"Be"シリーズ特別篇

Be Hisaishist 11st!!
Joe Hisaishi Concert Tour   〜Piano Stories 2008〜


 大変久しぶりなコンサートレポートを書いてみました。2008年に開かれたPiano Stories 2008の様子を少しでも垣間見てもらえればいいなと思います。
 今後も、コンサートレポートはちょくちょく作成していきたいと思いますので、よかったら眺めてみてください。

日時 2008年10月18日(土) 17時から
会場 りゅーとぴあ 新潟市芸術文化会館
RYUTOPIA NIIGATA-CITY PERFORMING ARTS CENTER
チケット 全席指定 S席7,500円 A席7,000円 B席6,500円
※ 会場により価格構成が異なります。
出演者
ピアノ Piano 久石 譲
HISAISHI, Joe
コンサートマスター(チェロ)
Concert Master (V.Cello)
ルドヴィート・カンタ
Ludovit Kanta
チェロ V.Cello 古川展生 FURUKAWA, Nobuo(10/13以外)
諸岡由美子 MOROOKA, Yumiko
唐沢安岐奈 KARASAWA, Akina
海野幹雄 UNNO, Mikio
ロバン・デュプイ Robin Dupuy
三森未來子 MIMORI, Mikiko
小貫詠子 ONUKI, Eiko
大藤桂子 DAITO, Keiko
堀内茂雄 HORIUCHI, Shigeo
中田英一郎 NAKADA, Eiichirou
櫻井慶喜 SAKURAI, Takayuki
羽山真介 HAGAWA, Shinsuke(10/13のみ)
マリンバ Marimba 神谷百子 KAMIYA, Momoko
パーカッション Percussion 小松玲子 KOMATSU, Reiko(10/24・27以外)
服部恵 HATTORI, Megumi(10/24・27のみ)
ハープ Harp ミコル・ピッチョーニ Micol Picchioni
田口裕子 TAGUCHI, Yuko
コントラバス Contrabass イゴール・スパラッティ Igor Spallati
その他
【新潟】

主催:TeNY テレビ新潟 キョードー北陸
特別協賛:AIGエジソン生命
企画:ワンダーシティ
制作:PROMAX
制作協力:イープラス
協力:ユニバーサルミュージック


 2008年10月18日、「久石譲 Concert Tour 〜 Piano Stories 2008」を鑑賞するため2005年12月の全国ツアー「12月の恋人たち」以来約3年ぶりに新潟にあるりゅーとぴあ・新潟市芸術文化会館にやってきました。

 ちょうど土曜日開催だったことと、このりゅーとぴあのコンサートホールが気に入っていて、もう一度ここで聴きたいなぁと思っていたことが相まって、新潟まで足を延ばすことにしました。

 ここのコンサートホールは、過去のコンサートレポートでも書いたようにステージの周りを客席がぐるっと囲むようになっており、ステージと客席との間の距離感がすごく近いんです。ホールを円形にギュッと凝縮した形になっていて、アリーナ形式のホールではあるんですが、初めて入った人は驚くんじゃないかなと思います。屋上には庭園なんかもあるし、なかなかおもしろいホールです。そこで、ピアノと12本のチェロコンサートが始まるわけです。ホール内の写真については、以前のコンサートレポートを見てもらえればなと思います。

 そうそう、開演前にホールの周辺を散策してみたんですが、今回のツアー用トラックが止まっていました。楽器とか舞台装置などを運ぶんでしょうね。新潟の翌日は川崎で連日コンサートですし。

ツアーバス
りゅーとぴあをバックに白地に久石さんの名前が映えるトラック。

 プラプラしながら、他の方と合流しつつ、会場時間を迎えることとなります。

 会場時間になるとものすごい人が行列になってましたが、結構スムーズに入場して、恒例のごとくパンフレットを購入。曲目・曲順訂正表が入ってましたが、予定で入っていた「太王四神記」はプログラムに入らなかったようで、残念に思った方も多かったかななんて思いながら、自席へ。

 僕の席は1階席で前から2つ目のブロックの一番前の席で、中央寄りの場所でした。なかなか音のバランスがよさそうな席です。今回は敢えて前列にせずに、音を楽しむ中央の席を頼んでいました。結構、最前列で音が頭の上を抜けていくのと、久石さん以外の演奏者の動きが分からないところがすごく気になっていたところもあったので、個人的にはベストな席だったかなという印象です。

 開演5分前あたりにチャイムが鳴り始めました。係員が携帯電話の電源を切るよう促すプラカードを持ちながら、ブロックごとに説明をしているのを眺めながら、まったりとした時間を過ごすこと少々、定刻をいつものごとく約5分ほど経ったくらいにホール内の照明が落とされて開演時間を迎えます。

 ステージ上のみがパッーっと明るく照らし出されて、そこにまずチェリスト12名、コントラバス、マリンバ、パーカッション、そしてハープ2人の演奏者が入場してきます。今回のメンツは外国人の方がかなり多い。チェロでは2名(うち1名はコンマスの人)、コントラバス1名、ハープ1名の合計4名いらっしゃいました。そして掲示板とかで話が挙がっていたとおり、結構男前の方がいらっしゃいましたね。チェロの一番右端には、東京都交響楽団チェロ主席奏者の古川展生さんが座られていました。

 他のメンバーが着席し準備が整ったところに久石さんが登場。割れんばかりの拍手が送られます。久石さんの服装がものすごく派手で、黒ベースのタキシードみたいな服に、胸から上が青白く光るラメが入っているような衣装で、ズボンも同じ感じで黒だけどテカテカ光っており、ちょっとびっくりしました。ちなみに他の演奏者の方は、落ち着いたシックな色をベースにした服を着ていたように思います。

Oriental Wind
 拍手がひと段落し、久石さんもピアノの前に腰を据えて、楽譜にちょっと目をやりながらさっそく演奏をし始めました。この「伊右衛門」のCMで流れるような落ち着いた曲調でまずピアノソロからの出だし。その後にチェロも続いていくような印象でした。
 その後は徐々に、「Piano Stories 4 Freedom」で収録されているような若干アップテンポに変わっていきました。


 さっそく1曲目が終了し、大きな拍手に迎え入れられた久石さんはマイクを持って話し始められました。

「こんばんは(会場から拍手が送られる)。今年はこの素晴らしいチェリスト12名と回るコンサートツアーを実施し、今日で4回目となりました。一生懸命演奏しますので、よろしくお願いします。(拍手)

 最初に演奏したのは某、お茶のCMの曲です。……伊右衛門です(笑)。このCMを4年くらい担当してます。僕はスポンサーにはかなり忠実で、担当になった後は、脇に伊藤園の某製品があったとしても伊右衛門ばかりを飲んでます。(会場から笑い)

 前にビールのCMもやっていたことがあって、キリンの「一番搾り」なんですが、その時も一番搾りばかりを飲むようにしていたんですが、本当はエビスの方が好きで…(会場爆笑)

 それではこれからは以前に発表した「ETUDE」というアルバムから3曲演奏しようと思います。よろしくお願いします。」

 …今回のコンサートは、久石さんが結構MCでしゃべってました。結構話が少ないこともあったんですが、いろんな合間に今回はしゃべりを入れていました。

Silence
 曲の冒頭、「Moonlight Serenade」が流れてきてから、ピアノの響きが印象的な楽曲が始まります。以前にダンロップタイヤ「VEURO(ビューロ)」のCMで使用されていたナンバーですが、弾きこなすには結構難しい曲で久石さんのミスタッチが少し目立ったところもあったかな、という感じでした。

 そうそう、久石さんが弾いているピアノの天盤は、おそらく他の演奏者の指示(一部指揮もしていた)をするため外されていたのですが、そのためピアノの音色が客席じゃなく天井に向っているため少し音がこもって弱く聴こえたのがちょっと気になったところです。前はもうちょっとタッチが強かったと思うんですけどね。最近、ピアノはそんなに弾いてなかったわけだし、仕方がないんだろうなあとも思うわけですけれど。

Bolero
a Wish to the Moon

 「Bolero」なんかも難易度が高い曲です。チェロが入って若干、ピアノの演奏を少し軽減させているような感じにも見受けられます。久石さんからピアノの練習にあまり時間を割けてなさそうに感じました。「久石譲in武道館」もあったことだし、やむを得ない状況なのかな。

 「a Wish to the Moon」については、DVDにもなっている9 Celloと同じように、途中でチェロ奏者の皆さんがメロディを口笛で吹くということをやってました。


 演奏が終わるとまた久石さんはマイクを手にとって話を始められました。

「今年はいろいろと映画音楽を担当させていただいてますが、この新潟を舞台にした『マリと子犬の物語』が非常に印象に残っています。このコンサートでは構成の関係で演奏はしませんが、『マリ』の音楽の担当をして本当に良かったと思ってます。

 それでは今日、素晴らしい演奏をしてくれている皆さんを紹介します。(手元のメモを何度も見返しつつ)オーケストラ・アンサンブル金沢の首席チェロ奏者であるルドヴィート・カンタさん率いる皆さんです!(拍手)」

 カンペを見ていたのでてっきりひとりひとり紹介するのかと思ったんですが…(苦笑) ちなみにマリンバは久石ファンには顔なじみの神谷百子さんでした。ここで、チェロ以外のメンバーはみんな舞台袖に戻り、ステージには久石さんと12人のチェリストが残ります。

「ここで、素晴らしいチェリストの皆さんにきれいな演奏を聴かせてもらおうと思います。5年くらい前にNHKで『空想美術館』という番組の音楽を担当したんですが、そのテーマ曲を聴いてもらおうと思います。それではみなさんお楽しみください。」

Musee imaginaire
 久石さんはひとしきりしゃべられた後、ステージ袖に退場し、ステージにはチェロ12本のみ。コンマスのカンタさんと、逆側にいる古川さんが目で示し合わせて、最初は古川さんを含めステージ向って右側3、4名が早いパッセージを弾き始めて、全体が連なっていくような感じでした。


 拍手の中、他の演奏者とともに久石さんがステージに入場してきました。久石さんはみたびマイクを取り、しゃべりだしました。

「この間『おくりびと』という映画を担当しました。話も、チェロ奏者がオーケストラをクビになってしまい、旅のお手伝いの広告を見て仕事に就いたら、"旅立ちのお手伝い"、いわゆる納棺師の仕事だったのが分かって、いろいろと苦労しながら主人公がその仕事を通じて成長していくという話で、笑いあり涙ありの非常に良い映画です。

 チェロ奏者が主人公だということで、音楽もチェロを中心として、サウンドトラックは今回のコンサートのメンバーをベースに音楽を収録しています。その中でソロパートを演奏してくれたのは、右端にいらっしゃる東京都交響楽団首席チェロ奏者の古川展生さんです。(会場から拍手。古川さん、その場で立ってお辞儀されてました)

 これから「おくりびと」の曲を組曲風にまとめた『Departures』という13分くらいの長い曲を演奏しますが、今日は、映画のオリジナルをそのまま楽しめるということになりますので、期待して聞いてください。」

 
Departures 映画「おくりびと」より
 どうもこのタイトルを聞くと、T○Fの同名曲を思い起こさせてしまいます…(苦笑) で、曲の方はと言うと… すみません(汗)。実は「おくりびと」のサウンドトラックはさほど聴きこんでいなくて、「あれ、こんな曲あったかな?」状態で、どんな曲があったのかほとんど記憶にない状態です(苦笑)。映画のオープニング、エンディングはともかく、映画中盤でセリフが全くなく音楽だけで5分くらいつなぐシーンで使われていた曲は入っていたはず… でも自信無い(汗)。
 途中で、久石さんが立ち上がって指揮をしていた場面もあったような記憶があります。


 「おくりびと」が終わるとものすごい拍手が鳴り響きます。一度久石さんが舞台袖へ引いても拍手が鳴りやまず、久石さんが再入場し、他の奏者とあわせて一同礼をされていたのが印象的です。前半でそのようにみんなで頭を下げていたのってほとんどなかったような記憶があったので…


 ここで15分の休憩。

◇◆◇◆◇◆◇ Intermission ◆◇◆◇◆◇◆

  休憩中に、少し売店の方に足を運びました。アルバムなどが並べられて結構なお客さんで活気づいてました。その脇に、「35mm日記」などの久石さんの関連書籍も並んでいました。今回は特にツアーグッズとかは作成されてなかったようですね。

りゅーとぴあ ホール内
ホールにあるパイプオルガン。ただこの写真は2003年に撮影したものです…

◇◆◇◆◇◆◇ Intermission ◆◇◆◇◆◇◆

 後半開始を迎えます。

 ステージが暗くなり、ピアノの場所だけスポットライトを浴びているところに、紺のレザースーツに着替えた久石さんが登場してきました。ポッと浮かんだスポットライトの中で頭を下げる久石さんに暖かな拍手が送られます。

 おもむろに久石さんはピアノに向かうと、ピアノに載せられてた楽譜の位置を少し調節しながら、椅子に座ってピアノに向き合いました。


夢の星空
 この日の久石さんの演奏は非常に不安定で、ピアノの音色もちょっと弱めな感じがしました。この曲もリズムが結構速くなったり遅くなったりして、なんとか最後までたどり着いたなあという感じが聴いていてしました。

Spring
 「進研ゼミ」のCMで以前に使われていた曲ですが、この曲は最初の弾き始めがしっくり来なかったようで、最初の2音を2度ほど繰り返し、両手をグーパーグーパーと動かしながら、気持ちを落ち着かせる動作をしてから再度弾きなおしてました。弾きなおしたのを僕が観たのはこれまでで初めて。やっぱり調子はあまりよくなさそうです。

Zai-Jian
 アルバム「Asian X.T.C.」からの選曲です。具体的にどこなのか問われても分からないんですけど、そこはかとなくアジアを感じさせるピアノソロです。


 ピアノソロを3曲弾き終わってから、久石さんがまたまたマイクを手に取り話を始めました。


「最近のコンサートでは指揮をすることが多くなりました。もちろん、先日の武道館でもピアノをちょっと演奏するくらいのことはやってましたが、まともにピアノを演奏するのが5年ぶりで、しっかりピアノの練習をしないといけないなと思いました。お客さんの中にピアノの練習をやっている方がもしいたら、一緒に練習しましょう」

 ちょっと自嘲気味にしゃべられてました。いつもだったら多少のミスタッチなどは気にせずにそのままコンサートを進行させるんですが、よほど出来が悪かったのかここで反省の弁とも取れるコメントが… 今回はもしかすると演奏にあまり自信がなくて、逆におしゃべりが多くなっているのかもな、なんてうがった見方をしてしまいそうなんです。すみません、悪い癖です(苦笑)。

 そんな話をしている中、他のメンバーが入場してきました。他のメンバーも化粧直ししており、みんな黒い服装でビシッと決めてました。そしてさらに久石さん、しゃべりつつけます。

「さて、映画音楽を担当することも大切なことなんですが、自分で作品を発表するのも大切な作業だと思って、今回のコンサートに合わせて新しい曲を作りました。テーマは『アフターナイン・イレブン』。そう、アメリカで起こった9.11です。昨年、アメリカのグラウンドゼロに行きインスピレーションを受けるなどがきっかけで作曲をしました。

 昔はニューヨークの人たちはすごく怖かった印象が強いんだけれど、あの事件の後はみんなが優しくなっていたんです。事件がきっかけでみんなが助け合うようになったのかなと思うんですが、そんな思いも実感しました。

 曲は3楽章で構成して、2楽章と3楽章はつづけて演奏しようと思います。途中でイスラムっぽいメロディがあったり、ジャジーなところがあったりするので、その辺りを聴いてみてもらいたいと思います。

 そうそう。この曲は録音をする予定です。このツアーを行っている間の明後日に録ります。来年の2月くらいに発売できるように頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします。それでは聴いてください。」


The End of the World
 最新作となるこの曲は、ピアノの奇怪な音色から始まるものでした。

 1小節に「四分音符・四分音符・四分音符・(八分休符)・四分音符・付点四分音符」という4分の6拍子の早いリズムが冒頭からピアノの力強い音色で刻まれ、第一楽章のピアノはほとんどそれの繰り返し。

 それにチェロがそれぞれに、バラバラに早いパッセージだったり、遅いメロディだったりを演奏しているような、ミニマル色の強い演奏がされていたように思います。

 個人的には、ピアノの音色が世界の根幹的な何か(世界の雰囲気みたいなものでしょうか…?)を表わしていて、ピアノが速いリズムの強く打ち鳴らされているのが、9.11後の緊迫感、切迫感を表現しているんだろうと思います。そんな中で、チェロの音色はその中を動いている人間たち。人間たちは、各々違う方向を向いて右往左往し、当時、一時期あった世界の混乱の様を感じさせる曲だなあと思いました。

 正直に言うと、曲のタイトルはこの第一楽章の内容を端的に表わしているのではないかと思います。2楽章、3楽章の感想はこのあと引き続き書きますが、2楽章以降は『世界の終り』を歌っているわけではないと思うので、楽曲とタイトルの意味合いがリンクするのはこの1楽章だけかなと個人的には思ってます。

 1楽章が終わり、会場内静まり返っています。拍手がないまま、楽譜をパタパタとめくり、2楽章の用意をするメンバーたち。引き続き演奏が始まりました。

 2楽章は、久石さんが話に出していたようにイスラム的なメロディをチェロが演奏している部分がありました。イスラムの民族楽器ではなくチェロで奏でているため、なかなか気付きにくかったところですが、ちょっと不思議な感じの演奏をされていたのでそれとなくわかりました。少し伝わりにくいと思いますが、普通とちょっと違う、クラシックギターでコードを鳴らすような形に近い、独特な弾き方をされていた部分があったように感じます。他にもいろんなメロディが折り重なっていくように感じられました。

 この2楽章でも、1楽章で流れているリズムが基礎となって、それがここではいろいろと音階を変えていったり、リズムを微妙に変えながら、曲の表情を作っていきます。どうもこの楽章は世界のさまざまな文化が存在し、まじりあっていく様を描いているような気がしました。

 最後の3楽章。また基礎のリズムが出てきたのですが、1楽章と変わりテンポがずいぶん遅くなり、タッチもかなり弱くなったピアノの一定の音色が、優しげな潮流部分となって、チェロの音色を後ろから支えているような感じになりました。

 片やチェロのメロディは、1楽章と打って変わって一体化し、力強い曲想を描き出します。チェロの奏者たちは弓の動きをきれいに合わせながら、力のこもった迫力のある音像を目の前で繰り広げていき、曲の最後はピアノのリズムだけが残り、ホールに静かなピアノの短音の連なりが響き渡り終了しました。

 3楽章は、人間が手を取り合って力を合わせ、世界の緊迫感が弱まる形を描いたのではないかと思います。いわゆるニューヨーカーが優しくなったという部分から、緊張状態からの雪解けを見ているのではないかなと。そう考えると、この曲のタイトルは「The End of the World」となっていますけど、実際はいったん世界の終りを見たけれど、そこから何かが始まったことを描き出した楽曲なんじゃないかなという風に僕は捉えました。


 曲が終わり、ちょっとした静寂の間があって拍手が起こりました。拍手がひと段落したころ、また久石さんがマイクを持って話し始めました。

「難しい曲を演奏してしまったので、これから後は分かりやすい曲を演奏しようと思います。

まずは婦人服のCMで使われている曲、『Women』を演奏します」


Women
 そのような説明をしてさっそく演奏したのが婦人服レリアンのCMで使われている楽曲を演奏。


la pioggia
 Womenが演奏された後、舞台袖から譜面台とイスが、ステージ向ってピアノの右わきに設置されると、おもむろにコンマスを務めているカンタさんがそちらへ移動しました。ゆったりとしたリズムでカンタさんのチェロと久石さんのピアノの音が交錯していきます。他の奏者は伴奏に徹していました。


崖の上のポニョ
 最初、ピアノが「ポーニョポーニョポニョ魚の子」とメロディを奏でると、それに続いてコントラバスの方がものすごく楽しそうな顔をしながらピチカート奏法でメロディを繰りかえし、曲の冒頭はピアノとコントラバスの掛けあいから始まりました。
 曲が鳴り始めた時、曲の冒頭、待ってましたという感じで少しだけ会場がざわつきがありましたが、その後は、みんな音楽に聴き入っていたようです。
 ピアノ、コントラバスの後、チェロもピチカートで続いていきました。演奏後は、楽しげな演奏を見せてくれたコントラバス奏者に拍手が送られていました。


Les Aventuriers
 4分の5拍子の弾くのにはすごく難しいだろうなあと思われる小気味良いテンポの楽曲です。久石さんはメロディーラインを弾くというより、ピアノを打楽器としてリズムを打つような演奏をされていました。


Tango X.T.C.
 プログラム最後となるこの曲は、ピアノの印象的な出だしから始まる楽曲です。CDで収録されている曲の出だしとは全く異なり、2004年に開催された『JOE HISAISHI  Freedom  PIANO STORIES 2004』の際に、冒頭の部分をアレンジしなおしたバージョンが披露されたように記憶していますが、そのアレンジで演奏されました。

 

 演奏終了直後、会場から大きな拍手が送られました。ブラボーと声をかけている人もちらほら。久石さんはじめ演奏者の方が舞台袖へ下がったんですが、その最中も拍手が鳴りやまず、久石さんがマリンバの神谷さんとパーカッションの小松さんを引き連れて再入場。

 入場してさっそくおなじみの曲をアンコール演奏してくれました。


Summer
 ステージ後方にマリンバが2台置かれていて、一方のマリンバは神谷さんが演奏されていて、もう一方はずっと使われていなかったんですが、この曲のためだけに用意されたようです。

 神谷さんと小松さんのマリンバが曲の冒頭、静かに「菊次郎の夏」のテーマ曲を演奏していきます。久石さんもなかなか調子が上がらないなりにも、頑張ってメロディラインを弾いていきます。曲のアレンジは「Shoot the Violist」に近かったと思います。


 曲が終わるや、またまた盛大な拍手が送られます。通常だと、このあたりで客席から花束を持った人が出てきて久石さんに、という流れになるんですが今回のコンサートはそのような構成ではなく、一度、久石さんがマリンバ・パーカッションの2人とともに舞台袖に戻ると、他のメンバーと一緒に全員で入場してきました。その流れでアンコール2曲目に突入します。


Madness
 この曲がコンサートの締めに使われるのが定番となりました。「ジャン」で始まり、「ジャン」で終わるという締めにはまさにぴったりです。

 ステージ上のメンバーが、ピアノの音色を中心とした軽快でスリリングな4拍子のリズムに乗って演奏していきます。

 最後、リズムよく曲が終わった時に、久石さんと他の演奏者の間で交わされていた笑顔が印象的でした。

 

 …ということで演奏が終わると、拍手とともにスタンディングオベーションが起こりました。ステージ前から派生していって、2階席などにも移り、最終的にはほとんどの席の方がスタンディングしていたと思います。

 ぐるっとステージを囲んでいる客席どこを見ても立ちあがって拍手を送っている状況で、四方に向かって久石さんが頭を下げながら客席に応えていきます。

 一度、すべての演奏者とともにステージ袖へ戻ったのですが、拍手が止まず、再度全てのメンバーを連れてステージ前に一列に並びカーテンコールのような形で、客席の拍手に応えていました。ただ、事前に何も言っていなかったのか、四方の客席に応えようと何度か方向転換しようと久石さんがジェスチャーしたのを、「舞台袖に退場」という指示だとコンマスのカンタさんなど数名が何度か勘違いして舞台袖に戻ってしまうことがあって、会場から笑いを誘っていました。拍手で声が全然届かないので、そういった勘違いも仕方ない状況でしたが、この様子は結構観ているこちらとしては楽しかったです。

 四方に、そして2階・3階席の声援に応えたメンバーたちは舞台袖へ戻っていきます。それでも拍手が鳴りやみません。

 そんな中、再度久石さんがステージに登場。しかし、手を合わせて「ゴメン」のジェスチャーをされて、再度、客席に応えてました。どうも、コンサート終了後の新幹線でとんぼ返りするようで時間的にできなかったようです。最後の最後、客席の拍手に手をあげて応えて、久石さんはステージを去っていきました。

新潟駅前
新潟駅前をパシャリと。

曲目

前半

Oriental Wind

【Etudeより】
Moonlight Serenade〜Silence
Bolero
a Wish to the Moon

Musee imaginaire

Departures 映画「おくりびと」より

    INTERMISSION 休憩
後半

夢の星空 (pf.solo)
Spring (pf.solo)
Zai-Jian (pf.solo)

The End of the World
  -Movement 1
  -Movement 2
  -Movement 3

Women
la pioggia
崖の上のポニョ
Les Aventuriers
Tango X.T.C.

【encore】
Summer
Madness
スジニのテーマ(大阪・明石・博多のみ)
あの夏へ(奈良・博多のみ)


ツアースケジュール

月日 会場 開場 開演
10月13日 月・祝 長野 まつもと市民芸術館 16:30 17:00
10月15日 東京 サントリーホール 18:30 19:00
10月17日 東京 東京芸術劇場 大ホール 18:30 19:00
10月18日 新潟 りゅーとぴあ・新潟市民芸術文化会館 16:30 17:00
10月19日 神奈川 ミューザ川崎シンフォニーホール 16:30 17:00
10月22日 愛知 愛知県芸術劇場 コンサートホール 18:30 19:00
10月24日 大阪 ザ・シンフォニーホール 18:00 19:00
10月25日 奈良 新庄町文化会館 16:30 17:00
10月27日 兵庫 アワーズホール 明石市立市民会館 18:30 19:00
10月28日 広島 広島厚生年金会館 18:30 19:00
10月29日 福岡 福岡シンフォニーホール
(アクロス福岡)
18:30 19:00




2008.11.10 00:50  書き上げ

 

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