〔備忘録〕創立60周年記念 都響スペシャル すぎやまこういちの交響宇宙(2025.10.19)

TMSO Special “60th Anniversary”
“Symphonic Cosmos of Koichi Sugiyama”

○このコンサートレポート(備忘録)は記憶をたぐりながら書いていったものであり、記憶が抜け飛んでいるところなどについては、脚色を施している可能性がありますので、完全なコンサートレポートではないことをご了解下さい。
○もし間違いを見つけたり、補記できる項目があれば、コメント欄で書いてもらえると嬉しいです。
日時2025年(令和7年)10月19日(日) 15時から(開場 14:00/開演 15:00)
会場池袋・東京芸術劇場 コンサートホール
チケット全席指定 S席8,000円 A席7,000円 B席6,000円 C席5,000円 Ex席3,500円(全て税込)
出演者指揮 大野和士
吹奏楽 東京都交響楽団/コンサートマスター 山本友重
ヴァイオリン 矢部達哉*
合唱 新国立劇場合唱団**
その他主催:公益財団法人東京都交響楽団
後援:東京都、東京都教育委員会
協力:スギヤマ工房有限会社

曲目

すぎやまこういち:カンタータ・オルビス **
Koichi Sugiyama: Cantata Orbis **

すぎやまこういち:ヴァイオリンのための小協奏曲《日本の風》*
Koichi Sugiyama: Violin Concertino “The Japanese Wind” *

すぎやまこういち:ヴァイオリンのための《神秘なる静寂》*
Koichi Sugiyama: Mysterious Silence for Violin *

 休憩

すぎやまこういち:交響曲《イデオン》
Koichi Sugiyama: Symphony “IDEON”
   I Lento Maestoso – Andante Moderato
   II Andante assai
   III Allegretto Scherzando
   IV Tempo di Marcia

オーケストラアンコール すぎやまこういち:カンタータ・オルビス**
Orchestra ENCORE – Koichi Sugiyama: Cantata Orbis **

何気なく…

夏場のドラクエコンサートの前に発売開始をされた、この「創立60周年記念 都響スペシャル すぎやまこういちの交響宇宙」のチケット、変わった演目のため何気なく手に入れたものだったんですが、鑑賞してみたら、都響さんがものすごい力を込めたコンサートだったことが分かって、後から「歴史の証人になった」ことに気づいたような、そんなすごい公演だったと思います。

この日の東京都交響楽団さんの体制もコンサートマスター3名が参加されるという豪華なものでした。ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんがソリストとして参加し、オーケストラ側としてはこの日のコンサートマスターはすぎやま先生との親交が厚かった山本友重さんで、そのトップサイドにも普段コンサートマスターを務める水谷晃さんが。山形交響楽団さんではコンサートマスター3名は見かけたことありますけど、東京都交響楽団さんの演奏ではボクは初めて見ました!(すみません、ほとんどドラクエなので、他のクラシックコンサートではありそうですけどね…苦笑)

そして、この日の指揮は都響の音楽監督を務める大野和士さん。大野さんとすぎやま先生というと、やっぱりすぎやま先生が亡くなった際に、大野さんが追悼演奏の指揮をされた「レクイエム(ドラクエIIより)」の印象がすごく強くて、その時の指揮や演奏に感銘を受けていたので、ぜひ一度、大野さんの指揮をお聞きしたいと思っておりました。(下にYouTubeで残されている演奏の風景を参考でつけておきます。)

この日は定刻近くでもフルートとオーボエの方がステージ上に残って熱心に練習をされていたりしたので、いつものごとく練習の音色に聞き耳を立てていたんですが、時間ちょっと過ぎたあたりでステージ上には誰もいなくなり、そのステージにまず新国立劇場合唱団の皆さんが入場し始め、それに続いて都響の皆さんも入場されました。入場時には客席から暖かい拍手が送られています。最後にこの日のコンサートマスター、山本友重さんが入場、客席に頭を下げて、チューニングとなります。チューニング後、指揮の大野さんが登場。大きな拍手を受け、さっそく一曲目が始まります。

カンタータ・オルビス

1980年代にテレビアニメとして放映された「伝説巨神イデオン」(監督:富野由悠季)で印象的なシーンに使われた曲のひとつ「カンタータ・オルビス」。富野監督からすぎやま先生には「カルミナ・ブラーナのような曲」と注文されていたそうです。実際に、雰囲気も良く似ています。また、ラテン語の歌詞はすぎやま先生がつけられたものだそうです。…が、すみません。「伝説巨神イデオン」を鑑賞していなくて、全く内容のことを触れることができません…(汗) 今度、時間を見つけて鑑賞してみようと思います!

音楽自体は「オリジナル・サウンドトラック 総音楽集」に収録されていたので、何度か聞いたことはあったんですが、じっくり聞いてなかったので、ほぼ初見のようなものでした。出だしは厳かにオーケストラと合唱が会場をこだましてきました。だんだんオーケストラ、合唱ともボルテージが上がってきて、テンポも少し早くなっているのか、だんだん緊迫感が漂うようになってきました。この日の曲目は「伝説巨神イデオン」を軸にした曲目ですが、このイデオンでは金管楽器と打楽器がすごく力強く使われているのが印象的。ふと、すぎやま先生も若いころ力があふれていたのかな…と思ってしまうんですが、よく考えたら作品が公表された1980年だと、49歳。今のボクとさほど変わらない…(苦笑) そんなに若いって訳ではなかったんだなあと。

この日の客席をちょっとだけ眺めてみたんですが、実はボクより年上の方が多い。そりゃそうですよね。この作品は1980年に公表されたので45年前。ボクでもまだ小さい子どもだった時期なので、もう一回り上の方たちの心をつかんだ作品であるため、50代後半、60代の方が多かった印象です。青少年、子どもさんはあまり見かけなかった感じも、ある意味、このコンサートに当時、心に刺さった皆さんが心待ちにしていたのだろうなあという風に感じることができます。

「カンタータ・オルビス」は約6分の曲で、すぐに終わってしまいました。迫力の演奏で、すごくあっという間に過ぎ去ってしまいました。

日本の風

「カンタータ・オルビス」の演奏が終わって、ステージ上の配置換えです。ソリストの矢部達哉さんを迎え入れるように指揮者脇にスペースが作られます。そういえば、この日は見える範囲でビデオカメラがステージ上に2台、1階席中央後方に1台の3台確認することができました。さほど多くないので記録用かなあとは思ったんですが、マイクが尋常じゃないくらいセッティングされていました。ライブ録音用に各セクション、プルトごとに配置されていて、ライブ音源化はもしかしたらあり得るかも… そういえば、公演に贈られたスタンド花にキングレコードさんの名前も。もしかしたらもしかするかも??

にしても、すぎやま先生の新曲である「ヴァイオリンのための小協奏曲《日本の風》」が聴けるとは思わなかったので、感無量でした。しかも国内ではトップクラスのバイオリニストである矢部さんの演奏です。しかもその矢部さんに、すぎやま先生ご自身がお贈りになった曲ですし。バイオリンのソロも格別でしたが、この曲は木管・金管も入っていて、ボクの勝手な解釈ですが、日本の「四季」を感じるような、曲だったように思います。

前半の演奏では、拍手がものすごく遅くなっていて、ものすごく余韻を感じることができました。

神秘なる”塔”

さらに次の曲では、金管、木管の皆さんが外れて、弦楽器の皆さんのみとなったと思います。

コンサートパンフレットを読んで、次に披露される「ヴァイオリンのための《神秘なる静寂》」は、ドラクエVIIIの「神秘なる塔」という曲が、ソロ・コンサートマスターの矢部達哉さんが、すぎやま先生に「一番好きだ」と言われて、元の曲はオーボエが主となる楽曲ですが、すぎやま先生がバイオリンのために書き替えられたようですね。

前半の構成はほとんど「神秘なる塔」ですが、後半には多彩な変奏が加えられ、まさに”音の聴こえる静寂”をいえる神秘的なバイオリンの響きでした。

交響曲《イデオン》

パンフを見て気づきました。この日に演奏された曲はすべて、『初演』であることに。

カンタータ・オルビス」や「交響曲《イデオン》」はどこかで演奏されているものだと思ったんですが、機会がなかったんですね。そういった意味では、都響の皆さんにこういう機会を作っていただき、本当にありがたかったです。

X(旧Twitter)を見ておっしゃっている方がいて気づいたんですが、元々この「交響曲《イデオン》」は小松一彦さん指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で1981年に収録されたものがあって、それがサウンドトラック総音楽集に収録されていますが、そちらと比べると、今回のコンサートのテンポがすごく早かったようです。そのあたりの読み取り方は指揮の大野さんの解釈なのでしょう。

もう細かいことは覚えていないので、これ以上のことを書く記憶がないのですが、正直、仕事で体力を奪われていたため、ちょこちょこいい気持ちでウトウトしてしまう場面もあったりして…ゴメンナサイ(汗)。ただ、途中でいきなり「ジャーン!」っていう大音量が流れてくる場面があったりして「ハッ!?」と気づかされることが2回くらいあったような… そんな状態だったので、ぜひ音源化して再度聴かせてほしいです!

でも印象に残っているのは金管楽器と打楽器でした。終始パワフルな演奏を聴かせていただいて、すぎやま先生が力強い楽曲がそもそも持ち味だったなあというのを再度認識し直させていただきました。金管楽器の使い方が上手いと思います、先生は。

あ、そうそう。この交響曲の締めの時に、早く「ブラボー」をおっしゃった方がいて、ちょっともうちょっと余韻を残していただきたかったなあと個人的には感じました。ブラボーは拍手にかき消されちゃうので、早めに出さないと伝わらないというのはあるのは分かるんですけど、ただ、やっぱり余韻が残っているのにブラボーやら拍手をしてしまうのは、できれば遠慮してほしいですよね。

アンコール

「交響曲《イデオン》」を聴いている最中、コンサートのタイトル「すぎやまこういちの交響宇宙」ということを考えると、他に宇宙を表現した曲ってすぎやま先生って作っていたかなあなんて考えていて、アンコールに演奏する曲が見つけられず、「こりゃ、もしかしたらアンコール無しもあり得るかな」なんてことを考えていました。

都響さんの各演奏者の皆さんにフィーチャーされるように指揮の大野さんが紹介されたあと、新国立劇場合唱団の皆さんが入場されて、「あ!」と思い直しました。

そうです。アンコールは再び「カンタータ・オルビス」でした。アンコールの「カンタータ・オルビス」もすごかったです。すごかったとしか言えない(苦笑)。よく考えたら「オルビス(Orbis)」は「円環」を意味するので、最初と最後に持ってきたということなのかもしれませんね。

そうそう。アンコールの最初、指揮の大野さんがタクトを落とされてしまって、トップサイドの水谷さんが拾われて大野さんに返されているのを見てちょっとほっこりしてました。

曲が終わって、長い間拍手が続いていて、ほとんどの方が退場されたタイミングで、再度、指揮の大野さんが出て来られて一部でスタンディングオベーションが発生していました。ボクもつられてスタンディングオベーションに参加させていただきました。多くの方が大満足の公演だったのではないかと思います。

あとがき

何気なしに参加したコンサートだったんですが、東京都交響楽団さんの熱量に圧倒され、そして、すぎやま先生への多大なる愛情、友情が感じられるコンサートだったように感じました。パンフにも芸術主幹の国塩さんの説明もあるし、すごい力の入れようでした。都響の皆さんが、すぎやま先生との縁を大事にされているのだなあと感じることができて、実は帰りの車内で少し目頭が熱くなっておりました。

そうそう。「伝説巨神イデオン」の監督で、ガンダムシリーズの総監督をされている富野由悠季さんがいらっしゃっていて、初めてこの目で拝ませていただきました。終演後、関係者の方が挨拶するのに結構列をなしていました。最初、何の列なんだろうと思っちゃったんですが、納得しました。実は宮﨑監督とか高畑監督と一緒にやっていた時期もあるんですよね。一目監督が見ることができて嬉しかったです。

このコンサート、実は歴史に残るコンサートだったのではないか、「伝説」になりえるコンサートではないのかとも感じたものでした。そんなコンサートになるとは全く思いもせぬまま、ちょっと不意打ちを食らった状態です。そこに立ち会えたのはこの上ない喜びでした。最近、仕事が立て込んでいて疲れていた身体に鞭打って参加して本当に良かったです。後は、ぜひこのコンサートのライブ音源、映像などをリリースしてほしい、その一点でしょうか。ぜひよろしくお願いします、キングレコードさん!(笑)

※すみません。時間がないため推敲せずにver.0として一旦アップします。あしからずご了承を。

2025.10.20 01:00 掲載(ver.0)
2025.10.25 22:20 校正、写真等追加

関連ツイート

備忘録的写真集

パンフレットから

本当はコピペはダメだと思いますが、都響さんが気合を入れて無料パンフレットを作成し、都響芸術主幹の国塩さんの解説が素晴らしかったので、一旦パンフレットから転載します。怒られたり(苦笑)、どこかに転載される場合は削除しようと思います。矢部達哉さんの「すぎやま先生の思い出」もなかなか良いお話でした。

ショー@オーナー
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