Princess Mononoke 英語版歌詞

    Airaさんのホームページ「くろねこ亭」で、全米公開のもののけ姫情報が見れるんですが、いやあ、その情報量がすごい。あれでも、まだまだ他に書きたいことがあるそうで、もう頭が下がります。それにしても、海外まで行って、宮崎さんを追いかけてくるとは(と言っても、それだけの理由で海外に行ったわけではないのでしょうが)、ものすごいです。一体、どんな職業についているのでしょうか、Airaさんは。

    で、そのホームページで英語版「もののけ姫」のテーマソングがダウンロードできます。リアルプレーヤーがないと聞けませんが、非常にSasha Lazardという歌手の歌声が澄んでいて、非常にきれいでした。と、非常に気に入ってしまったので、英語版歌詞を英語検定準2級の僕が分析(笑)をしてみようと思います。ひどい英語力なんですが、楽しんでいただければと思っています。

    で、とりあえず、英語版の歌詞を書いてみます。これはAiraさんの「くろねこ亭」からの引用です。

Princess Mononoke Theme

In the moonlight I felt your heart 
quiver like a bow-string's pulse 
In the moon's pale light 
you looked at me 
Nobody knows your heart 

When the sun is gone 
I see you beautiful and haunting, 
but cold 
Like the blade of a knife so sharp, 
so sweet 
Nobody knows your heart 

All of your sorrow, grief and pain
locked away in the forests of the night 
Your secret heart belongs to the world 
of the things that sigh in the dark, 
of the things that cry in the dark

    で、今度は僕が上の英語歌詞を翻訳し、詩風にしてみました。

もののけ姫主題歌

月の光が当たる中、弓のように震えている
おまえの心を感じた
月の淡い光の中で、おまえは私を見たけれど
おまえは何を思っているか、どうしてもわからない

日が沈み、おまえを見ていた
おまえは目に焼きつくほどに美しいが、
どこか物悲しい表情(かお)をしていた
剣(つるぎ)のとても鋭く、またとても惹かれるような
そのさまに良く似ていた
でも誰もおまえのまことの心はわからない

おまえの悲しみや苦しみ、痛みのすべてを
夜の森の中に閉じ込めているのか
おまえの秘めた心は
闇の中でため息し、
涙する存在の最中(さなか)にいるのか

    こういう詩のような英語は訳すのって難しいんですよね。韻を踏むため、文法どおりの文章の形式をとらないし。で、僕の説明をとりあえず書いておきますので、間違い探しでもしてみてください。絶対に間違いが出てきますので(汗)。使っていない頭を使ってみるのも、たまには良いことだと思うので、気軽に英語に触れてみましょう。って僕は英語はほとんどしゃべれません…

    まず、最初の部分は、ちょっと音楽にのせる歌詞なので、「In the moonlight」が先に来ていますが、ちゃんとした文章にするなら I felt your quiver heart like a bow-string's pulse in the moonlight. となると思います。「quiver」というのは「震える(形容詞)」という意味で、直訳しちゃえば「私は弓の波動のように震えるあなたの心を月の光の中で感じた。」となります。でも「波動(pulse)」っていうのは普段使わないし、quiverと意味的にダブるため、とりあえず「弓のように震えているおまえの心」としました。

    で、その後の部分もちゃんと直すと、 You looked at me in the moon's pale light.  Nobody knows your heart. と2文に分かれるはずです。「あなたは月の淡い光の中で私を見た。誰もあなたの心を知らない。」という意味になりますが、これでは単なる翻訳ソフトが訳したような文章になってしまいます。共通として月の光の中で、私( I )が相手の心を感じて、相手(you)は私(me)を見つめているけれど、私は相手の本当の心はわからない、そういう意味を端的に伝える文章にしなければならない。そう考えると、 Nobody knows your heart が2回出てくるんですが、同じ意味ながらも、場面によってその訳し方を変えながら違う文章にしなければならないと思います。ということで、苦し紛れに「何を思っているのかどうしても分からない」と「まことのこころは分からない」と使い分けてしまいました。ま、ここが日本版の「張りつめた弓の振るえる弦よ 月の光にざわめくおまえの心」の雰囲気を伝える部分だと思います。それにしても、英語歌詞は、歌詞といえど、わりと具体的な状況を伝えていますね。

    そのあと段落を直してみます。 When the sun is gone, I see you who is beautiful and haunting, but cold like so sharp and sweet blade of a knife. となるかなあ(笑)。「the sun is gone」って「be動詞+過去分詞」って過去完了ですね、多分。「太陽が沈みきった」ということでいいと思います。ま、これも文章全体を訳してみると「太陽が沈んだとき、私は、美しく、心に良く浮かぶようで、でも鋭く甘いナイフの刃のような冷たさをもったあなたを見ている」となります。「研ぎすまされた刃の美しい、そのきっさきに良く似たそなたの横顔」の部分となるんですが、非常にうまい当て方をしていると思います。得てして、英語はどこで文章を切るかを迷うときもあるんですが、大体、主語と動詞、目的語が分かれば(いわゆるSVOのこと)、なんとなく分かってくると思います。でも上の直訳と、詩風の訳を較べると突拍子もないほど違うんじゃないかと思われますが、まず、「haunting」は「絶えず思い出が浮かぶ、容易に忘れられない」といった意味なので、「目に焼きつく」という言葉で言い換えたんですが、本来なら「おまえは美しく、また目に焼きつく人だ」ってのもおかしいので「目に焼きつくほど」と形容詞として「beautiful」にかけてしまいました。それと「sweet」のこと。これは「sweet」の単語自身が持っている、妖しさ、甘美さが「惹かれる」という言葉に置き換えられるだろうと判断して、訳しました。また、「like so sharp and sweet blade of a knife」の部分は、ちょっと迷いましたけどおそらく「cold」にかかってくるものだろうと思います。もしかすると「beautiful and haunting, but cold」という形容詞全体にかかるのかなと思っていたのですが、この辺は受け取りようによって変わってくるのかも知れないですね。

    で、最後の難関の部分も書き出してみます。 You locked away all of your sorrow, grief and pain in the forests of the night.  Your secret heart belongs to the world of the things that sigh and cry in the dark. という感じの2文でしょうか。訳すと「あなたは、あなたの全ての悲しみや苦悩、痛みを夜の森の中に閉じ込めている。あなたの秘密の心は闇の中でため息をついたり、泣いたりするもの達の世界に所属している」…あれ、最初は自分でもどう解釈していいか分からなかったのに、ひとつずつやっていったら、分かっちゃいました。ここの場面での「things」っていうのは、これって「もの」という意味だけではなくて、「やつら」とか「存在するもの」とかいろんな意味に使え、この場合は、オリジナルの「悲しみと怒りに潜む、真の心を知るは森の精、もののけ達だけ」の「森の精、もののけ達だけ」が「things」にあたるでしょう。そう森の闇の中でため息をついたり、泣いていたりするのはもののけ達ですからね。だから、「あなたの秘密の心は、森の精たちのところにあるのか」といえると思います。

    また、最初の文の「You locked away.....」で、「You」を勝手に付けているんですが、これは歌詞とかの場合などは、韻を踏むために省略せざろうえなかったりするので、省略してあるのだと思います。それでなければ All of your sorrow, grief and pain are locked away in the forests of the night. と受動態(受け身)にしなければいけません。英語歌詞だけを見ると、主語がないですからね。強引にそのまま訳すと「全てのあなたの悲しみや痛みが閉じ込める」と変なことになっちゃいます。「悲しみ」とかが何かを動作するということは絶対にないので、おかしいということはすぐに分かります。なので、主語が隠されているのだなと考えるのが妥当です。

    また、僕の訳詞は「〜なのか」と疑問形を取っています。これは、全部直訳をつなげてもらうと分かると思いますが、全部、普通の肯定文なんです。でも、実際に歌ってみると、肯定的な部分ばかりではなく、否定的な部分もあったり、疑問的な部分も出てくると思うんです。それは歌い手、聞き手しだいです。僕自身とすれば、私( I )は、相手に向かってしゃべっているのですから、私が相手に対して問い掛けている、と意味を取るのが普通ではないかと思い、問い掛けるような疑問形の訳詞をしてみました。

    ということで、英語のレクチャーをしてしまいましたが、絶対に何かおかしいところか、抜けているところがあるので、それを間違い探しのように調べてみるのも面白いかもしれません。あなたの英語力にチャレンジ!! (といっても、何度も言うようですが私は英検準2級…)

更新2000.12.05

 

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