コンサート前半戦

    さあ、久石さんが入場してきました。会場は割れんばかりの拍手です。久石さん、会場の客席に向かい深く一礼をされた後、颯爽と指揮台に登ります。毎度ながら、手にはタクトはありません。フリーハンドでの指揮となります。

Mibu(映画「壬生義士伝」より)
    「ドーン、ドーン、ドドン!」と大太鼓の音から、弦楽器の激しいメロディが続く。あの「壬生義士伝」がメドレーとなってお披露目です。って、東京でのペンジョンファンドコンサートと変わらないじゃんとお思いの方、まだまだですよ! ペンジョンファンドとはアレンジが変わっていて、力強さはそのまま力強く、しかし精錬されたアレンジで、個々の楽器のメロディがハッキリと聞こえる感じになってました。これは、なかなかでしたよ。そうそう、先ほどお伝えしたピアノが2台あった件ですけれど、この曲で奥の方にあったピアノが使われてました。どうも、ハープの音色がどうしても弱いところがあったので、ハープの音色の補強的な側面からピアノがサポートに入っていたようです。

    「Mibu」の演奏が終わり、会場からまた大きな拍手が送られます。久石さんは軽く会釈をしながら、ピアノの前に座り、ハンカチで額の汗をぬぐってました。「ふぅ」と一息をつかれるような感じで久石さんがピアノのところで座って、何かを待っているって感じです。そう、指揮の金さんを待っていたんです。でも会場の多くの方は状況がよく分かっていないようで(ま、他のツアーに行ってないから当たり前ですが…)、変な間がありました(苦笑)。

    すると、舞台脇から指揮の金洪才さんが入場されてきました。…って、何か拍手が起こらなさそうだから、僕が率先して拍手を…(笑) 後ろ姿が似ている同士なので、特に金さんにエールを送らないと!(爆) 金さんが久石さん、そして新日本フィルの崔さんと握手を交わし、久石さんに変わって今度指揮台に立つのは金さんです。あ、金さんはタクトは持たれてましたよ! ただ、途中からフリーハンドで指揮をされてたようですけどね。

あの夏へ(映画「千と千尋の神隠し」より)
    金さんが指揮台に立って、久石さんに目をやると、その時久石さんはピアノの鍵盤をジッと見つめ精神集中をしているようでした。やや間があって、ハンカチに手をやり、ふたたび顔をぬぐってまた精神集中。いつもの儀式みたいなものですね。ちょっとした頃合いの後、久石さんが金さんに合図を送り、ピアノソロから楽曲が始まりました。アレンジについてはこれまでのものと同様だったようですね。

ふたたび(映画「千と千尋の神隠し」より)
    この楽曲もアレンジはさほど変わったような印象は受けませんでした。

    楽曲が終わると、当たり前ですけどまたまた拍手です。何か新潟の拍手は熱いですねぇ〜 久石さんはまた会場に頭を下げられてました。すると、マイクを取りしゃべり始められます。

コンバンハ、久石譲です(拍手が会場から起こる)。

この新潟では、オーケストラでコンサートを行うのは初めてになります。僕は新潟県のとなりの長野生まれで、新幹線に乗って、こちらに向かう間、窓から景色を見ていると地元そっくりな田園風景で親近感を感じました。

それにしても、このりゅーとぴあはいろんな方から素晴らしいホールだと聞いていて、是非コンサートをやってみたいと思っていました。この丸いホール…(辺りをぐるっと見回す)…すごいですよねぇ〜 こう、囲まれているというか…(笑) でもこういうホール、好きなんです。練習の時も非常に音が良くて、どこの席でも音が変わらないんですよ!

ホールの丸い感じ、伝わるでしょうか?
やっぱり難しいかなぁ…

    先ほども言いましたけど、ホント、良いホールです。距離感は近く感じるし、距離感が近いから、音も綺麗に伝わるし、個人的にはヒットって感じのホールです。「音が良い」という評判から、ライブレコーディングをしようってことになったのかも知れませんね。ホント、素晴らしかったです。是非、また来てみたいと思いましたもん。あ、まだ久石さんがしゃべっている途中だったんだ…(苦笑)

この後ですが、今年3月に「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」というアルバムを出しました。いつか夢はかなう………いつか夢はかなう…(なぜか2回繰り返して「いつか夢はかなう」とおっしゃってました) 頑張っていれば願いは叶うかも知れない。あるいは、常に自分自身を変えていこうよということをテーマにしたアルバムです。

これからそのアルバムより5曲演奏しようと思います。ちなみに最初の曲には有名なナンバーを導入の部分に使わせてもらってます。

    久石さん、一通り説明を終えて、会場からの拍手を受けると、ピアノの方に向き返って、演奏準備を始めました。

Silence(ソロアルバム「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」より)
    「Moonlight Serenade」を導入部分に使い、「Silence」が演奏されました。ペンジョンファンドとさほど変わりなく演奏されてましたよ。

月に憑かれた男(ソロアルバム「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」より)
    コントラバスの音から始まる曲で、軽快に曲が続いていきましたけど、ちょっとトラブルがありました。何かの音色がちょっとひっくり返ったところがありました。ま、ちょっとリズムが早い曲なので、仕方ないのかなあといった感じです。で、トラブルはそれだけではなく、指揮の金さん、そのひっくり返った音色にビックリしたのか、あるいは指揮に力が入りすぎたのか、勢い余って備え付けられていたマイクスタンド(かなりの高さまでスタンドが上げられていた)に指揮棒を思い切りぶち当てていました(苦笑)。大きく揺れるマイクスタンドでしたが、金さんが慌てて左手で震えるスタンドを抑えて事なきを得ました。金さんでも、あんなことするんだなあと…(苦笑) かなり焦っただろうと思います(爆)。頑張れ、金さん!!

夢の星空(ソロアルバム「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」より)
    短い曲ですけど、個人的には好きです。ピアノソロから入ってきて、弦楽器や木管楽器が続いてくるくだりはやっぱり良いですねぇ。

Bolero(ソロアルバム「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」より)
    この曲を演奏する前に、久石さん少し手をブラブラと動かし、ちょっと気にされる様子がありました。…って、何かペンジョンファンドコンサートと同じような光景だなぁ… テンポが速く力強い曲なので、演奏する前はやっぱり準備運動が必要なんでしょうね。演奏の方は、久石さんが若干ミスタッチっぽいところがあったんですが、そこは強引に上手く持っていく手法でカバーしてました。知らない人が聞いてもミスには思わない、いわゆる新潟オンリーのアレンジになってました。そして、ラストは久石さんと、指揮の金さんが格好良く決めてくれます。

a Wish to the Moon(ソロアルバム「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」より)
    キリン「一番搾り」のCMで使われている曲ですよね。それもペンジョンファンドコンサートと変わらず、途中でメロディを口笛で吹くという場面もありました。そしてこの曲もラストはきれいに決まってましたね。

    やばい… 今回も眠気が…(爆) 「ETUDE 〜a Wish to the Moon〜」をオケアレンジすると睡眠効果でも出てくるんじゃないだろうかというくらいヤバイ状態でした(笑)。心地よかったんだろうなぁ〜 今回はちょっと目をつぶりながら聞いたりしてましたし。そうそう、これで前半終了なんですが、全然拍手が鳴りやまないんですよ(苦笑)。ここは適当なところで拍手をやめるのが普通なんですが、ずっと続きます。全然鳴りやまず、舞台袖からフィルのメンバーに「席を立って退場するように」と指示が出て、フィルのみなさんが退席しはじめたところでやっと拍手が弱くなりました。前半にアンコールは出来ませんもんねぇ〜

 

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