コクリコ坂から

ストーリー
 ネタバレしないようにと考えるとちょっとストーリー紹介っていつも困っちゃう。
 パンフレット冒頭の巻頭詩みたいなのを勝手ながら転載することにします。

 1963年5月、横浜。

 少女よ、君は旗をあげる。なぜ。
 少年は海からやって来る。

 ふたりはまっすぐに進む。
 心中もしない、恋もあきらめない。

 自分たちの出生に疑惑を抱く
 ふたりの暗い青春の悩み!

 戦争と戦後の混乱期の中で、
 ふたりの親たちがどう出会い、
 愛し、生きたかを知っていく。

 人はいつも矛盾の中で生きている。
 人間への絶望と信頼。
 その狭間で人は生きている。

 上を向いて歩こう。

 吾、朗らか。この夏、
 ジブリとゴローが
 ”親子二世代にわたる青春”を描く!

 

映画館の様子
 ボクが観た回は小さめのスクリーン上映だったんですが、あまりぎゅうぎゅう詰めでもありませんでした…(汗)。ハリーポッター、ポケモンに次いで、はじめの週のランキングは3位でしたからね。金曜ロードショーなどを筆頭に宣伝が打たれているところですが、これから巻き返しなるか、というところでしょうか。

印象
 恋愛ものではあるけれど、さわやかな感じがしました。ネット上で「耳をすませば」系統だな、なんていうコメントも見かけましたが、確かにそっち系です。シナリオは至ってシンプルで、単純にしちゃうと少女と少年が、学校を軸にどう心を通わせていくかっていうところなんでしょうか。学生運動も描かれていて、当時のこともうかがい知りながら、それ自体がファンタジーっぽく現代っ子の僕らには感じられて新鮮でした。

 新鮮と言えば、「音楽」がものすごくはまってました。冒頭のリズミカルな手嶌葵さんの歌声が耳に飛び込んできて、すごくポップな音楽が、戦後日本の世界観にマッチしていたのには驚きでした。違和感を覚えそうな気がするんですが、すごくマッチしてました。やっぱり戦後直後ってのが、僕らにはファンタジーに映るんでしょうかね。

原作との比較
 原作は全く目を通して無いので分かりませんです…(汗)。

俳優陣の演技
 まず主役の長澤まさみさん。結構、宣伝記事に無愛想な声にしたら良かった、なんてのが載っていたので気になってました。実際に映画で耳にすると、確かに声自体はすごく無愛想というか、リアクションが薄め。でも、それが悪いって感じではなかったです。逆に「長澤まさみ」っていう人のイメージが外れて、違和感なく入り込めたなあという印象を受けました。アニメーションだからこそ、オーバーリアクションを取ってしまって逆に違和感が生まれそうなところを、無愛想にさせることで防いだってところでしょうかね。ドラマと全く声のトーンが違ったと思います。

 岡田さんは、ゲド戦記から少しだけ明るくなったような声の表情でしたが、良かったと思います。ボクは「自然さ」を大切にしたいタイプなので、華美な演技は好まないため、岡田さんくらいの声のトーンが良いなあと思っちゃいます。

音楽
 さっきも「印象」のところで言いましたけど、手嶌葵さんの歌が多用され、途中に坂本九さんの「上を向いて歩こう」が挿入され、「さよならの夏~コクリコ坂から~」が最後にエンディングで流れるっていうポップな音楽表現が、戦後直後の日本にマッチしていたのは、今回サントラを手がけた武部聡志さんの力によるものなんだろうなあと思います。こういうサントラもありなんだなあと、目から鱗でした。「さよならの夏」も良いですけど、「紺色のうねりが」っていう学校の校歌(?)として使われるシーンも、なかなか面白かったし好きな曲の一つです。

 …にしても、東日本大震災直後の映画となってしまいましたが、キャッチフレーズが「上を向いて歩こう」となったのは偶然だったらしいですが、ものすごくタイムリーでした。主人公の「海ちゃん」の状況も、戦争で父を亡くして、その心の傷が癒えず、そんな中、家の仕事を一所懸命手伝っているなど、まだまだ戦後の影響が残っている状況ってのが、東日本大震災のものとオーバーラップしてきて、所々に胸がいっぱいになるシーンもありました。変に凝ったり、社会性の強いストーリーではないけれど、この素直な映画はこの時期だからこそ、多くの方に観てもらいたいなと感じています。特に若い子に観てもらいたいですね。

 悪いこともあるけど、一方で良いこともあるはず。前を向いて、上を向いて歩いて行こうって言うのは、本当に今の時期にピッタリだと素直に感じました。なんか、後から後からジワジワくる映画です。みなさんも是非映画館で観てもらえればなと思います!

〔オーナーのお薦め度〕
コクリコ坂から ★★★★★★ 星6つ
(正直音楽でやられちゃった感があります。戦後直後の時代をあんなにポップな楽曲がマッチするのはボクとしては衝撃的でした。それと、東日本大震災直後と、戦争直後ってのがやっぱり感覚的に少し似ているのか、主人公たちの気持ちが共有できている気がして、映画を観た直後はさほどでも無かったんですが、音楽を聴いて思い返していくうちに改めて良いなあと思い返した次第です。)

〔オーナーの評価点〕
コクリコ坂から 75点(100点満点中)

ショー
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