」の興行不振と関係があるのでしょうか。
肝心のローマ字なんですが、勘の良い方はすでにお気づきだと思いますが、これは作品の制作に携わっている会社名の頭文字をとったものを並べているんですよ。
作品名 | コピーライト | 制作提携 |
おもひでぽろぽろ | TNHG | 徳間書店・日本テレビ・博報堂・スタジオジブリ |
紅の豚 | TNNG | 徳間書店・日本航空・日本テレビ・スタジオジブリ |
海がきこえる | TNG | 徳間書店・日本テレビ・スタジオジブリ |
平成狸合戦ぽんぽこ | TNHG | 徳間書店・日本テレビ・博報堂・スタジオジブリ |
耳をすませば | TNHG | 徳間書店・日本テレビ・博報堂・スタジオジブリ |
もののけ姫 | TNDG | 徳間書店・日本テレビ・電通・スタジオジブリ |
ホーホケキョとなりの山田くん | TGNHB | 徳間書店・スタジオジブリ・日本テレビ・博報堂・ブエナビスタホームエンターテイメント |
千と千尋の神隠し | TGNDDTM | 徳間書店・スタジオジブリ・日本テレビ・ディズニー・電通・東北新社・三菱商事 |
猫の恩返し | TGNDHMT | 徳間書店・スタジオジブリ・日本テレビ・ディズニー・博報堂・三菱商事・東宝 |
※ 参考 矢藤雅之ホームページより
このアルファベットの順番についての意味はよく分からないですが、おそらく作品に対しての出資額の高さからの順列ではないかと思います。途中からスタジオジブリの順が上がっていますが、これについては当初スタジオジブリは徳間書店の子会社で、組織的に別なものだったが、もののけ姫の前後にジブリが社内カンパニーとして徳間書店に吸収合併されたため、徳間書店と扱いが同じようになったのだと思います。ただ、ジブリがひとつの会社として存在しなくなったのに、今までと同じようにアルファベットを表記しているのは多少謎ですが、おそらくこれまでの名残なのではないでしょうか。ジブリ自体は徳間書店とは別に行動しているわけですし、また「社内カンパニー」としてわざわざ徳間書店も別組織と扱っていますから(まあ、合併自体は徳間書店の財務状況を何とかしなくてはならない状況で、好調のジブリを吸収することによって会社としての価値を高めたいという意図があったのだろうと思いますが…)。
そして、この提携の会社を見ていくと、なかなか面白いことが見えてきたりしますね。日本最大手の広告会社電通が「もののけ姫」から制作に入ってきたのですが、その後、一貫して宮崎駿監督作品にしか提携に手を出してきません。それ以外の場合は、博報堂という広告会社が手がけていますね。ちなみに博報堂には宮崎駿監督のお兄さんがいらっしゃったそうで、そのことからスタジオジブリの序盤の提携先に博報堂は常に出てきていました。
また、「ホーホケキョとなりの山田くん」からディズニーが提携に入ってきましたけど、最初はブエナビスタ(ディズニーのソフト事業会社)での提携だったようですけど、「千と千尋」で直接の提携という形になったようです。でも各作品のスタッフロールを見ても、何をやっているのかよく分かりません。出資のみなのでしょうか。また、途中から東北新社、三菱商事が入ってきました。東北新社、三菱商事などは徳間書店や日本テレビとゲーム会社を立ち上げたのですが、その後の話は全く入っていません。
それと、最新作「猫の恩返し」で気づくことは、ここで初めて映画配給会社東宝が提携に名乗り出たということです。本来であれば、映画配給会社は上がってきた作品に対して配給をしてやる、といったような直接映画制作には現在はタッチしないところなんですが、そこが提携に乗るということは、スタジオジブリ作品が東宝の重要なファクターになっているということを示しているのではないだろうかと考えることができますよね。にしても、ローマ字の羅列だけでこんなに面白いことが分かるんですね〜