コンサート前半戦Part.1 Pf Solo

    小雨がパラパラと降っている中、舞台は東京・オペラシティ。「たまには雨の日のコンサートも良いかな…」などとうそぶきつつ、オフ会で集った皆さんとともに、手には花束を持ちながら徒歩でその目的会場へ向いました。近くには東京都庁など、高いビルディングがそびえ立っており、さすが首都という感じがします。と、徐々にオペラシティが見えてきました。すでにオペラシティに到着した時には開場しており、多くの客がなだれ込むような感じでオペラシティの内部に入っていました。僕たちもその流れに溶け込むような感じで、オペラシティに入場しました。ロビーではお決まりの久石さんのCDの販売や、今回のツアーパンフレット(1,500円)と前回のツアー(1999年秋のEnsemble Night with Balanescu Quartet)でも販売されたJoe Hisaishiタオル(これも1,500円)が売られていました。このタオル、仲間内では「去年の売れ残りではないか?」という冗談を話していたんですが、実際は如何に?

    実際にオペラシティの内部に入ってみた感想ですが、思ったほど広くは無かったです。でも非常にきれいな建物で、いかにも音の反響がよさそうだなあといった感じでした。また会場を見上げると二階席があり、久石さんを上から眺めることができる舞台後ろの二階席があるなど、非常に面白いところもありました。上から鍵盤を弾く久石さんの手や、楽譜の譜面、またまた久石さんの頭(…失礼!)なども見ることができるようです。

    また、見渡してみるとふと2台のテレビカメラが目に映りました。記録用にしては大きいものだったので何なのかなと思ってましたが、後々、分かりました。それはまあ、後ほど伝えることとします。ただ、そんなに広くなかったとはいえ、客の入りは凄い。仙台公演の時は半分はスカスカだったという話だったので、東京はどうかなという一抹の不安があったんですが、そんなの必要もありませんでした(笑)。ただ、花束を贈ろうとしている男(以降、「花束野郎」と表記します!)にとってはかなり辛いものがありますが…(汗)

開演
    定刻より若干遅めに開演のチャイム及び放送が入りました。観客はなかなか落ち着けない状況で、ザワザワと話し声が続いている。本当に落ち着かない…

Joe Hisaishi 登場!
    開演の知らせからずい分時間が経ってから、やっと徐々にですが照明が落ちてきました。それまで落ち着かずざわついていた会場内にだんだん静けさが伝わってくるのを感じました。物音がしない時間。これこそコンサートの始まる瞬間…

    舞台左手の閉じられていた入退場口が開き、拍手とともに久石さんが登場された。黒いジャケットスーツ(というのだろうか?)に真っ白のワイシャツというくっきりした出で立ち。正面を向いて深々と一礼をされるとスッとピアノの前に。観客も久石さんも、何か普通の生活とはかけ離れた空間に置かれ、緊張と興奮とがいろいろ交じり合った時間を1秒1秒過ごしているという感覚。その間、久石さんはピアノの前で数秒ほどジッと楽譜あるいは、ピアノの鍵盤を見据えていました。そうすると、ハンカチをとって手を拭き、また額をぬぐうなど自身を落ち着かせるためのまじないのような動作をし、また今回は両手をぶるぶると振ったり、手をグーパーと握ったり開いたりの繰り返しをするなどの準備動作、あるいはそうではなくて、手の調子があまり優れないからやっているのか分かりませんが、そういった動作をしきりにされていました。一連の動作が終わったあと、曲に入るタイミングを計っているかのように、両手を中に浮かせたまま、ちょっと止まっている状態が続く。久石さんの気持ちが決まるまで、会場は静寂につつまれ、最初の音はまだかと観客は心待ちにしているのが数秒。意を決した時、それは始まった…

Friends
    ソロアルバム「PIANO STORIES II -The Wind of Life-」より、トヨタ・クラウンマジェスタのCF(コマーシャルフィルム)で使われた曲が、このコンサートの最初の曲。「WORKS II」にもピアノソロが収録されていましたが、そのヴァージョンとさほど違いのない演奏でした。しかし非常に爽やかな演奏ですばらしかったの一言です。最近、この曲も定番になりつつありますが、何度聴いても何か懐かしさを覚える曲でした。ここで個人的なことなんですが、固唾を飲んで最初の曲を待っていた僕は、この曲では微動だにせず(というより、微動も出来なかった…)曲に聴き入っていました。レポートのために前回まで書きとめよう書きとめようとしていて、ある意味集中できていなかったんですが、今回は本当に曲のみに集中することができました。でも不覚なことに記憶上にこの演奏はあまり残ってません…(汗) 本当のことを言うと、何故か目に込み上げるものがあって、気持ち的にすでに一杯一杯だったんです。

はつ恋
    2曲目は、2000年春に公開された映画「はつ恋」のサントラより、テーマ曲がピアノソロという形で演奏されました。もちろん、この曲はコンサートでは初演になります。原曲はオーケストラでの演奏なので、ピアノソロ用にアレンジされたのはもちろんのことなのですが、ピアノソロにするとオーケストラとはまた違った格別の曲に豹変します。これは本当に素晴らしかったです。何らかのCDで音源化してほしいなと思います。

The Wind of Life
    またまた続けて、「PIANO STORIES II -The Wind of Life-」より、CDの表題にも載っている、CDの最後に収録されているピアノソロの曲が披露されました。この曲、気付いた方がいると思いますが、CDに収録されているヴァージョンで0:56の部分から入るサビ部分の和音がちょっと変わっています。最初は「弾き間違いか?」などと思いましたが、一貫して同じ和音。なんと、久しぶりに弾いた作品が微妙な変化をしていたんですね。僕の場合は、この新しいヴァージョンの「The Wind of Life」がお気に入りになりました。このアレンジの方が何故か綺麗に聴こえるんですよ。またこの曲の最後も、ちょっとパワーがついたようなアレンジが施されており、僕にとってはこのコンサート中、一番気に入った曲です。ただ、最後のペダルさばきがちょっと変だったのが惜しいかったんですが、それも久石さんのご愛嬌でしょう!

    この3曲を弾き終えたあと、久石さんはピアノを手にとり話し始めました。
「こんばんは、久石譲です。」
そのひと言に会場から大きな拍手が… この間、セッティングのためマリンバや、楽譜台、イスなどいろいろ物が舞台に運ばれてきます。
「今回、このオペラシティで演奏するのは初めてなんです。ここでの演奏は観客として観たことがあるのですが、観客席から見ると結構小さく見えるのに実際に舞台に立つと結構広いですね。」
久石さん、息を切らしつつも笑顔でしゃべっています。
「人が多いので真面目にやります!(笑) いや、いつも真面目にやっているんですけどね(笑)。」
会場から笑いが起こりました。「それは当たり前でしょ!」と突っ込みたくなるような、そんな冗談を話されてました。

 

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